高校野球
2023/05/11 21:30

【少年野球全国Vナイン 高校最後の夏へ】㊥ 東16丁目フリッパーズで全国優勝した選手たち

㊨㊤東海大札幌高・大塚&按田㊨㊦札幌白石・園部㊧㊦北海道科学大高・市村

 2017年夏、高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルドトーナメントで北海道勢初の優勝旗を手にした札幌・東16丁目フリッパーズ。当時のV戦士が高校最後の年を迎えた。その意気込みを伝える第2弾。

 トップバッターは、昨秋の全道16強の東海大札幌高の外野手コンビ、按田成琉と大塚渉夢だ。按田は昨秋の大会前に内野から外野に転向。11日の札幌支部初戦の札幌丘珠戦で打者デビューを果たした。高校ラストイヤーへ「甲子園に行って、見たことないチームも関係なしに、全部コールドにしてやっつけたい。自分たちの努力を全て出し切れるように頑張ります」と活躍を誓えば、途中出場した大塚も「みんなで全員一丸となって、チーム野球で頑張っていきます」と、2014年以来9年ぶりの夏の甲子園出場を目指す。フリッパーズでは共に主力。主に大塚が切り込み隊長、按田が2番や9番など繋ぎの役割を果たし、全国大会6試合全てに先発出場した。

繋ぎ役をこなした按田(東海大札幌高)

 按田のベストゲームは準決勝の茨城・茎崎ファイターズ戦。「9番・三塁」で先発すると2安打をマーク。1-1で迎えた五回の先頭打席で右前打を放ち、相手のミスの間に一気に二塁へ。後続の犠打とスクイズで決勝のホームを踏んだ。さらに六回の守備、1死一塁のピンチの場面で「ライン際に飛んできたのを取って捌いて、二塁でフォースアウトを取れた。今でも誇りに思えるぐらいの年で、とても光栄です」と胸を張った。

決勝戦の五回に同点打を放った大塚(東海大札幌高)

 大塚は「自分は決勝。人生が変わった日ですね」と、八回タイブレークの末の決勝戦を挙げた。「1番・右翼」で先発すると、2点ビハインドの五回。3連打で無死満塁の絶好機で打席に向かった。「自分がセンターオーバーを打って同点にして、3番の長内の内野ゴロでホームを踏んで逆転した場面は、やっぱり印象に残っています」。小学6年の進学時にチームに加入。「笹谷監督や按田だったり、いろんな仲間と日本一を目指そうってやって、その目標を達成できた。野球人生じゃなくて、自分自身の人生において、ここにかける思いが一番強かった年」と強烈な印象が脳裏に刻まれている。

 中学は、按田が軟式の高知・明徳義塾中、大塚は札幌新琴似シニアと全国的に有名な強豪チームに分かれたが、3年後、東海大札幌高で再び同じユニホームに袖を通すことになった。

 高校ラストイヤーの春は、2人とも2桁背番号。按田は「自分の持ち味は送球。肩は強い方だと思っている。去年は悔しい思いをしたんで、チームの先頭に立たなきゃいけないと、1打席1打席無駄にはしてこなかった。もう一度、日本一取れたら」。大塚は「長打と足の速さが持ち味。2年生の春夏とベンチに入れさせてもらって、秋も試合に出させてもらったけど、ひと冬越えると、みんなの技術も上がって、最後の夏にかける思いがみんな出てくる。自分も按田と一緒にチームを引っ張っていかないと」。互いに切磋琢磨しながら、甲子園を狙う強豪で定位置をつかむのためにアピールを続ける。

卒団後に成長した選手

 フリッパーズではレギュラーではなかったが、高校でしっかりレギュラーの座を射止めたのが、北海道科学大高で1年春から出場している市村颯唯三塁手と、この春高校デビューした札幌白石の園部新左翼手だ。市村は、10日の初戦で今季初安打もマークして五回コールド発進も「全然満足していない」と目をぎらつかせた。昨年、遊撃手からコンバート。「足が売り。自分的には守備も打撃も全部、三拍子そろった選手になりたい」。本心は遊撃手希望だがフォアザチームで勝利に貢献する。

高校1年春からレギュラーを射止めた市村(北海道科学大高)

 全国学童大会では、1回戦の長崎・波佐見鴻ノ巣戦に代打で出場。ボールを見極め四球を選び盗塁もマークした。2、3回戦では守備固め。小学3年でチームに加入したが、親の転勤で4、5年は宮城県で過ごした。6年時に再び北海道に戻り再加入した。日本一は「人生で一番感動した」。札幌真駒内シニアでは長内陽大投手(北海)と共にプレー。高校進学は「坊主じゃないので」と北海道科学大高に進んだ。同校は今春から手稲区に移転。「最近はみんな打てるようになってきて楽しくなってきた。全道に出て勝ち続けるのが目標」。移転後初の大会で13年ぶりの全道大会を狙う。

故障を乗り越え、今春高校デビュー即2安打の園部(札幌白石)

 園部は、利き腕の左肩関節唇のケガから復活し、11日の札幌支部1回戦の石狩翔陽戦で「3番・左翼」で高校デビューした。第1打席で左中間への三塁打、続く第2打席では中越え二塁打と2安打1打点で勝利に貢献。初打席は「けっこう緊張した」と苦笑いを浮かべた。昨秋は背番号17でベンチ入りも出番はなく、チームは代表決定戦で札幌日大高に敗れた。「去年の秋は、守備と打撃の面であまり調子が良くなかった。冬の間は相手投手の配球や、右左への対応を意識しながら素振りをしてきた」。秋の大会後に左肩を手術。つらいリハビリを経て、勝負の夏に間に合った。

 日本一に輝いた夏、園部は「ベンチだったので悔しかった」と振り返る。全国3回戦までは代打や代走で出場も、決勝戦で出番は訪れなかった。だが「全国制覇して、もっと野球を続けたい」と、札幌栄シニアでは内野から外野に挑戦。最後はベンチだったが、野球への情熱が冷めることはなく、道立の札幌白石に進学。しっかり番号「7」をゲットした。チームの目標は昨秋あと一歩で果たせなかった全道大会出場。「1個1個やれることをしっかりやって勝ち進んで行ければ」。22年ぶり3度目の代表切符をつかんでみせる。


◆東16丁目フリッパーズの全国優勝メンバー(6年のみ)
番 選 手 名(チーム)
① 長内 陽大(北 海-札幌真駒内シニア)
② 佐々木涼斗(札幌大谷-札幌新琴似シニア)
③ 斉藤 隼人(札幌日大高-札幌新琴似シニア)
④ 按田 成琉(東海大札幌高-高知・明徳義塾中)
⑤ 小保内貴堂(北 海-札幌西シニア)
⑦ 大塚 渉夢(東海大札幌高-札幌新琴似シニア)
⑧ 坂本 大河(札幌南-札幌西シニア)
⑨ 植村隆之助(札幌第一-札幌栄シニア)
⑩ 福岡 正規(高知・明徳義塾-同中)
⑪ 園部  新(札幌白石-札幌栄シニア)
⑫ 岡田  晴(札幌光星-札幌手稲ボーイズ)
⑳ 市村 颯唯(道科学大高-札幌真駒内シニア)

あわせて読みたい