伏見寅威 好リードで完投勝利をアシスト 経験豊富な女房役の達〝操縦法〟とは?
完投勝利を飾った達(左)とタッチを交わす伏見=撮影・小田岳史
■パ・リーグ12回戦 日本ハム2-1西武(7月14日、東京ドーム)
2試合ぶりの女房役 予想通りの投球
日本ハムの伏見寅威捕手(35)が「9番・捕手」でフル出場。先発の達孝太投手(21)と2試合ぶりにバッテリーを組み、息ピッタリのコンビネーションで1失点完投勝利をアシストした。
試合前から、ベテラン捕手は予感していた。「きょうはブルペンからいいなって、僕は思っていました。なので抑えてくれるだろうなって、やっていました」
熟練のインサイドーワーク
6日の楽天戦(エスコン)では、新庄監督の方針もあり、田宮がマスクをかぶっていた。この日は緩いボール、内角球を効果的に使用し、後輩右腕の持ち味を存分に引き出した。
「あまり(配球の)イメージは変えていないですけど、いろんな球種を持っているので、余裕あるところで使ったら、意外と制球ができていたり、いい球だなと感じたので、間でちょこちょこ使いました」

21歳の考えを尊重しながら…
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達とはプロ初勝利を挙げた昨年10月3日のロッテ戦(ZOZOマリン)以降、コンビを組む機会が多い。意志の強い21歳の性格も考え、リードしている。
「本人も結構、考えているので、自分の考えを押しつけないようにしています。ポイントポイントで、ここだけ頼むねって期待する感じです」
七回1死、西武・ネビンに本塁打を浴びた達(右)に声をかける伏見=撮影・金田翔
コンビネーションにも手応え
今年に入ってから、後輩右腕がサインに首を振る回数が減った。
「首を触ることに関しては嫌なことないですし、どんどん首振って良いよと言っているので、そこはなんとも思わないですけど。首を振らないってことはそれなりに息が合っているのかなと思います」
プロ13年目はダテじゃない
プロ13年目を迎え、経験豊富な伏見のことを達は「不思議」と表現。リード面の技術を盗みたいと興味を示している。その言葉を受けて、一端を明かした。
「全部、同じリズムではやろうと思っていない。強弱じゃないですけど、どんどんいくところはいくし、ここは一息置きたいなって時は置きます。ピッチャーのリズムとかちょっと投げ急いでいるなって思ったら僕がコントロールするので。それはキャッチャーの仕事だと思っているので、彼には分からないと思います」
それぞれのキャッチャーに個性、持ち味がある。「それは田宮にしても、郡司にしてもみんな持っているので。たまたま今いい方向に行っているので、僕のそれが気持ち良く感じるのかもしれないです。みんなそれぞれ考えてやっていますね」

魅力たっぷりの〝たつとらバッテリー〟
日に日に深まっている〝たつとらバッテリー〟の信頼関係。達が伏見への感謝を口にすることも増えているが、「それは気持ち悪いですね(笑)。アイツはたぶん思っていない。達は絶対、思っていないので。リップサービスみたいな」。プロ野球新記録となるデビューから全試合先発で6連勝を達成した6月29日の西武戦後、「おめでとう」と声をかけると、こんな返答があったという。
「なんかボソッと連勝はまだ伸ばしたいみたいなことを言ってきたので…。まだまだ伸ばしていきたいと強気に言ってきたので、そうですか、頑張ってくださいって(笑)。(自身は)できることをやります」。勝ち気な若き右腕と〝寅威ママ〟の愛称で慕われる女房役。魅力たっぷりの13歳差コンビで、これからも勝ち星を重ねていく。
完投勝利を飾った達(中央)と抱き合う伏見(右)