ファイターズ
2022/01/28 18:03

《春季キャンプ ここがポイント①》「暴れまっせ」の真意は、選手が主役

2006年のキャンプ取材に訪れた岩本氏と、現役時代の新庄ビッグボス

 いよいよ2月1日からプロ野球はキャンプインを迎える。日本ハムも新庄剛志監督(50)を迎え、新ユニホームで2022年シーズンに突入していく。きょうから3回連続で本紙評論家トリオが、キャンプに向けた期待などを語っていく。1回目は岩本勉氏(50)がビッグボスこと新庄監督の思い、野球を分析する。同い年だからこそわかり合えるポイントが浮かび上がってきた。

整理整頓は監督が全う

 ハッピーバースデートゥ~ユ~、ハッピーバースデ~~ディアBIGBOSS、ハッピーバースデートゥ~ユ~♪
 ハイ、岩本です。今年も春からノドの調子は最高です。きょうは新庄剛志監督の50回目の誕生日。記念の日に朝から歌わせていただき感謝です。ビッグボ~~ス、チームを頼みまっせ!
 さて、今年はもう最初から話題の中心は日本ハム。それも新庄監督に注目が集まります。監督自身が昨年の就任会見で「暴れまっせ~」と大宣言。テレビなどを通じて聞いたり知ったりした方々は「なんのパフォーマンスを見せてくれるんだろう」という思いが先に走っていると思うんです。
 ただ、真意はちょっと違いま  す。「暴れまっせ」に込めた思いとは、あくまでも暴れるのは主役である選手であるということ。縦横無尽にやってもらって結構で、その後の整理整頓を監督がやるという意味なのです。
 ファンフェスでも「かわいい選手たち」を連呼していました。偽らざる気持ちだと思います。オフは選手たちに2月1日に向け、しっかりと土台をつくらせてあげたい。その代わり、まだホカホカ状態のビッグボスが連日メディアに登場し、全国に「Fのまき餌作業」をトコトンやりきったことでしょう。

キャンプが切り換えの時

 半面、そろそろ新庄色が飽きられてきた、ということも本人は十分に理解してます。新たなスイッチの切り替えタイミングこそキャンプイン。今、ビッグボスは本格的な常勝軍団構築に向けての“次の一手”を着々と用意しているはずです。
 もう、期待しかないです。正直、現場も、フロントもマンネリ化してきたチーム事情は否めませんし、人気面での低迷も分かっています。環境を変えると言うことは決してたやすいことではないのですが、新庄監督が就任し、一変できました。選手にとっては大きなチャンス到来なのです。
 投打ともに絶対的な柱はありません。だからこそ新庄監督の野球が見えてくると思うんです。オフにはSNS発信で選手を鼓舞したりもありました。時代の流れではありますが、野村克也監督と重なるところがありますね。野村監督はメディアを使って選手を奮起させるのが非常にうまかった。新庄監督はSNS発信や自らのメディア出演でチームを「その気」にすでにさせています。
 例えば「ちょっと痩せようよ」というのは、細くなれ―ではなく、プロ野球選手は反復と精進こそが絶対に必要で、その自覚があればおのずと引き締まったボディーになるんだ、と問いかけています。また、自ら手がけたバイブルを配るとのこと。中身は見ていませんが、はっきりしているのは「プロ野球選手としての在り方」がびっしりと記されているはず。

メディア使い奮起促す

 プロはファンあってこそ初めて成り立ち、実技とパフォーマンスの双方を積み上げてこそ表現できるんだ、と。これは、自らがやり遂げてきた人だからこそ、語れる部分なのです。
 きっと、新庄監督の「謙虚さ」と「繊細さ」が細部にわたって描かれている一冊だろうな、と感じさせてくれます。それを読破し、より前向きにがむしゃらに汗をかき、泥にまみれた選手が3月25日の開幕メンバーになっているでしょう。また、コーチ陣も監督がやりたい野球をトコトン勉強し、動き、導く技量が求められます。いずれも高いレベルを追求してこそのものだと思います。
 ようやく、選手やコーチの性格分析を終えたところでしょう。2月1日、いよいよ新庄ビッグボスのタクトが躍ります。愛するファンが「あしたも観に来るよ」のひと言が出るチームづくり。「あしたは絶対にやってくれる」と、期待感を抱かせてくれるチーム力。ビッグボスが見据える先は大きく広がっています。(本紙評論家)

2人はビックフレンド

 公私ともに通じ合う新庄監督と岩本氏。現役時代のあるやりとりを披露してくれた。
 「2004年のキャンプ前に新庄さんから電話が来たんです。『ガンちゃん、よろしくね』というあいさつの直後に『どうやったら札幌ドームを満員にできて、どうやったらセ・リーグを超えられるかな?』と問われました。無性にうれしかったことを覚えています」
 同学年は意気投合に時間はかからなかった。「カッコイイじゃないですか。新庄クンは二(枚目)の線、こっちは三(枚目)の線でいきましたね」。時間が許せばいつも話題は昼夜を問わず、同じだった。それが移転3年目のリーグ優勝~日本一へとつながっていった。

ドラ3水野 走攻守揃った遊撃手

  育成選手を含め、今季日本ハムは13人のルーキーを獲得した。岩本氏は「チームを変えたいという表れ」。若い選手から即戦力、伸びしろ豊富な選手と幅が広いが、注目したのがドラ3の水野だ。
 「現在のチームにいないタイプ。地面にへばりついたようなショートで金子コーチみたい。体は小さい(171センチ、75キロ)が走攻守すべてにおいて当たり負けしない。また、小柄ながらパンチある打撃も大きな魅力。もうひとつアピールしきれていない(日本ハムの)ショートに存在感ある新人が来たな、という感じ。十分に(開幕スタメンの可能性は)ある」と期待は◎だ。

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