【一問一答】伏見寅威&伊藤大海 ベストバッテリーの仲良しトークを大公開!「あんな、ガン黒になってまで(笑)」
最優秀バッテリー賞を受賞し、副賞を手に記念撮影する伏見(右)と伊藤=撮影・近藤裕介
道産子バッテリーで有言実行の〝タイトル〟奪取
日本ハムから阪神にトレード移籍することが決まった伏見寅威捕手(35)と、日本ハムの伊藤大海投手(28)が25日、都内のホテルで行われた最優秀バッテリー賞の表彰式に出席した。道産子コンビでの受賞は初の快挙。壇上インタビューや囲み取材での2人の軽妙なやりとりを含む一問一答は以下の通り。
【ファイターズの最新記事はコチラ】
■囲み取材
―最優秀バッテリー賞を受賞した感想は
伊藤「もともと(伏見と)約束していた賞だったので、うれしいです。また来年も…と思ったんですけど、そうはいかないので、また違う選手に寅威さんのことを伝えていって、(違う捕手と同賞を)獲ることが、最大の恩返しかなと思うので、頑張ります」
伏見「もともと2人で約束していたことだったので、非常にうれしいです。来年も獲りたいと思っていたんですけど、こういうことになってしまったので…個人的には、大海が来年また、この賞を取ってくれることを期待しています」

―バッテリーとして、お互いの良いところは
伊藤「良いところ…。基本的に面倒見が良いので。寅威さんは。すごく、なんでも気にかけてくれますし。きょうもちょっと、(ネクタイを見せて)はい。寅威さんが準備してくださいました」
伏見「バッテリーとしての良さだから、これ(ネクタイ)は違うでしょ(笑)。野球のことを」
伊藤「野球のことですか? インタビューの人(伏見)がいる、ここに(笑)」
伏見「野球のこと、お願いします」
伊藤「本当に、僕は投げている時に、自分を責めすぎることがあって。『打たれてすみません』みたいなことがあって、それは一回、注意されたことがあります。それがすごく印象的なんですけど、自分を責めすぎないというか、2人でバッテリーでやっていくことなので、ということをよく話してもらったのを、今もすごく大事にしています。とにかく引っ張ってくれた。本当に僕が右、左も分からないような状態だったので、その中で、いろんな勝つすべを教えてくれたな、と思います」
伏見「もう、伊藤大海は、僕がファイターズに入団する前から、実力のあるピッチャーだと知っていましたし、僕が本当に実際に組んでからも、勝負どころの嗅覚だったり、自分がサインを出すんですけど、首を振って投げた球が、その日のベストピッチが来たりとか、そういうところで、すごく助けられたなと思います」
―2人で組んだ試合の中でのベストゲームは
伊藤「いっぱいありますもんね…なんですかね、なんですか?」
伏見「今年で言ったら、(6月20日の中日戦での)完封のところ?」
伊藤「そうですね」
6月20日の中日戦、完封し、互いをねぎらう伏見(左)と伊藤
【伊藤大海 今季初の完封勝利 オフの日も後輩を気にかける その姿はまさにエース】
―その試合はどこが良かったか
伊藤「その日、そんなに僕の状態自体が良くなかったんですよ。それで、いろんな部分を引き出してくれたというか、こういうピッチング、自分でもできるんだというのを。緩急であったり、間の使い方であったり、いろいろ工夫してくださって。状態が悪い中でも、どういうゲームをするか、どういうピッチングをしていくかというのは、すごく学びになったというのが、その完封した試合ですね」
伏見「僕も今年、その中日戦の完封が、僕の中でベストだったかなというふうに思っていて。大海もずっとローテーションを守って、かなり体の疲労も出てくる中、まあ、趣味の釣りとかでの疲れもだいぶ出ていた中で(笑)。それはちょっと冗談ですけど。でも、本当にそういう中で、どうやったら今、ベストピッチできるかというところを、試合前から入念に打ち合わせをして、話し合いに時間をかけた試合だったので。そこで結果的にも完封という、最高の結果になったので、すごく思い出に残っています」
―伏見が移籍する。伊藤から伏見にエールを。伏見は、きょう一緒に受賞した(阪神の)村上、坂本選手の印象を
伊藤「エールですか?」
伏見「応援団長風にお願いします(笑)」
