《岩本勉のガン流F論》快投の達孝太に感謝 思い出させてくれた30年前の7月14日
■パ・リーグ12回戦 日本ハム2-1西武(7月14日、東京ドーム)
好循環をつくり出している絶好調右腕
勝てるピッチャー。そう言い切っていい。達のことに他ならない。
無傷の6連勝に、デビューから先発だけで7連勝。何が優れているかって、野球の流れがいい。相手ピッチャーと互いに0行進を続けても、点を取ってくれると思い込めている。その自信に満ちた思い込みがリズムを生み、ポジティブな投球を可能にする。今の達は好循環の中にいる。いや、好循環をつくり出している。
前回の反省を踏まえて上がったマウンド
前回は完投を意識していたようで、どこか保守的なピッチングに見えた。その反省も踏まえて上がった今回のマウンド。初回から飛ばし気味で入った。得意のストレートにナチュラルカッター、フォークボール。すべての球種で相手打者を差し込めていた。足を上げて踏み出す時、胸の開きが遅く、横を向いている時間が長い。球持ちがいいということだ。
傷口を広げないピッチング
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相手に流れを渡さなかったのも非常に大きかった。チームは2失策を記録した。ところが、その二回と五回。いずれもゲッツーを奪い、傷口を広げなかった。そのほかのイニングは実に淡々と力強く、アウトを重ねていった。
目指してもらいたい勝率10割
スケールは大きい。予告先発に達の名前が記されたなら、ブルペン陣がウオーミングアップから、ゆとりを持って調整をスタートさせられる。そんな投手になっていってもらいたい。
「きょうは俺たちの出番はないな」ではなく、「出番があるとしたら、勝ちゲームでこういう展開だな」と肯定的なイメージを思い描かせてくれるピッチャーが理想的だ。達はそんな投手になり得る。今季は勝率10割をぜひ、目指してもらいたい。
誇れる時間 あの日も東京ドームでの西武戦
30年前の7月14日。私はプロ初勝利を飾った。相手は西武で東京ドーム。しかも1失点完投。ホームラン1本(八回に垣内の14号ソロ)に抑えたのも、この日の達と同じだった。憧れだった清原さんが4番に座る西武を相手に記録したプロ第一歩。誇れる時間を思い出させてくれた後輩に感謝したい。
水谷に贈る言葉 「さすがやったで!」
もう一人、ジェシー。さすがやね。周囲にその実力を認められているからこそ、出てくる賛辞の言葉が「さすが」。甘い球を逃さない一発は見事であり、本物の証拠。水谷よ、もう一度、言う。さすがやったで!