北海の背番号1・浅水結翔が5回0封でサヨナラ呼び込み8強進出 苦い経験から芽生えたエースの自覚【南北海道大会】
2番手で登板し、5回無失点と好投した北海の浅水=撮影・十島功
■全国高校野球選手権南北海道大会第3日(7月12日、札幌円山)
▽1回戦 立命館慶祥2-3北海
1点差の五回にリリーフ登板
2年ぶりの頂点を狙う北海には、流れを変えられる男がいる。1点ビハインドの五回。「ゼロで抑えて流れを持ってくる」。満を持して、背番号1の浅水結翔投手(3年)がマウンドへと駆け上がった。先発・小野悠真投手(2年)からバトンを受けた左腕は、初球に125キロの直球で空振りを奪うと、波に乗った。カーブ、スライダー、チェンジアップを織り交ぜながら、五回をわずか8球で3者凡退に仕留めると、六回も3人斬りの投球を見せた。
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走者背負ったら丁寧な投球心掛け
七、八回と得点圏に走者を背負ったが、1年春からベンチ入りし、昨夏も背番号1を背負うなど、経験豊富な浅水が動じることはなかった。「ランナーがいない時はどんどん行ってるんですけど、ランナーがいる時にそういう風になってしまうと簡単に打たれてしまうので、丁寧に投げようと思ってます」。その言葉通り、どちらの場面も果敢に直球を投げ込んで仕留めた。そんなリリーフエースが仕事を果たすと、流れは巡ってくる。八回、振り逃げの出塁から好機をつくり、櫻井悠也内野手(3年)の適時二塁打で試合を振り出しに戻した。

春の全道決勝でも逆転勝利に貢献
そして運命の九回、冷静なマウンドさばきに大胆かつ繊細な投球を披露。先頭に安打を許したが、慌てることなく得意のけん制で一塁走者を刺すと、その後は連続三振を奪った。この5回無失点の快投が直後のサヨナラ劇を呼び込んだ。春季全道大会決勝の旭川実業戦でも4点ビハインドの六回から登板し、4回無失点と好投し、チームも逆転勝利を果たした。大舞台で見せる浅水の勝負強さは際立つばかりだ。
前日11日は昨夏敗戦の映像を見返し リベンジの思い秘める
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春季大会は背番号10だったが、最後の夏には、しっかりと1番を奪い返した。この背番号には、並々ならぬ決意が込められている。昨夏、同じ背番号1で臨んだ南北海道大会初戦で札幌光星に敗れ、先発した浅水自身も三回途中5失点と苦い経験をした。また昨秋も全道大会決勝で東海大札幌高に惜敗。この二つの敗戦を教訓に、鍛錬を重ねてきた。「去年の夏、秋の負けが春の優勝ときょうの勝ちにつながったと思います」。前日11日には昨夏の敗戦のハイライト映像を見返し、闘志を胸に秘めて〝リベンジ〟を果たした。
最後の夏、背番号1を着用する北海の浅水
後輩の背中を押すシンプルな言葉
リリーフ登板が多いが、チームをけん引するエースとしての自覚は十分にある。現に、いつも先発マウンドに上がることの多い小野には、背中を押す言葉を掛ける。「思い切って投げてこいよ」。シンプルな一言だが、後輩右腕にとっては何よりも励みになる。小野は「後ろに浅水さんだったり、ピッチャーが多いので、思い切って初回飛ばしていきます」。
繊細な投球術
また、140キロ超の投手陣をそろえる北海の中において、主に120キロ台の直球と変化球で勝負する浅水は異質な存在だ。力で押す他の投手とは一線を画し、繊細な投球術で打者の芯を外す。投手陣同士で普段から密にコミュニケーションを取り、状況での役割が整理できているからこそ、リリーフとしてもすんなり試合に入っていける。力を出し惜しみすることなく継投する今年の北海スタイルに、浅水の存在は欠かせない。

「今年は自分で流れを持ってくる」
昨年の経験から、浅水自身の意識も大きく変わった。「去年は先輩方も多かったので、悪く言えば人を頼りにしている感じがあった。今年は自分で流れを持ってくる気持ちで投げることを意識している」。次は自分がチームを頂点まで導く存在になる―。167センチと小柄な左腕だが、背番号1がよく似合う。
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