《鶴岡慎也のツルのひと声》嫌な流れを断った勝利 これからファイターズ打線を引っ張っていくのは…
■パ・リーグ12回戦 楽天1-7日本ハム(7月4日、エスコンフィールド北海道)
過酷な移動ゲームで連敗ストップ
この日の勝利には大きな意味がある。福岡で優勝を争うライバルのソフトバンクに3連敗し、本拠地に戻ってきた。相手は違えど、嫌な流れは漂っていた。しかも、福岡から札幌に移動しての当日ゲーム。一番、過酷だ。そこで快勝。これで文字通り、再出発を果たすことができた。
これぞエースというピッチング
先発した伊藤が、これぞエースという投球を見せてくれた。調子自体は決して良くなかった。どこか体の状態が悪かったのかもしれない。それでも一回2死満塁のピンチを、ギアを上げてしのぎきった。
初回ではあるが、試合のヤマ場のような切り替えを見せた。大量失点してもおかしくないシーンで無失点。あの一回の守りは実に大きかった。
道産子バッテリーが見せた引き出しの多さ
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
その後もスプリットが落ちなかったりと本調子にはほど遠かった。そこで女房役の伏見は軸のボールをスライダーや、インコースのツーシーム、真っすぐに切り替えた。さすがはずっとコンビを組んでいるバッテリーだ。2人の引き出しの多さが相手打線を上回った。
やっと持ち味を発揮し出した水谷
となれば、打線が応える。その裏、すぐに水谷が先制弾を放り込んだ。水谷はその後も三回に適時二塁打、七回にはこの日2本目の本塁打をマークした。やっと本来の姿を取り戻してくれた。昨季、交流戦で打ちまくった時のような雰囲気をまとっている。
もともと広角に長打を打てるのが彼の魅力。手足が長いにもかかわらず、バットが体に巻き付きながらコンパクトに出てくる。その持ち味を十二分に発揮してくれた。
高い技術が詰まった2本目の一発
特に2本目の一発には目を見張った。逆球ではあったが、津留崎が投じたインハイの強いボール。投ゴロや遊ゴロになってもおかしくないボールに対し、体を駒のように回転させてうまく反応した。高い技術が詰まった一撃だった。
今、レイエスや野村の状態が芳しくない。彼らが調子を取り戻すまで、水谷が打線を引っ張っていってくれるだろう。復帰して即、スタメンに名を連ね、適時二塁打を放った水野の存在も大きい。しっかりと再調整して戻ってきてくれた。
最後の最後まで分からないパ・リーグのV争い
日本ハムに3連勝したソフトバンクがこの日、西武の前に0封負けを喫した。しかも絶対的エースのモイネロで敗れた。今年のパ・リーグは分からない。最後の最後まで、もつれる雰囲気がプンプンしている。そういう試合の積み重ねこそが、選手の成長にもつながる。連日、目が離せない。