右足切断の危機を乗り越えて初出場した工藤璃星 「メダルをかけている自分を届けたかった」【ミラノ・コルティナ五輪】
女子ハーフパイプ決勝、1回目を終えて笑顔を見せる工藤=共同
日本女子最年少メダルならずも5位
【ミラノ共同】ミラノ・コルティナ冬季五輪第7日の12日(日本時間13日)、スノーボード女子ハーフパイプ(HP)決勝で小野光希(21)=バートン=が銅メダルを獲得した。この種目では前回北京五輪3位の冨田せな(26)=宇佐美SC=に続く表彰台。今大会の日本選手団のメダルは10個となり、3大会連続で2桁に達した。
ともに16歳で、冬季大会で日本女子最年少でのメダルを狙った清水さらは4位、工藤璃星(ともにTOKIOインカラミ)は5位だった。開会式で日本選手団の旗手を務めた冨田は9位に終わった。
17歳の崔ガオンは90.25点で、スキー、スノーボードの韓国勢として初の金メダル。3連覇を狙ったクロイ・キム(米国)は88.0点で2位だった。
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81.75点で日本勢3番手
初出場の工藤璃星=札幌北白石中出=が81.75点で日本勢3番手の5位に入った。23年5月に右足切断寸前の大けがで一時は選手生命も危ぶまれたが、メダルまであと一歩まで迫った。
女子ハーフパイプ決勝、 技を決める工藤
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決勝1本目3位から2本目はさらに上回る得点で3位をキープしたが、3本目は途中で転倒して得点を伸ばすことができず、後続に逆転された。目標の一つに掲げていた村瀬心椛が持つ17歳100日の冬季五輪日本女子史上最年少メダルを更新することはできず、「メダルに届かず本当に悔しいし、メダルをかけている自分を届けたかった」と悔しがった。
米軍の専用機で緊急搬送 父・佳人さん「早くしないと足を切断…」
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23年5月の米国遠征中。練習中、エアマットに着地する際に右足大腿(だいたい)骨を骨折。同時に腓骨(ひこつ)神経も断裂した。帯同していた平野歩夢(27)=TOKIOインカラミ=の幼少期のコーチでもあった、父の佳人さん(58)は、「早くしないと足を切断しなきゃならないって言われて。すぐ軍の専用機で病院に行ってくれて手術。壊死しなかったから大丈夫でしたけど、足がなくなるところだった」と振り返る。

日常生活に支障も悲壮感は見せず
けがの後遺症で右足首は以前のように自由に動かない。足首を上に持ち上げる神経が正常には機能せず、ボードの微妙なコントロールには困難を要した。日常生活を送っているときも「歩いていたら1人でずっこけたりするから、恥ずかしくて」と話すが、決して悲壮感を表には出さず明るく振る舞う。競技に対する情熱も冷めることはなかった。神経をつなぎ合わせる再手術を行い、24年2月にはユース五輪で史上最年少優勝を遂げた。
翌シーズンにはW杯出場の年齢制限が解禁。参戦2季目の今季は、サポートを受ける用具メーカーから工藤の右足専用のビンディングの提供を受け、25年12月の開幕戦で初の表彰台となる2位に入った。26年1月のW杯では2度目の2位に入って五輪初切符をたぐり寄せ、一躍メダル候補となって注目を浴びた。
女子ハーフパイプ決勝、 1回目を終えた工藤
「自分をまた成長させられる」
初の夢舞台は憧れのクロイ・キムには届かず5位に終わったが、「自分をこれからまた成長させられるような大会になった」と捉え、前を見据える。璃星の英語表記は「RISE」。日本語で「上がる」や「(太陽が)昇る」という意味を表す。スノーボード界の未来を担う新星が、4年後のフランス・アルプスの空の下、世界の頂点へと大きな羽を広げる。
女子ハーフパイプで5位入賞した工藤。ボードのビンディングに凝らした工夫が失意の工藤を救った
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