ファイターズ
2026/03/10 06:00 NEW

日本ハムの井川伸久オーナーが語り尽くす 新庄監督のここを評価 メジャー挑戦支援の真意 今季の目標は「アレ」ではなく…

ファイターズは「新しいことをやる球団、チャレンジし続ける球団でありたい」と語る井川伸久オーナー

 プロ野球の開幕を前に、北海道日本ハムファイターズの井川伸久オーナー(64、日本ハム社長)が、道新スポーツデジタルの単独インタビューに答えた。5年目を迎えた新庄剛志監督(54)の評価や監督人事の哲学、選手の米大リーグ挑戦を応援する真意、6年ぶりに復帰した有原航平投手(33)にかけた言葉、開業4年目のエスコンフィールド北海道や、北海道移転を発表した2軍施設のこと、そして何より今季のチームへの期待などについて、経営者視点も交え、語ってもらいました。

 インタビューは2月25日、日本ハム東京支社(東京・品川区)で実施
     (聞き手・北海道新聞編集局道新スポーツ専任局次長 小林基秀)

いかわ・のぶひさ 1961年大阪府生まれ。関西大学法学部卒。1985年に日本ハムに入社し、加工事業本部営業本部フードサービス事業部長、加工事業本部長、副社長などを経て2023年に社長。4月に会長に就任する。23年からファイターズオーナー兼務。4月以降も続投する。

 

「厳格なオヤジ」ではなく

―新庄剛志監督5年目のシーズンを迎えます。これまでの4年をどう評価しますか
「オーナーとして新庄監督を非常に高く評価しています。監督に就任した4年前は選手層も薄かった中で若手を育成してくれたということ、これがまず1番です。次に、われわれのスローガンである『ファンサービス・ファースト』を実現していただいた。当初は選手よりも監督が目立ちすぎと言われたこともありましたが、ファンサービス・ファーストであったり、企業理念である「スポーツコミュニティー」という、スポーツで地域に貢献していくということに関して非常に前向きに取り組んでいただいたということ。この2つです」

【ファイターズの最新記事はコチラ】
 
―ファンサービス・ファーストに関し、具体的に新庄監督のどのような振る舞いを特に評価しているのでしょうか
「分け隔てなくファンに笑顔を振りまいたり、いろいろ写真を撮ったりしていただけるっていうのは、なかなかいないと思います。昔の監督っていうのは、『厳格なオヤジ』というイメージでしたが、新庄監督はそういう形じゃない。(新庄監督の)お考えの中では、ファンあっての選手なんだと、野球なんだというのをすごく思われている。年に何回かお話しをするごとに、そういう話をさせていただいて、そこは非常に一致しているところです」
 
―確かにあれだけファンサービスする監督はなかなかいない。2024年の交流戦、阪神甲子園球場でタイガースのユニフォームで出てきた時はびっくりしました
「開幕戦の演出の仕方だとか、新庄監督のアイデアもかなり取り入れています。アイデアマンですし、ファンに喜んでいただくということに関してはベースとして持たれている方なんで、非常にありがたいですね」

【〝新庄劇場〟in甲子園が開幕 阪神ユニで登場したサプライズ後は巧みな采配で王者を圧倒】

―新庄さんが監督を引き継いだ時、ちょうど世代の変わり目で選手層が薄かった。今は監督が2チームできると言うくらい、選手層が厚くなりました。これだけ選手が育ったことをオーナーはどう見ていますか
「選手とのコミュニケーションが優れているなと、客観的に見て感じます。全ての選手に対してその特徴を理解していて、そこに対して的確なアドバイスをして、そのアドバイスが非常に効果的に成果につながっていくと。いろんなマスコミを通して聞きますけれど、そういう監督って少ないんじゃないかなと思います。かつてはトップダウンの、昔のオヤジタイプの監督が多かった中で、今風のマネジメントかなって思います。一人一人の個性を引き出して、そこに対してアドバイスをして背中を押していくという、こういうマネジメントスタイルっていうのが、今の経営にもつながっていくような部分ではないかなと感じます」