伊藤「応援団長風に……僕が敏感になっているのか分からないですけど、きょうスタッフの皆さん、みんな(ネックストラップが黄色で)黄色を着けているので、黄色に反応しちゃうんですけど(笑)。でも本当、リーグも違いますし、なかなか会うことも少なくなりますけど、寅威さんは基本的に構ってほしい人だと思うので、ちょこちょこ連絡してあげたいなと(笑)。僕なりのエールを送り続けたいなと思います」
伏見「ありがとうございます。頑張ります。いやもう、村上選手は本当に、すごいピッチャーだなと。なんでもできるような器用なピッチャーだなという印象なんですけど、映像とかを見ていると、すごい力強さもあって、勝てる理由が分かるなと思いました。坂本選手は、大学ぐらいの時から一応、面識があって、プロ野球に入ってからも会ったら話したり。一度、松山自主トレで3日間だけでしたけど、そこでもいろいろ話をするような仲なんですけど、本当に、キャッチャーの僕から見ても、すごくいいキャッチャーだなと、実力のあるキャッチャーだと思います」
―お揃いのネクタイになった経緯は
伏見「これは、僕が準備しました。ベストバッテリーってこう、2人の賞だったので、揃えた方がいいかなと。あとファイターズカラーの水色をイメージして、用意しました」

―それを渡した時、伊藤の反応は
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
伏見「『あ、ありがとう』って、一言だけでした(笑)」
―うれしかったのは間違いないか
伊藤「いやもう、うれしかったです」
―来季はセ・パで別れる。対戦するとすれば、どうするか
伊藤「攻め方ってことですか? 真っすぐしか張ってこないと思うので、真っすぐを投げてあげようかなと思います」
伏見「そうやって言ってくるやつに限って、力んで本当に甘い球を投げてくるので。僕はそんなやつをたくさん見てきた。後悔させてやります」
―2人で約束を果たし、表彰式に参加できて、どんな思いか
伊藤「本当に前々から、2人で獲ろうという話はしていたので、すごくうれしいですし、今後はまた別のチームで戦うことになりますけど、最後に2人で賞を獲れたことに大きな意味があるのかなと思うので、これを僕もすごく自信に持って、いろいろ学んだことを後輩たちに伝えていけたらなと思います」
伏見「僕も大海と初めて組んでから、その年のオフに『必ずベストバッテリーを獲りたい、獲ろうね』と(約束した)。大海自身も、絶対に沢村賞を取ってくれると僕は思っていたので、その2つ。大海は沢村賞を個人的に獲ってくれて、ベストバッテリーで2人で賞も獲れて約束を果たせた。これは本当にうれしく思います」

―伏見は東海大で菅野、オリックスで山本由伸、日本ハムで伊藤と、沢村賞投手と組んできた。阪神でもという思いは
伏見「たまたま、良い縁があったというか、本当にそれに尽きる感じですね。僕が何かをしているわけじゃなくて、本当にその時その時のピッチャーが努力して、それが結果につながっているだけなので。全然、自分がどうとかいう話はないので。でも、そういう手助けが少しでもできるんだったらとは思います」
―沢村賞投手3人の共通点は
伏見「やっぱり、オンとオフの使い分けがめちゃくちゃうまいかなと思います」
―伊藤でいえば、釣りか
伏見「使い分けがうまいと、言えるのかな…。あんな、ガン黒になってまで(笑)。『体の疲れが取れません』って言うぐらいだから、もっと良い、すごい成績を残せそうですけど。でも、オンオフの使い方がうまいなと思います」
―阪神の投手の予習は始めているか
伏見「はい。全試合、見ようと思っています」
―印象は
伏見「セ・リーグの優勝チームですし、投手陣が強いイメージがあるので。何がいいのかというところを、自分が理解しておかないと戦力になれないので、そこをしっかりオフの間にやっていきたいなと思っています」
―両リーグでバッテリー賞を獲れば、初めての快挙
伏見「今までいないですか? 頑張ります」
―いろいろな投手を受けてきたと思うが、伊藤を受けて新たな気付きはあったか
伏見「大海に関しては正直、誰よりも遊び心があります。結構、堅苦しい僕の中のイメージを取っ払ってくれたのは、大海の影響が強いです」
