内田ことこ プロ5年目で圧勝初V 地元・北海道で初優勝は27年ぶり【女子ゴルフ・ミネベアミツミレディス】
優勝を決め、笑顔でカップを手にする内田=撮影・畠中直樹
■女子ゴルフ・ミネベアミツミ北海道新聞カップ最終日(7月13日、札幌・真駒内カントリークラブ空沼コース、6688ヤード、パー72)
南幌町出身のプロ5年目・内田ことこ(22、加賀電子)が、6バーディー、3ボギーの69、通算16アンダーで、初日首位タイから4日間トップを走り切り、完全優勝でツアー初Vを飾った。北海学園札幌高出身者では初優勝で、北海道勢としては通算11人目のツアー優勝者。さらに地元北海道で初優勝を飾ったのは、1998年の大場美智恵さん(52)以来の快挙だ。
コース脇に仲間の姿見つけて涙が
最後は6メートルのバーディーパットをしっかりと決め、一際大きい歓声に包まれた。「本当に初日から良いスコアで4日間回れて、地元で初優勝を挙げられてうれしいです」。コース脇に駆けつけた仲間の姿を見つけると、緊張から解き放たれ、思わず涙があふれた。「いつも一緒に練習している選手の人たちが待ってくれていて、その人たちの顔見るとうれしかったです」。何度も抱擁して、勝利の味を確かめた。
内田の後援会の会員が掲げる応援の旗=撮影・西川薫
【2000円お得! 道スポの年払いプラン】
2位に2打差で最終日最終組でスタート。1番パー4、ピンチをチャンスに変えた。第2打がグリーンをオーバー。ラフからの15ヤードのアプローチを直接決めて、バーディー発進。「4日間ショットは安定してできていて、初日、2日目とスコアを伸ばせたのも大きいですし、きょうはグリーンが硬くなって難しかったですけど、その中でもチャンスにつけて、パターも昨日から修正してできたので良かったです」。2位以下に追いつかれるどころか、どんどん突き放し、影すら踏ませなかった。
見守っていた家族も感無量
コース脇で見守った母・洋子さん(50)も、父・崇広さん(55)も涙。洋子さんは「ちょっと信じられないですけど、デビューからずっと試合について歩いてたので、彼女の努力してるところは見ていました。いつか実ったらいいなとは思っていて。そしてこの地元で優勝できたので、本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」と声を詰まらせた。一緒に応援した妹の楓子さん(北海学園札幌高2年)も姉に刺激を受けて、高校からゴルフを始めた。
原点は南幌町特産のキャベツ畑
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
原点は、故郷の南幌町特産物でもあるキャベツ畑だ。幼稚園の時、崇広さんの影響でゴルフを始めた。小学校1年生の時「本格的に家内と話して『やるからには上を目指してやろうか』」。キャベツなどを生産する洋子さん実家の農家の納屋に、手作りの鳥かごを作って、練習に明け暮れた。「今でも冬に帰ってきた時にはそこで」と、新年はそこでスタートするのが、ルーティンとなっている。
10番でティーショットを打つ内田
レジェンド中嶋常幸プロとの出会いが転機
プロとして成長できたのは、栃木・東松苑GCの存在だ。20年にプロテストを受験する予定だったが、コロナ禍で翌年に延期。同年11月、崇広さんが「1次プロテストが3月にあると聞いて、北海道にいてもどうしようもないだろう、と」。自ら調べ、知人を通じて、東松苑GCの存在を知った。「電話で中島社長に直接電話したら、快く受けてくださった。そこで(中島)常幸プロと出会って、ゴルフの見方が変わった。感謝してます。あの環境がなかったらプロテストには受かってなかった。ある意味コロナのおかげで、時期がずれて、社長と出会うことができたのかな」。そこで、レジェンド中嶋常幸プロと対面を果たし、師事するようになった。
21年、プロテストに合格してから、オフは東松苑GCを拠点に練習するのが恒例となった。内田は「常幸プロに見ていただいて、ショートゲームの引き出しが、すごく増えたと思って、いつも一緒にラウンドしていただいたら、その辺りが一番勉強になりました」。22年に初の賞金獲得。23年はトップ10入りが4度。初のシード権を獲得。24年も2年連続でシード入りするなど、着実に実力をつけてきた。
天国の恩師へ「直接、見てもらいたかった」
ようやく天国の恩師に報告できた。北海学園札幌のプロ1号として迎えたルーキーイヤーの22年7月、北海学園札幌高で3年間指導を受けた、斉藤孝男顧問(享年63)が急逝した。訃報を知ったが、トーナメント中で抜け出すことができず、最後の対面を果たすことはできなかった。「直接、見てもらいたかった」と、亡き恩師に思いをはせた。
スタートの1番、パー4で2打目をグリーンオーバーしたが、アプローチを直接決め、バーディー発進した内田(左)
複数回優勝目指して頑張ります
これで最終戦のリコーカップへの出場権を獲得。21年7月のデビューから約4年。「そんなに長いという感覚はなくて、もう5年目かという感じ。そんなに優勝争いをしてきたわけではないので、今年はたくさん優勝争いをする目標でやっていた。こんなに早く勝てるとは。まだまだ半分ですし、また優勝できるように、複数回優勝目指して頑張ります」。また一人、北海道を代表するプロゴルファーが誕生した。