栗山、新庄…監督起用の条件は

―5年前、新庄さんを監督に起用したことにファンや球界関係者が驚きました。振り返れば、その前の栗山英樹さん(現チーフ・ベースボール・オフィサー、2026年1月に野球殿堂入り)の監督起用もファイターズらしいというか、ファイターズにしかできない人事と言われました。そうした人事の「哲学」を教えてください
「先ほども申しましたように、われわれの企業理念はスポーツコミュニティーという、スポーツを通して地域社会とお互いに成長していき、コミュニケーションを高めていくと。その中でスローガンとしてファンサービス・ファースト、この2つのワードがベースになっています。われわれの球団ではこれが基本の哲学です。そういう中で、われわれがちょっと変わっているのは、野球界だけではなくて、人間力であったり、リーダーシップだとか、未来を切り開く部分だとか、そういうところも要素として挙げています。これは監督人事だけではなくて、プロ未経験の方や学校の教員、高校野球部の監督がスカウトに就任した実績があります。意外と野球界だけではなくて、いろんな多様性を持たれている方を球団の中に入れて、いろんな要素で多様性を維持しながら、現状の変化にどう対応していくのかっていうのを進めていると。こういうところがベースにあるんじゃないかなと思います」
 
【栗山英樹CBO 新庄監督への信頼と感謝 恒例の栗山天満宮参拝でV奪還&日本一を宣言】

球団に「辞めさせろ」の声

―現役時代から新庄さんのファンサービスの姿勢は素晴らしかった。それでも、監督に起用するというのは、なかなか思い付かないことです
「リスクはありました。現に、くじで打順を決めたりだとか、ありましたよね。毎日、打順を変えるだとか。1年目、2年目の最下位の時は、球団に厳しい声も届きました。V9時代の巨人のように1番から9番までレギュラーがいると。1番柴田、2番高田、3番王、4番長嶋…。そういう世代の方々から見れば、(新庄監督は)とんでもないことをやっているわけです。そういう方々からはさまざまなご指摘を直接いただいたこともありました」

3年目に2位の躍進「助かった」

―オーナーに直接会って言えるということは、それなりの方なわけですね
「はい(笑) でも、『もう少し待ってほしい』と。『今、選手が育ってるんで、いずれ結果が出ますから』と、こういう話をして待っていただいて、3年目に2位になった。これは、われわれとして非常に『助かった』。言葉は悪いですが。2位になって、(否定的な意見を)言われる機会が少なくなった。マスコミも『新庄さんのマネジメントはすごい』という話にだんだんなっていきましたよね。新庄さんの良いところは、最下位でも明るいんです。チームも明るいんですよ。で、そういう(新庄監督に批判的な)人から見ると、なんなんだと。もし、あれで(監督が)暗かったら、もしかしたらっていうこともあったかも分からない。それをみんなが一緒になって、あえて明るくして前向きに行く姿を見て、これはやっぱり強くなるんじゃないかなと思った。3年目、やっと2位になって良かったなと思います」

―「もしかしたら」というのは、そこで新庄監督を諦めたかもしれないと
「プロ野球の世界では3年目も最下位だと厳しいですよね。まあ、あそこですよね」
 
―今だからこうやって話せますけど、2年連続最下位だった時、オーナーとしてはつらかったんじゃないですか
「つらかったです。(新庄監督)3年目、初めて貯金ができた時はめちゃくちゃ喜びましたね。(今思うと)レベルが低すぎますけどね(笑)」

選手の夢を後押し、その先は本人の…

―ファイターズはダルビッシュ有投手や大谷翔平選手をはじめ、メジャーリーグへ選手を多く送り出し、「メジャー挑戦を応援する球団」というイメージが定着しています。それは今後も不変でしょうか

↓↓(残り3804文字)

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい