達孝太 野手用マシン「アイピッチ」で独自イメトレ「スキーンズを登録して…」
6勝目を挙げた達=撮影・金田翔
■パ・リーグ12回戦 日本ハム2-1西武(7月14日、東京ドーム)
今季2度目の完投で無傷の6勝目!
日本ハムの達孝太投手(21)が無傷の6勝目を挙げた。先発し9回、自己最多122球を投げきり、2安打1失点。デビューから先発のみで7連勝となり、自身が持つ日本記録を更新した。
バッター用のアイピッチをユニーク活用
今季序盤、まだ2軍で登板を続けていた頃、達は独自の練習法を編み出していた。
鎌ケ谷の室内練習場には、「アイピッチ」と呼ばれる野手用の打撃マシンが設置されている。トラックマンなどで計測された投手の球速、回転数などのデータを入力すると、マシンから〝本物〟に近いボールが放たれる優れものだ。通常は野手が攻略したい投手などに設定し、打撃練習に使用するが、右腕はこれを〝イメージトレーニング〟に活用した。
四回を無失点に抑えた達=撮影・小田岳史
世界屈指のストレートを体感
達は「アイピッチ」に、メジャーでも屈指の剛速球を投げるポール・スキーンズ(23、パイレーツ)を登録。もちろん、打撃練習はしない。
「自分で(球速を)100マイル(約160キロ)ぐらいにして、スキーンズの(回転数などの)成分を入力して。バッターボックスから見るわけじゃないですけど、マウンド側と、キャッチャー側から見て、ああ、こんな感じなんやって」。世界トップレベルの直球を体感し、自分との距離を測った。
繰り返すイメトレ 「暇があったらやっています」
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世界一の投手は、どんな球を投げるのか―。実際にメジャーリーグを観戦に行くことはできないが、「アイピッチ」を使えば想像ができる。
「はや!って思うだけなんですけど、そのスピード感を見ることによって、自分でもイメージがつくじゃないですか。このスピードだと、こういう軌道なんだって。暇があったらやっていますよ。速い球しか見ないです。ただただ100マイルを見る。だいたい右ピッチャーで」。日本にいながらスキーンズらの〝投球〟を目に焼き付け、100マイルを投げるイメージを膨らませた。

自身も設定済み 「真っすぐが速いのは、正義」
実は「達孝太」も、すでに登録済みだ。「アイピッチに達孝太を登録したんです。今度、打ってみたいですね。ボールは見ましたけど、スライダーがめっちゃ曲がっています。あとマシンだから当然ですけど、めっちゃコントロール良いです(笑)。めっちゃ、球速いです。でも、やっぱりスキーンズにはかなわないですね。真っすぐが速いのは、正義だなと思いました」

サイ・ヤング賞は確かな目標
直球へのこだわりは強い。入団以来、平均球速の向上に力を注いできた。最近ではコンスタントに150キロ超をマークするようになったが、目標はまだまだ上にある。
「153キロ、95マイルぐらいじゃ、メジャーに行ったらボコボコですよ。(目指すのは)アベレージで、100マイルです。これなら、メジャーでもトップクラス。先発だったら、デグロム、スキーンズぐらいじゃないですか。ここにスクーバル、ストライダーとかが来るか。そこは目標じゃないですかね。サイ・ヤング賞を獲るなら、そうならないといけないし、抑えないといけないし、あとは記者にも好かれないといけない(笑)」
確実に力強く成長中
この時、達はまだ今季未勝利だった。プロ通算1勝しかしていなかった21歳が真剣に、具体的に、サイヤング賞への道筋を思い描いていた。高卒4年目の覚醒は、決して偶然ではない。
