ファイターズ
2022/04/22 00:05

今川の大執念!前日4タコからの3番抜てきに燃えた「失うモノない。やるしかない」

四回、今川が本塁打を放ち新庄監督とタッチを交わす(撮影・桜田史宏)

■日本ハム5-8楽天(21日、楽天生命パーク)

四回に2号ソロ、五回は1点差に詰め寄る適時打

 魂が打球に乗った。今川優馬外野手(25)がビッグボスの〝男気起用〟に結果で応えた。四回に左翼席へ2号ソロを放り込み、五回は1点差に詰め寄る左前適時打。4タコからの3番抜てきに燃え、奮起。試合後に「きょう打たないと後はないと思っていたので絶対に打ってやる、絶対に勝ちたいという気持ちでした」と明かした。

 20日は「7番・DH」で5試合ぶりにスタメン出場したが、4打数無安打に終わった。九回一打同点の場面では、松井の151キロ直球に空振り三振。茫然(ぼうぜん)自失の表情を浮かべ、悔しさにうちひしがれていた。この時点で14打席ヒットがなく、打率は.120まで下降していた。

後輩・万波から声掛け 仲間の存在支えに

 宿舎に戻っても「ずっと悔しくて、一人で素振りする時間をつくるが、一人だとずっと悪い気持ちにしかならない」とショックを引きずっていた。そんなとき、外野手のライバルでもある後輩の万波から「結果は出てないけど、やることはやってきているはずなので、大丈夫です」と声を掛けられたという。孤独な側面もあるシビアな世界で、仲間の存在が支えになっている。

 成績だけ見れば、いつ2軍行きを告げられてもおかしくない―。今川は強い危機感を持った上で「僕は失うモノは何もない。やるしかない」と腹をくくっていた。ただ、指揮官から練習中に告げられたのは、意外な事実だった。「前日はあんなにふがいない結果だったんですけど、ビッグボスが3番でいくと言ってくれた。何とかその期待に応えたいという一心で試合に臨みました」

 試合後、新庄監督は広報を通じて「本日nothing!」とコメントを残し、球場を離れた。今川の起用についての真意は分からないが、成長を促すためにあえて大役を任せた可能性が高い。

 本来の迷いのないフルスイングが戻った。さらに五回1死一、二塁の守備では、肩でも見せた。右前の当たりを素早く捕球し、生還を狙った二走を本塁で刺した。

 試合に敗れた悔しさは大きかったが、表情は吹っ切れていた。「たくさんチャンスをもらっているので、一日一日成長した姿をアピールしないと、この先はない」。今川にとっては、殻を破るきっかけになりそうな一夜だった。

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