達孝太 好投の要因は先輩左腕に懇願した〝お金で買えない〟誕生日プレゼント
四回2死、ロッテ・ソトを投ゴロに打ち取り、グラブを叩く達=撮影・松本奈央
■パ・リーグ8回戦 ロッテ1-4日本ハム(5月30日、エスコンフィールド北海道)
若き右腕が快〝投〟乱麻を断って2勝目
日本ハムの達孝太投手(21)が先発マウンドに上がり、七回途中で自己最多となる114球を投げて5安打無失点と好投。見事に今季2勝目をマークした。
2勝目を挙げた達=撮影・岩崎勝
きっかけは昨年10月のフェニックス・リーグ
偶然のつながりが、うれしい出会いをもたらした。昨年10月、達はフェニックス・リーグ参加のために訪れていた宮崎のジムで、ウオーキングをしながら大好きなボディビルの日本選手権を視聴していた。すると、通りかかった福田から「それ、知り合いが出ているよ」と声をかけられた。同大会で全国5位に入賞した寺山諒さんは、星槎道都大野球部出身で、左腕の1学年先輩だった。
「この大会で、寺山さんがいきなり5位になって、この人すげーって思って見ていたら、たまたま福さん(福田)の知り合いだったんです」
星槎道都大野球部時代に寺山諒さんの後輩だった福田
3月27日の誕生日 お願いしたプレゼントは…
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どうしても、会いたい―。3月27日が誕生日の右腕は、「福さん、誕プレに寺山さんとご飯、連れて行ってもらっていいですか?」と懇願。優しい先輩左腕の尽力もあり、4月上旬、食事をともにする機会に恵まれた。
貴重な機会を無駄にしない レジュメを作成
会食の席では貴重なチャンスを逃すまいと、矢継ぎ早に質問した。「寺山さんが減量期に入っていたので、ちょっと高級居酒屋みたいな、(食べるものが)何でもあるところを選びました。申し訳ないですけど、質問攻めにさせてもらって、トレーニングは何をやっているかとか、野球選手用にトレーニングメニューを組むなら、どういうトレーニングを処方するかとか、もう全部、聞きました」。もらった答えをいつでも〝復習〟できるように、すぐにレジュメを作ってまとめた。

見直したトレーニング方法
体に関する豊富な知識を持つ寺山さんの話は機知に富み、学びが多かった。「寺山さんに会って、話を聞いてから、考え方が変わりましたね」と感謝する。
「トレーニングパフォーマンスについての話が特に、印象的でした。(ウエートなどの)トレーニングのパフォーマンスを意識することで、勝手に、無意識的に野球のパフォーマンスが上がるよと。例えば、なんで球速が出ないんだろうという時に、原因を野球で探すだけじゃなくて、トレーニングの出力でも見る。野球だけで見すぎない。ウエートで、同じ重量を扱っているのに重く感じるとか、10回できていたものが8回で終わっちゃうとか、そういう指標にフォーカスして、その原因をつぶしていく。疲労が抜けていないのか、そもそも体が弱っているのか、栄養が取れていなくてエネルギーがないのか。そこで解決していく。そこのベースを整える。そう言われてから、技術に逃げることがなくなりました。トレーニングパフォーマンスを考えることによって、野球のパフォーマンスが安定しました」

重要なのはメンタル 「結局、最後は根性なんだな」
教わったことの中で、達の心を打ったのは「(トレーニング×食事×休養)×メンタル=トレーニングパフォーマンス」という方程式。トレーニング、食事、休養の全てをハイレベルで行っても、メンタルが伴わなければ全てが無駄になることを表している。
「どれだけ体のコンディションが良くて、どれだけフレッシュな状態でも、気持ちが0だと全然ダメ。気持ちが0.9でも効果が減ってしまうから、1.1にしたい。どれだけやる気が出なくても、ポジティブな言葉を自分に投げかけてあげることが大事。結局、最後は根性なんだなと。そういうの、自分は得意なので。気持ちでなんとでもなると思っているので」

前途洋々の21歳
最も重要な部分は、達が以前から大切にしてきた考え方と一緒だった。寺山さんの方程式に共感した右腕は〝根性論〟を胸に、これからも高みを目指し続ける。
お立ち台でレイエス(右)とグータッチを交わす達