ベテラン2人が新体制初白星に貢献 長谷川が自問自答した「スタメンで出る意味」
前半、素早いドリブルで相手を抜き去るMF長谷川(左)=撮影・中本翔
■J2第27節 甲府1ー2札幌(8月23日、山梨・JITリサイクルインク スタジアム)
北海道コンサドーレ札幌は23日、柴田慎吾新監督(40)が掲げる攻撃的サッカーを展開し、甲府に2ー1で勝利した。序盤から相手陣内で押し気味に試合を運ぶと、前半17分にDF浦上仁騎(28)からのロングボールに反応したMF長谷川竜也(31)の右サイドからのクロスに、来日初先発のFWマリオ・セルジオ(29)が右足で合わせて先制。さらに同30分にはMFパクミンギュ(30)が移籍後初得点。前半に1点返されたが2-1で逃げ切った。順位は11位のままだが、PO圏との勝ち点差を9から7に縮めた。
いつにも増して豊富な運動量を発揮した
見ていてワクワクするようなサッカーを体現したのは31歳のベテラン長谷川だ。いつにも増して豊富な運動量で相手守備陣を切り裂き、何度も決定機を演出した。「(監督が)柴田さんになって、この前の試合は時間もなくて難しかったと思うが、今週はしっかり準備することができた。なんとかここで勝って、チームとしても監督としても、改めて良いスタートを切れるように、という思いでプレーしました」と、流れる汗を拭った。
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チャンスを生かした。「今シーズンはベンチスタートが多いけど、こうやってスタメンで出るときに『スタメンで出る意味』というのを自問自答している。負けないこともそうだけど、このチームの『闘志に火をつける』とか、そういったプレーを僕みたいなベテラン選手が担うことによって、背中で示せるのかな」。4試合ぶりに巡ってきた起用に、スタートから全開でアタックした。
前半17分、FWマリオ・セルジオの先制ゴールをアシストするMF長谷川
浦上選手がいいボールを配球してくれたおかげ
試合開始のホイッスルと同時に、相手陣内深くへのキックに長谷川が猛然とプレスをかけた。1点目のアシストは練習していた形からだった。自陣からのロングボールが相手選手に当たり、長谷川の前へ。そのままゴールに詰めていたマリオへパスし先制点をアシスト。「試合前から浦上選手とは話をしていた。浦上選手がいいボールを配給してくれたおかげで得点につながった」。してやったりのゴールだった。
パクミンギュの2点目もお膳立て
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パクミンギュの2点目のゴールも、長谷川の献身的なプレーから生まれた。FW白井陽斗(25)の右サイドからのクロスに、長谷川が相手ディフェンスを引き連れて走り込んだ。合わせられなかったが、潰れ役となってパクミンギュの2点目を〝アシスト〟した。「あそこで自分が決めきれれば良かったけど、ミンギュがあそこまでちゃんと入ってきていることが、今週の練習で監督から求められていたこと。ミンギュがちゃんと入っているからこそ、自分が潰れた意味があった。ミンギュの運動量に感謝だし、ゴールも素晴らしかった」と、移籍後初ゴールを賞賛した。
個人的にはWBの方が面白さがある
針の穴を通すような精度で移籍後初ゴールを決めたパクミンギュ。「入れた瞬間、真っ白になりました」と、約2カ月ぶりのアウェーでの歓喜に導いた。ケガで約2カ月ぶりの復帰戦。慣れない左ウイングバックでの出場だったが、「個人的にはWBの方が攻撃的なので面白さがある。監督が決めることなので求められた役割をしっかり果たしたい。自分がゴールしたことよりも、新しい監督のもとでチームが勝利したことがうれしいです」。指揮官の攻撃的サッカーのキモとなるポジションで、自らの新たな可能性を切り開いた。
前半30、追加点となるゴールを決めるDFパクミンギュ
新指揮官も2人に対して全幅の信頼
指揮官からの2人に対する信頼も絶大だ。「タツ(長谷川)はトレーニングから良いパフォーマンスを見せてくれたし、何よりも戦術理解がすごく高い選手。攻撃のフェーズはもちろん、守備のプレスもかなり効いていた。1トップにブラジル人がいるので、守備のタスクをちょっと減らしたかったことを含めてタツを起用した。ミンギュに関してはケガ明けだが、1週間を通してコンディションが良かった。本来なら途中で代えたかったが、代えられなかった。リバウンドが出なければいいなと心配しています」。
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残り11試合。PO圏にじわり近づいた。長谷川は「簡単な試合なんて1試合もないし、やっぱり自分たち自身がおごらず謙虚に、しっかり勝負に徹して、毎試合、毎週やっていけば自然と上は見えてくる。きょうみたいに一戦必勝でやっていきたい」。さらに進化した攻撃的サッカーで、リーダーズボードを一気に駆け上がる。
