達孝太が無傷の4勝目 失敗に終わった〝金子千尋作戦〟とは
ヒーローインタビュー後、ファイターズガール、フレップとともにポーズを取る達(右から3人目)=撮影・桜田史宏
■セ・パ交流戦1回戦 日本ハム4-1巨人(6月17日、東京ドーム)
オレンジに染まった東京ドームに、青いユニホームの背番号16が映えた。日本ハムの達孝太投手(21)が、6回⅔を4安打1失点に抑え、無傷の4勝目をマーク。「完投する気持ちで行っていた」とイニング途中での降板に悔しさをにじませつつ、「でも、勝てたので良かったかなと思います」と最後は笑顔を見せた。

慣れない打席が回ってくるリズムに
敵地で行われる交流戦では、投手が打席に立つ。慣れないリズムに翻弄され、四回までに3四球と、前半は制球に苦しんだ。「やってみて気づきましたけど、乗り切れそうな時に打席が回ってくるので、そこで乗り切れずに、また調子が落ちたり。キャッチボールをしているときにネクスト(サークル)に入らなきゃいけなかったり、キャッチボールした流れで(マウンドに)行けなくて、その難しさが結構ありました」と振り返る。
それでも「もう、ど真ん中に投げようと思って、割り切れたときに修正できました」と、五、六回は3者凡退。七回2死一、二塁となったところで交代を告げられ「『おお、代えるんか』って思いながら(笑)。七回、あの(最後の)ワンアウトを取っていれば、ハイクオリティースタートもあったので、悔しかったですね」と唇をかみながらマウンドを降りたが、すぐに気持ちを切り替え、後続を抑えた河野らチームメートをベンチ前で真っ先に出迎えた。
マエケン撃ちの金子コーチを参考に
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密かに企んでいた〝金子千尋作戦〟は、あえなく失敗に終わった。現在2軍投手コーチを務める大先輩は沢村賞を獲得した2014年、広島との交流戦で前田健太(現カブス傘下3Aアイオワ)と対戦。打つ気のない様子で2打席、見逃し三振した後、七回2死二塁の好機で迎えた3打席目に、中越えの適時二塁打を放っていた。
鎌ケ谷での練習期間中、達は〝打者・金子〟の動画を研究した。「金子さん、マエケンさんから打っているんですよ。1、2打席目、全然打つ気なくて、3球で見逃し三振をするわけですよ。それで、チャンスの3打席目にタイムリー二塁打。この話、金子さんと、チラッとしたことがあるんですけど、これを参考に行きたいと思います」とワンチャンスに懸け、プロ初安打を狙っていた。
四回2死一塁、達が空振り三振に倒れる
「いや、打たさんでいいやろ」
しかし、結果は3打席立って3三振。1打席目はスイングせずに3球三振し、2打席目の2、3球目を振るも、ここも3球三振。今度こそ打つ気満々で準備していた3打席目は、「打たなくていい」とベンチから投球に専念するよう伝えられた。打席に向かう直前に達を呼び止め、指示を伝えた八木打撃コーチによると「もともとは『打ってこい』と言っていたんだけど、新庄監督が『いや、打たさんでいいやろ』ということだったので、急きょ方針を変更しました」と内幕を明かした。
プロで初めて打席に立った達は、「いや、当たらないっしょ。絶対当たらないですよ。(2打席目は)打って良いよって言われたので打ちに行ったんですけど、当たる気がしなかったですね」と相手投手に脱帽。「加藤(投手)コーチには、もうバッティングせんで良いって言われました。3三振を献上してしまったので悔しい」と苦笑いだった。
デビューから負けなしの5連勝
打席で快音を響かせることはできなかったが、デビューから負けなしの5連勝を達成。1軍初の中6日登板も問題にしなかったが、「今後は中6日、もしくは5日、4日ぐらいにはなっていきたいなと思っているので、まずは1歩目として、6日で投げられたのは、今後にもつながるピッチングだったんだなと思います」。サイヤング賞を目指す達はただひたすら、上だけを見ている。

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