伏見寅威 攻守で移転後1500勝に貢献 21年前を振り返り「ファイターズが北海道に来た時は…」
試合終了後、新庄監督(左奥)とハイタッチを交わす伏見=撮影・松本奈央
■セ・パ交流戦1回戦 ヤクルト1-3日本ハム(6月10日、エスコンフィールド北海道)
道産子らしく最年長らしく節目の勝利に大貢献
日本ハムの伏見寅威捕手(35)が「9番・捕手」で先発出場。先発マウンドに上がった達孝太投手(21)を好リードで導いて、無失点ピッチングを演出した。打っては六回の第3打席で、適時二塁打を放ち、貴重な追加点をゲットした。
チームの北海道移転後1500勝という節目の白星奪取に、最年長の道産子が大きく貢献した。
ヒーローインタビューで”やりましたー”と声を上げる伏見(中央)
節目の試合を締めくくった道産子バッテリー
九回2死一塁。一発出れば同点の場面でヤクルト・内山が放った打球は、高々と内野上空に舞い上がった。そして三塁を守る奈良間のグラブに収まった。北海道移転初年度の2004年3月31日に挙げた〝初勝利〟から21年と71日。節目となる1500個目の勝利をつかみ取ったのは、佐呂間町出身・玉井と、千歳市出身・伏見の道産子バッテリーだった。
「玉井はいつも良いピッチングをしているので。きょうは緊張感あるマウンドでしたけど、いつも通りの力を出してくれた。頼りになるなと思いました」。伏見は2年ぶりのセーブで試合を締めたベテラン右腕をたたえた。
九回を無失点に抑え、チームメートとハイタッチを交わす玉井(中央)と伏見(右)=撮影・井上浩明
冴えた適材適所のインサイドワーク
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今季4度目のタッグを組んだ先発・達を、この日も好リードで勝利へと誘導した。ここまで3試合に登板して2勝負けなし、自責点はわずか「1」と、乗りに乗っている若武者だ。伏見は「ずっと良いピッチングが続いているので、(リード面を)あまり変えたりしないように。相手の狙い球とか、反応をできるだけ早く感じられたらいいなと思って、きょうはやっていました」
気持ちよく投げさせつつ、危険を察知して回避することにも腐心した。七回には先頭のサンタナに二塁打を浴びせられたが、「あそこは勝負どころだと思っていたので、投げミスの少ない球、今、状態の良い球をチョイスしました」と、後続の3者を全てフォークで斬って取った。
七回を無失点に抑え、ベンチに戻る達(右)と伏見
ただでは終わらない凡打に四球 そして貴重なタイムリー
打撃でもチームを支えた。ヤクルト先発・ランバートに対し、第1打席(左飛)では11球、第2打席(四球)では7球と、粘りに粘って球数を投じさせた。「うちの打線はどんどん打っていって、長打が出る打線ですけど、球数がなかなか稼げないというところで、誰かがそういう役をやれたらいいなと、いつも思っていて」。その役目を買って出て、ランバートに小刻みにダメージを与えた。
そして迎えた六回の第3打席。7球目を捉え、チーム2点目を呼び込む適時二塁打を放った。「たまたまですけど、そういう打席を3打席つくれて、少しはチームのためになれたかなと思います」。フォア・ザ・チームの精神を貫いて、試合の流れを大きく引き寄せた。
六回2死三塁、伏見が適時二塁打を放つ
感慨深い1500勝 秋にはリーグ優勝&日本一だ!
日本ハムの北海道移転時、伏見はまだ中学生だった。
「ファイターズが北海道に来た時は、まだ事の重大さを分かっていなかったですけど、プロ野球が身近に感じた瞬間でもありました。ファイターズが来て、どんどん(テレビで)ファイターズの番組ができて、いつしかファイターズの選手をすごく覚えるようになって。今こうやって、ファイターズのユニホームを着て野球ができているのは、すごく縁を感じます」
地元・北海道に誕生したチームに憧れを抱いた野球少年がプロとなり、憧れのチームに加わって、一つの節目の勝利にグラウンドで立ち会った。今年の秋、最高の瞬間を迎えるべく、道産子捕手は次なる勝利を追い求めていく。
六回2死三塁、適時二塁打を放った伏見