達孝太 誰もいなくなったウエートルームに足を運ぶ理由は…
北海道移転後1500勝の記念ボードを持つ(左から)玉井、達、伏見=撮影・松本奈央
■セ・パ交流戦1回戦 ヤクルト1-3日本ハム(6月10日、エスコンフィールド北海道)
北海道日本ハムファイターズと〝同い年〟の4年目右腕で1500勝
節目の北海道移転後1500勝は、未来のエースによってもたらされた!
日本ハムの達孝太投手(21)が7回3安打無失点で無傷の3勝目をマーク。「自分が生まれた日(2004年3月27日)に、北海道移転後初めてファイターズが試合をしたと聞いていたので、そこから節目の1500勝を自分が勝てたのはうれしかったですし、勝てる気しかしなかったですね」と胸を張った。
お立ち台で笑顔を見せる達(中央)
ダルビッシュのフォームで軌道修正
風格すら感じるマウンドさばきだ。立ち上がりは「ちょっと良くなかった」と二回に一瞬、制球を乱すも「ダルさん(ダルビッシュ)のフォームをまねしたような感じで」と大胆にフォームと感覚を修正。三回以降は調子を取り戻し、六、七回は走者を得点圏に背負ったが、何事もなかったかのように後続を断った。
3勝目を挙げた達=撮影・井上浩明
待ちに待ったブレークの年
高卒4年目の若き右腕が、覚醒の時を迎えている。今季はここまで4試合に登板し、26回⅔を投げて失点はわずかに「1」。ほぼイニング数と同じ26三振を奪い、防御率0.34と圧巻の数字だ。
プロ2年目から続けている〝日課〟
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達には、高卒2年目の頃から始めた〝日課〟がある。ある日は夕方、ある日は夜、鎌ケ谷の勇翔寮にあるウエートルームに人がいなくなるタイミングを見計らい、ひっそりと足を運んでいる。トレーニングは、別の時間に終わらせている。理由は掃除。「グラウンドも使ったら整備をする。そんな感じです」と少し照れながら明かした。
ウエートトレーニングを重要視する右腕は、必然的にウエートルームに滞在する時間が長くなる。「ずっと長い時間、ウエートルームにいることが多かったので、きれいな方がいいなと思って。2日に1回とか、毎日やる時もあります。夕方か夜か、みんなの(トレーニング)が終わったぐらいに、ささっと掃除しに行きます。15分ぐらいで終わるので」。自らを鍛える大切な場所に敬意を込めて毎回、全ての器具を拭いている。

無心になれる瞬間でもある
特に力を入れるのは、ベンチプレスなどに使用するシャフトを磨くこと。「シャフトに(重りの)プレートを入れる時に、滑りが悪かったら入れづらい。入らんなーっていうストレスをなくすために。スーッと入るように。磨くと、スッと入ります。めちゃくちゃ変わります」と力説した。
磨きながら、頭の中は空っぽにする。「掃除する時とか、ものを片付ける時は、考えてしまうと(汚れていることに)イラッとするので、無心で。考えない」と笑った。

先発ローテーションに欠かせない存在へ
もともと、きれい好きだ。自分の部屋も、常に清潔に保っている。「すっきりしている方が良くないですか。B型なんですけど、捨てるのが楽しい。定期的に断捨離していますね」
今季3勝目も、チーム節目の移転後1500勝も、達にとっては通過点でしかない。いらない物は捨てて、これからたくさんの白星を拾っていくつもりだ。
