2年ぶり4強の北海 伏兵・出口徳太郎が 満身創痍で果たした「貢献」【南北海道大会】
九回、適時打を放った北海の出口が二盗を決める=撮影・十島功
■全国高校野球選手権南北海道大会第4日(7月13日、札幌円山)
▽準々決勝 北海7-4北照

勝利引き寄せる中前適時打 二盗決めて自身も生還
小柄な体ながら、試練を乗り越えてきた伏兵が、大きな仕事を果たした。1点リードの九回2死三塁。六回から途中出場していた出口徳太郎外野手(3年)が打席に入った。2ストライクから短く持ったバットをコンパクトに振り抜くと、打球はしぶとく二遊間を抜けた。勝利をグッと引き寄せる中前適時打。出口は「やっとチームに貢献できたので、うれしいです」。すぐさま二盗も決めて、1番・桜井悠也内野手(3年)の適時内野安打で生還した。
九回2死三塁から中前適時打を放った北海の出口
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この日は六回からの途中出場だったが、1安打1打点、1四球1犠打。しっかりと求められた役割を全うした。162センチだが、足はめっぽう速い。50メートル6秒1というチーム一の俊足を誇る。出口自身も〝飛び道具〟としての能力に自信を持つ。「持ち味はスピードなので、塁に出たら盗塁などで相手チームをかき回していきたい」。
昨秋、右肘の疲労骨折が判明し…
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さらに、出口には土俵際から戻ってきた強さがある。昨秋、右肘に痛みを抱えながら札幌支部予選に出場していたが、病院に行くと疲労骨折していることが判明した。当然、全道大会はベンチから外れることになった。チームメートがセンバツ行きの切符をつかみ取ると信じて、全道大会準決勝の前日に手術を受けた。準決勝と決勝はスタンドから応援した。
途中出場で存在感を示した北海の出口
復帰急いで回り道「夏に間に合うのかな」
復帰が見えた3月。焦りもあり、復帰を急いだことが裏目に出た。春先に再び痛みを覚え、後退した。「夏に間に合うのかな」。微妙なラインに出口も不安を抱いたが、チームメートが勇気づけてくれた。「お前だったらまだやれるぞ」。その言葉を信じて前を向いた。そして、札幌支部予選の抽選会3日前に復帰し、何とかメンバーに滑り込んだ。出口は「最後までリハビリを頑張って、結果間に合ったので良かった」。
「最後の夏、絶対甲子園に行く気持ちで」
完全に癒えたわけではなく、今も痛み止めを服用しながら試合に臨んでいる。さらに、左肩も痛めており満身創痍の状態だが、出口が弱音を吐くことはない。「最後の夏、絶対甲子園に行くという気持ちで戦っているので、気合で行きたいと思います」。甲子園に行くために北海に進学した背番号18。残り2試合、全てを懸ける覚悟を示した。
途中出場で存在感を示した北海の出口(左)