達孝太 〝寅威さん〟のサインに首を振る回数を減らした理由
登板時はバッテリーを組むことが多い達(右)と伏見
マウンドに立てば遠慮なし
日本ハムの達孝太投手(21)は、何歳年上だろうと関係なく、捕手のサインに遠慮なく首を振るタイプだ。
「そこは気にしていたらダメですね。首を振ることに抵抗を感じたことはないです」と、きっぱり言い切る。
ベテラン捕手にも伝える意思
2023年にFAで伏見が加入してからは、1軍で登板した3試合すべて、13学年上の先輩捕手とバッテリーを組んでいる。それでも、年下右腕は意思を曲げない。

「ただ言われた通りに投げるだけじゃ、面白みがないじゃないですか。バッティングマシーンみたいになっちゃう。抑えることは大事なんですけど、自分の意思を持って抑えないと、そこに何も残らないと思う」と力を込めた。
バッテリーミーティングでイジられた「首振り」
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7回無失点と好投した18日のロッテ戦(ZOZOマリン)前には、伏見、山田バッテリーコーチと行ったミーティングで、「首振り」をイジられるようなやりとりもあった。
「バッテリーミーティングで、山田コーチが『全然、首を振って良いからね』って言ってくれたんですけど、(伏見)寅威さんは『こいつ、(もともと)全然、平気で首振りますよ』って言っていました(笑)」
5月18日のロッテ戦、四回2死一塁、ロッテ・安田に四球を許した達(左)に声を掛ける伏見
伏見のリードに感謝 「そういう使い方もあるんだな」
ただ、決して捕手をリスペクトしていないわけではない。
「寅威さんは、その日の調子によって、良いところを引き出してくれるなという印象があります。この前(のロッテ戦)は、カット(ボール)の引き出しを新たに増やしてもらいました。追い込んでから投げて、空振り三振が取れたので、そういう使い方もあるんだなと思いました」と感謝している。
5月18日のロッテ戦、七回2死一塁、高部を三振に取り、グラブを叩いて喜ぶ達
プロ初勝利を飾った試合での気付き
今年に入ってからの2試合は、意識的に首を振る回数を減らした。理由は、プロ初勝利を挙げた24年10月3日の登板(ロッテ戦)にあった。
「あの時に、寅威さんのサインに首を振って、違う球をいって、パンパンって2人ぐらいに打たれたんですよね。左バッターを追い込んでいて、内角に、首を振って投げたら打たれて。ファームでは、首を振って投げても、良い球が行けば抑えられていたんですけど。後から寅威さんに、『あそこは、(その打者が得意な)打たれるゾーンだから』って言われました。寅威さんは、(打たれることを)予期していた。それでも、試合の時は『好きなように投げたい球を投げていいよ』って言ってもらっていて、実際投げて、良い気付きになりました。なのでそこからは、確かに首を振る回数は減りました。それまでは、(打者の)得意なゾーンとか知らんし、って投げていたんですけど(笑)」。投手のために時間をかけて相手打者を分析し、最適なサインを出してくれる女房役の大切さを再認識した試合だった。
2024年10月3日のロッテ戦、初勝利を挙げた試合でバッテリーを組んだ達(右)と伏見
着実に力強く歩むエースへの道
自分の信念を貫きつつ、〝寅威さん〟のリードの意図にも考えを巡らせるようになった。
先輩捕手の助けも借りて、未来のエースはさらに成長を加速させる。

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