〝執念先輩〟そっくりの士別翔雲・本郷主将は同校初の学生コーチ【秋季全道公式練習】
士別翔雲初の学生コーチの本郷主将=撮影・西川薫
■秋季全道高校野球公式練習2日目(10月11日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
来春のセンバツ甲子園につながる秋季全道高校野球大会が12日に札幌・大和ハウスプレミストドームで開幕する。開幕試合に登場する士別翔雲は、日本ハム・今川優馬外野手(28)に〝激似〟の本郷創士主将(2年)が同校初の学生コーチ兼三塁コーチャーとしてチームを支えている。
顔だけでなく「心構えも似ていると思って」
11日の公式練習では、ストップウオッチを手にノックバットを握り、グラブを手にしてもファウルゾーンで補助するなど裏方に徹した本郷主将。「(顔が)似ているので、心構えとかも似ているなと思って、アンケートの好きな選手は今川選手にしました」。中学生の頃、どうしても生で見たくて、札幌ドーム(現プレド)まで見に行ったこともある。セールスポイントは「元気」。当然、好きな言葉は「執念」だ。
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今夏は甲子園まであと2勝に迫ったが、北大会準決勝で白樺にコールド負け。「白樺に負けた悔しさを心の中に秘めて、もう1日たりとも無駄にしないような練習をしてきました」。試合では三塁コーチャーを務める。「チームの決まり事で、走塁の中で回すタイミングだったり、ポジションの位置とか見たり、プレーごとに頭を回転させて、瞬時に判断していきたい」。試合に出ることはないが、勝利に貢献する。
公式練習でノックを打つ士別翔雲の本郷主将
Uー15北海道選抜に選ばれた逸材が…
背番号20。チーム最長身タイの180センチと恵まれた体つきで、名寄中時代は軟式の名寄BBCで外野手としてU-15北海道選抜にも選ばれた逸材だった。士別翔雲では1年秋に背番号17番でベンチ入り。ところが今春、「スローイングの方でちょっと投げることができなくなってしまって。そこで選手としては、もう無理というか、耐えられない、となった」。重度のイップスに襲われ、モチベーションが低下。部活動を辞めようと思い、約3週間休んだ。
学年みんなで引き留めた理由は―
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渡辺雄介監督(44)は「選手から信頼の厚い選手だったので、学年みんなで引き留めて、コーチという役割で戻ってきてほしいと」と説得。本郷は「チームのために、野球に携わっていきたい」と、同校では初めて学生コーチという形でチームに復帰。新チームになると、渡辺監督、チームメート総意で主将に任命された。

やりがいはチームの成長をしっかり見られること
やると決めたからには、全力投球。声が枯れた時のために、拡声器もスタンバイ。渡辺監督も「本当によく声も出してくれて、朝の練習からでもずっとノックを打ったり、アップも彼が先頭になってやってくれて、非常に助かっています」。本郷は「自分、自分という感じじゃなくて、チームメートの成長、チームの勝利という、チーム全体の成長をしっかり見られる。ちょっと教えただけで、気持ちの持ち方も変わったりして、上手くなったりする、というやりがいがあります」。

選手復帰の可能性は残して
公式戦に出場したことはない。だが高校生活は来春と来夏が残されている。指揮官がマネジャーではなく、わざわざ学生コーチにした理由の一つがここにある。「(来春から)DH制も始まるし、自信をつけて、またグラウンドに選手として立ってもらえるなら、それも良い」。本郷も「今は自分で練習をしていて、投げられるようになったら選手として復帰しようかな」。ただこの秋は選手復帰への思いを封印し、チームの勝利のために縁の下で力を発揮する。
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吉兆の開幕戦だ。2日の組み合わせ抽選会では、開会式直後の第1試合を引き当てた。3季通じて16度目の道大会だが、開幕試合は北大会で3年連続3連勝中だ。「絶対、今風は翔雲に向いてると思う。本当に勝ちに行って、絶対甲子園行きます」。名寄支部の悲願達成へ、チーム一の元気印が牽引する。
開幕試合に登場する士別翔雲ナイン。右端が本郷主将