【’25ドラフト道産子有望株】⑧士別翔雲の143キロ右腕・大橋広翔 ひと回り大きくなった未完の大器
最速143キロの士別翔雲・大橋=撮影・西川薫
まずは名寄支部悲願の甲子園出場へ
今秋のプロ野球ドラフト会議で指名が期待される選手を先取りする「’25ドラフト道産子有望株」。第8回は士別翔雲の最速143キロ右腕・大橋広翔投手(3年)。粗削りだが182センチ、84キロの恵まれた体から力強い直球を投げ込む未完の大器に、NPB4球団が関心を示している。豪腕を武器に、夏には名寄支部悲願の甲子園出場へと導くつもりだ。
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札幌国際情報を相手に8回無失点
ゴールデンウイークの札幌遠征では、2球団のスカウトが視察に訪れる中、札幌国際情報を相手に先発して8回無失点。最速は140キロにとどまっていた。「きょうはちょと。あまり球が走ってないかなという感じはしたけど、そこまで追い求めすぎると力んでしまう。追い求めすぎず、勝手に(球速が)出てる、みたいな状態にしたい」。ここから気温が暖かくなってくれば自然と体が慣れていき、球速も上がってくるはずだ。

力まかせの投球は卒業だ。札幌国際情報戦で奪った三振は4個。「初回からバスターしてきて嫌だなって感じはしたけど、そこで力でいかずにしっかり低めで勝負できて、打たせていけたのは良かった」。
小さく曲がる変化球が欲しい
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オフはカットボールとスプリットを重点的に磨いてきた。「小さく曲がる変化球があまりなくて。1、2年生の頃は三振を取りに行ってい部分もあったけど、ゲッツーが欲しい場面で、小さい変化球が欲しかった。直球も徐々に速くなってきたので、落ちるボールがあれば、だいぶ優位に進めていける」。同戦も相手のタイミングやバットの芯を外したりする〝大人の投球〟で凡打の山を築いた。
体が大きくなりフォームも変更
最速こそ昨秋から更新していないが、身長は3センチ、体重は6キロ増。球威は明らかに増した。さらにフォームも改造。「一回一回、止まって投げていたけど、徐々に力を出していくようにスムーズに並進するところを意識してやっています」。体に蓄えたパワーを無駄なくリリースに伝える工夫をしている。
課題は試合の終盤。「最後の方になってくると、体力不足ではないけど、球のばらつきが多くなってきて。(五回裏終了時の)整備明けからのピッチングが課題。もっと体力づくりとか、筋力アップして、徐々にスピードも上げていきたい」。たとえ連戦となっても、一人で投げ切る〝完投力〟を夏まで身につけていく。
大橋投手の投球フォーム
U-18代表候補の窪田がライバル
ライバルの存在が刺激だ。士別中3年時に軟式の北海道選抜に選ばれた。そのチームには現在、侍ジャパンU-18日本代表候補となっている札幌日大高の148キロ右腕・窪田洋祐(3年)がいた。「(当時)先発は僕がすることが多くて、窪田が最後に投げることが多かった。僕も(侍の)合宿に行きたかったので、本当に悔しい思いが強い。春は全道に行ったら当たる可能性もあるので、本当に負けたくないという一心でやってます」。窪田もプロ注目。投げ合いとなれば、自らの現在地を計る絶好の物差しとなる。
エスコンでリベンジしてから甲子園
因縁の球場で今年こそ―。2年前の夏、士別翔雲はエスコンフィールド北海道で初めて行われた北大会準決勝に進出した。旭川明成戦では2-3と1点ビハインドの七回から1年時の大橋が登板した。しかし、2死一、二塁から3点本塁打を浴び、1回もたず無念の降板。そのまま試合も負けてしまった。今年は2年ぶりに北大会の準決勝と決勝がエスコンに帰ってくる。
「本当に忘れ物があるような球場なので、まずそこに行って、二つ勝って忘れ物を取り返して、チームの目標でもある甲子園で校歌を歌うことを達成したい」。名寄支部悲願の甲子園切符をつかみ取れば、プロ入りへの道もぐっと近づく。
■プロフィール 大橋 広翔(おおはし・ひろと)2007年7月18日、士別市生まれ。士別小2年時に士別九十九野球少年団で野球を始める。士別中では投手としてU14北海道選抜に選ばれる。士別翔雲では1年春の支部予選でベンチ入り。同年夏、エスコンフィールド北海道で初めて行われた北大会準決勝に2番手で登板。プレドで行われた昨秋の全道1回戦で143キロをマークした。変化球はカーブ、スライダー、カットボール、スプリット。182センチ、84キロ。右投げ右打ち。家族は両親。
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