―阪神でも、次の投手に生かしていけることか
伏見「はい。生かすも殺すも、自分次第ということで、頑張ります」
―一緒に受賞した阪神の坂本は、伏見にライバル心があると話していた。正捕手を狙う気持ちは
伏見「そうですね、選手は誰もが思っている気持ちだと思いますし、試合に出なくていいと思ってる選手は一人もいないと思うので、同じような気持ちでいます」
■壇上インタビュー
―初受賞の感想は
伊藤「寅威さんとは前々から、バッテリー賞を獲りたいねという話をしていたので、それを実際に達成することができて本当にうれしく思っています」
伏見「大海と同じくなんですけど、もともと大海とこの賞を一緒に獲ろうねと約束していた賞だったので、獲れて本当にうれしく思います」
協賛のイエローハット社の帽子をかぶり、副賞を手に記念撮影する伏見(右手前)と伊藤(右奥)
―一番印象に残っている試合は
伊藤「さっきも話にあったんですけど、今年、完封した試合で、ドラゴンズ戦。あまり状態が良くなかったんですね、最初から。その中で、調子悪い中でどう抑えていくか、どう対峙(たいじ)していくかということをゲーム中もゲーム前も、2人で話し合いながら、結果的に完封できたことはすごく自分のためにもなりました。これからにもすごく生きてくるかなと思っています」
伏見「これも大海と同じくなんですけど、僕も中日戦の完封の試合が思い出になっていまして。大海はローテーションをしっかり1人だけ守る中で、プライベートの釣りの疲れもある中で(笑)、コンディションをうまく整えながら、疲れがある中でいろんな話し合いを重ねて、その試合、なんとか完封できたので、本当に良い試合だったなと思っています」
―特に、どんなことを話したのか
伏見「試合前にいつもの倍ぐらいの時間を使ってミーティングをして臨んだ試合でした」
―シーズン通してフルで活躍できたポイントは
伊藤「今年は5年目で、1週間の過ごし方が明確になってきたというか、ここで何して、何してというのが分かってきたので、ここ2年間ぐらいはずっと同じルーティンで、登板を迎えられているので、信念を持って取り組むことが一番大事なのかなと思っています」
―ルーティンの中でこだわりは

伊藤「登板2日後には必ず釣りに行くことです(笑)」
―釣りの疲れは大丈夫か
伊藤「それもしっかりリカバリーできるように、来年はしっかり取り組みます」
―道産子コンビで初受賞は意識していたか
伏見「そこはあまり。僕自身、知らなかったので。でも初はすごくうれしいことなので、良かったと思います」
―伊藤のリードで意識したことは
伏見「もう、本当に良いピッチャーなので、大海が気持ち良く投げられるようにどうすべきなのか、それに尽きるんですけど、毎試合、毎試合、ちょっとこの球を試してみたいだとか、このバッターにはこの球をいってみたいとか、そういうふうにいろいろ考えてきてくれるピッチャーなので、それをどこで使うかは任されていたので、そういうところでした」
―電池工業会からの副賞、乾電池320本はどう使うか
伊藤「僕は夜釣りをする時にヘッドライトでよく電池を使うので、出し惜しみなく、どんどん光を照らしていこうかなと思います」
―イエローハット10万円分のギフト券は何に使うか
伏見「最後にファイターズでイエローハット会を開いて、みんなで欲しいものを買いに行こうぜという時間をつくろうかなと思います」
―たなかみ米60キロは
伊藤「母校の駒大苫小牧高校が全然、勝てないので、お米を食べて体を大きくしてもらって、頑張ってほしいので、高校に送ろうかなと思います。そろそろ勝ってもらわないと」
―来季への意気込みを
伊藤「来年の目標となると、(伏見を含め、ほかの受賞者3人が阪神所属になるため)かなりアウェーですけど、ファイターズとしてリーグ優勝、日本一を必ず成し遂げたいですし、できれば日本シリーズは阪神さんと戦いたいなと思いますので、なんとかたどり着けるように頑張りたいと思います」
伏見「(直前に)村上と坂本が言ったように、連覇が懸かった1年なので(笑)、まずその戦力になれるように頑張っていきたいなと思いますし、今ここにいる縁を大事に、ファイターズと阪神タイガースが日本シリーズで戦えるように、そこを目指して頑張っていきたいと思っています」