《岩本勉のガン流F論》頼もしく見えるリニューアル上原 芝草宇宙さんのように財を成せ!
■パ・リーグ15回戦 オリックス0-4日本ハム(7月13日、エスコンフィールド北海道)
若さみなぎるピッチング
俺を忘れてもらっちゃぁ困る。そういう思いを込めたマウンドだったのだろう。福島が今季初登板で先発し、見事に勝利を手にした。
一言、若さみなぎるピッチングだったと表現したい。同期入団で同学年の達、柳川の活躍に十分すぎるほど刺激を受けていたのだろう。一回、2人の走者を背負いながらも〝いい力み〟で抑えきった。
腹をくくった田宮のリード
続く二回。エアーポケットに入ってしまった。ここも若さが出た。1球目から「おい、どーした!?」と声をかけたくなるようなボール。腕を振れず、身のこなしも鈍い。ボールはもちろん、自身の体さえも操れていなかった。
それで背負った無死満塁のピンチ。女房役の田宮が腹をくくった。この日、一番頼りになるストレートで紅林を一ゴロ。この1アウトが大きかった。その後も直球で押しまくり、広岡、宗をポップフライに打ち取った。三回以降は適度な荒れ球が打者の的を絞らせず、功を奏した。
センスに頼ってきた男が一変
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六回以降はリリーフ陣が無失点でつないだ。4投手がそれぞれ1回ずつ仕事をした中、2番手で登板した上原に触れたい。ゆとりのある点差とはいえ、これで1軍昇格から4試合連続の1回無失点だ。
これまではセンスでプレーしてきたように見える。「いつかは良くなる」と、ぼんやりとしたビジョンを描きながら、気付けば10年目のシーズンに突入していた。後がない。そう本人も気付いたのだろう。すべては結果。危機感を持って毎試合、臨めている。
ボールにこもる強い意志
ボールもこれまでとは違う。六回1死、頓宮を空振り三振に取ったフォークボール。しっかりとワンバウンドさせた。これまでは、なかなか仕留めきれないシーンが目立ち、ストライクゾーンに甘く入ったボールを痛打されることも少なくなかった。そこに投げなきゃけない。そこに投げなきゃダメ。今はそんな強い意志がボールにこもっている。
上原の中継ぎはありだ。今や、ヨーイドンで思い切り投げられるようになった。右打者へのクロスファイヤー、そしてフォーク。1球目からウイニングショットを投げ込める。
忘れられない先輩右腕のリリーフ転向
プロ野球選手のリニューアル。記憶に残っているのが芝草宇宙さんだ。初登板初先発を完封(1991年4月24日のロッテ戦、川崎球場)で飾るなど、スターターとして実績を積んだ。
ところが首脳陣が入れ替わり、プロ10年目を過ぎてからリリーフに転向した。その事実だけでも大きな変化なのだが、芝草さんは武器のシュートを生かすために自らサイド気味にフォームを修正したのだ。
身近にいる最高のサンプル
そこからリリーバーとしても結果を出し続け、FAで複数年契約を勝ち取り、地元の所沢に父親のために家を建てた。晩年、「まだ芝草のシュートは使える」と判断されたのだろう。当時、王貞治さんが指揮を執っていたホークスにトライアウトの末に入団した。
リニューアル上原、そしてリニューアル玉井もそう。彼らの存在はチームにとって心強い。芝草さんのように、ここからさらに財を成すことは十分に可能だ。身近に宮西尚生というサンプルもいる。今後のさらなる飛躍を楽しみにしてるで!