山県秀が感謝したい人 「この1年間をハイライトにする時になくてはならない」3人の先輩とは
鎌ケ谷の室内練習場で自主トレを行う山県=撮影・中田愛沙美
チームを去る3人 〝道民の孫〟を支えた3人
日本ハムの山県秀内野手(23)が26日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で行っていた自主トレを打ち上げた。
プロ1年目の今季は84試合に出場。持ち前の守備だけでなく、打撃でも3本塁打を放つなど大きなインパクトを残した。何もかもが初めてだったルーキーイヤー。親身になって寄り添い、支えてくれた人たちがいた。
【ファイターズの最新記事はコチラ】
今シーズン、感謝したい人は誰か―。その問いに山県は「いっぱい、いすぎて…誰って決められないですね」と考え込んだ末、チームを去る先輩の名を挙げた。「本当に(松本)剛さんと(石井)ピンさんと(伏見)寅威さん。この1年間をハイライトにする時に、なくてはならない先輩方はその3人なので。自分としては来年、不安な気持ちと、逆に1人で考えられるのかなって楽しみな気持ち、どっちもあります」。このオフ、松本剛は巨人、石井は西武、伏見は阪神へ移籍。一緒にプレーしたのは1年だけだったが、その出会いに感謝した。

松本剛に教わったのは…
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
選手会長を務めていた「剛さん」は、1軍初昇格した4月中旬、最初に声をかけてくれた先輩だった。守備の人と評されていた山県に、打撃の大切さを教えてくれた。
「自分はもっとバッティング(練習)をやらないと。バッティングをやれば、自分でも打てる可能性があると、気付かせてくれた人です。常に練習とか背中で見せてくださった先輩なので、試合後の練習も剛さんは1人でやっていましたし。自分のつらい気持ちを見せずに、練習して周りをしっかり見てくださった。剛さんしかできないんじゃないかなって思うくらい。自分もそんな先輩になれたらいいなと思いました」。心の底から尊敬できる存在だった。
6月4日の阪神戦、四回2死一塁、2点本塁打を放ち、松本剛(左)とハイタッチを交わす山県
大好きな先輩がリーグVを争うライバルに
早大の大先輩でもある「ピンさん」とは、試合で二遊間を組むことが多かった。西武移籍が決まり、長文のLINEで感謝の思いをしたためた。
「ピンさんがファイターズにいてくれて良かったですと、(メッセージを)打ちながら泣きそうになって。いつでもご飯に誘ってください(と送ると)、シーズン中に行こうと言ってくれて。ピンさんと二遊間を組めて、早稲田の大先輩とか関係なく、幸せなことだなと。ちょっと年の離れたお兄さんじゃないですけど、そんな感じで。自分がミスした時もセカンドにピンさんがいたら、絶対に声をかけてくれた。自分が今年1年、ショートとして成長できたのは、間違いなくピンさんのおかげ。来年から同じリーグで戦うことになる。また成長した姿をピンさんに見せて、恩返ししたいです」と決意を新たにした。
10月15日のCSファイナル、ソフトバンク 戦、一回1死満塁、二塁手の石井(左)と二ゴロ併殺を完成させる山県
そっと手を差し伸べてくれたベテラン捕手
阪神にトレード移籍した経験豊富なベテラン捕手「寅威さん」からは、プロ野球のイロハを教えてもらった。
バントで悩んでいた時期は、参考になる動画を見せてくれるなど「今年の成長は寅威さんなしでは語れない」と言うほど。11月下旬には言葉を交わす機会もあり、「F FESの後に合宿所で会って、ありがとうございましたと握手して」と思いを伝えることができた。この3人はもちろん「全員に感謝したいです。自分と関わってくれた人」。首脳陣、チームメート、スタッフ…。周囲の人たちに支えられた1年だった。
【山県秀 ルーキーイヤーを支えてくれた伏見の存在「寅威さんなしでは語れない」あふれ出る感謝の思い】
10月12日のCSファーストステージ、オリックス戦、試合前練習で伏見(左)と話す山県
来季を見据えて自分を追い込む日々
プロ2年目の来季は、新庄監督から開幕戦で「モイネロ限定5番ショート」にも指名されている。
「今までの自分をつくり上げてくれた人に感謝するオフシーズンだなと思っています。気持ちは全然、休んでいないです。プレッシャーというか、自分で自分を追い込んでいる節があって。来年、苦しいシーズンになるんだろうなっていう。いいイメージが湧かなくて。シーズン入ったら、いいイメージが湧いたりすると思うんですけど、不安、プレッシャーがすごくて、自分としては逆にいいオフシーズンを過ごせているかなって。とりあえず来年以降、もう一回、このオフシーズン過ごせと言われたら嫌だなと思うくらいできているので、いいかなと思います」。お世話になった人たちに成長した姿を見せるため、必死に自分と向き合っていた。