侍ジャパン好救援の伊藤大海 先発・大谷から頭ポンポン 素顔は弟思いのお兄ちゃん

■WBC準々決勝 イタリア3-9日本(3月16日、東京ドーム)
五回2死一、三塁から先発・大谷の後を継ぎマウンドへ 「絶対ゼロで帰ってくるんだ」
大海の7球で、偉大な先輩のピンチを救った。日本ハムの伊藤大海投手(25)が、2点差に詰め寄られた直後の五回2死一、三塁から、先発・大谷翔平投手(28)の後を継ぎマウンドへ。イタリア代表の4番・サリバンを153キロの直球で遊飛に打ち取り、見事火消しに成功。ベンチ前で出迎えた大谷から「ナイスピー」と頭をポンポンとなでられ、「うれしかったです。絶対ゼロで帰ってくるんだというのが、ブルペンとしての役割。そこを体現できてよかった」とえくぼがくっきり浮かんだ。
大一番に「いつもの倍、手汗が出ていた」 気付けば〝追いロジン〟連発
米国行きを懸けた大一番。大事な場面を託され、強心臓の右腕は興奮していた。「いつもの倍、手汗が出ていた。無意識というか、勝手にロジンに手が伸びていました」と代名詞の〝追いロジン〟を連発。「変化球を打たれるくらいなら気持ちをぶつけていこう」と直球でグイグイ押し、窮地を脱した。
帰省した際には弟・駿航さんとゲーム、キャッチボール、お小遣い…etc
マウンドでは闘争心むき出しのオラオラ系。負けられない一戦で大仕事をやってのけた伊藤の素顔は負けず嫌いで、心優しいお兄ちゃんだ。年末年始に鹿部町の実家へ帰ったときは、弟・駿航(とわ)さん(14)がゲームをしているところに乱入。伊藤の方が熱中してしまい、負けたときは悔しがり「もう1回やろう」と言うほどだ。
中学2年の駿航さんは、伊藤も所属した函館東リトルシニアで野球に打ち込む。ポジションは当時の兄と同じ投手兼外野手で左打ち。母・正美さんが、変化球を投げている駿航さんのピッチング動画を送ると「この時期で、変化球なんて100年早いよ」。一緒に練習した際には、兄が「投球に気持ちがこもっていない」と指摘することもある。
いつも厳しい言葉を浴びせるのは、弟のことを気に掛けているからだ。昨秋、実家に帰省した際には、学校へ行っていた駿航さんの枕元に、お小遣いを入れたリストバンドを置くサプライズを敢行。正月には伊藤から「最後だからやっておくか」とキャッチボールに誘い、投げ方をレクチャーしてあげたという。
そんな道産子右腕の熱投もあり、侍ジャパンは4強進出。20日(日本時間21日)は米マイアミで準決勝に臨む。「準決勝、決勝で何かを野球選手から伝えられることを証明していけたらなと思います。任された場所で自分のやるべきことだけをやるだけ」と伊藤。米国の地でも、〝かっこいい兄やん〟の姿を見せ続ける。
先発の大谷
先発の大谷
五回2死一、三塁で登板し、〝追いロジン〟する伊藤
五回2死一、三塁で登板した伊藤
五回のピンチを凌いだ伊藤