松本剛 ファイターズの仲間たちへの思い 「泣きそうだった」SNSのメッセージに〝返信〟
仲間にファンに愛されたチームリーダー
日本ハムから巨人にFA加入した松本剛外野手(32)には、かけがえのない仲間がいる。移籍が決まった11月26日、自身のインスタグラムにファイターズファンとジャイアンツファンへの決意を投稿すると、一緒に戦ってきたチームメートたちが愛情たっぷりのメッセージを寄せてくれた。
「泣きそうだった。インスタでみんな投稿してくれて、今の時代のらしさというか、昔ではないような感じで、みんなメッセージを残してくれて素直にうれしいです」。新天地で活躍を誓う松本剛にとって、その言葉の一つ一つが大きな励み。道新スポーツデジタルを通して、大切な仲間たちへ感謝の思いを語った。
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清宮幸太郎内野手へ
松本剛が2023年から3年間務めた選手会長を引き継ぐ清宮幸は、インスタグラムで「Love剛さん♡」と素直な思いをつづってくれた。24年に将来の会長候補として選手会役員に入閣し、チームの中心選手として活躍する姿を頼もしく見ていた。
「幸太郎は最後も、すごい寂しいと口にしてくれました。でも今年1年、選手会長としての仕事はある程度、引き継ぎできたと思いますし、もともと性格的にも意外にそういうのはしっかりやると思う。幸太郎らしくやってくれたらなと思います。あの世代の選手たちはすごい意識も上がっているし、試合に出て責任感を持ってプレーしている姿に僕もすごく刺激をもらっていました。そこに対しては違うチームになりますけど、負けじと頑張りたいなと思います」
3月28日の西武戦、七回に先制本塁打を放った清宮幸(右)とハイタッチを交わす松本剛
浅間大基外野手へ
22年オフにソフトバンクへFA移籍したドラフト同期の近藤から託された会長職。右腕として支えてくれたのが、同じ外野手の浅間だった。3学年下の後輩とは、なんでも話せる仲だった。
「大基はね~。本当にプライベートも一緒に過ごすことが多かったし、同じポジションで、なんでそんな仲いいんだと思うかもしれないですけど、普通に気も合うし、一緒にいて面白いやつだし、あんな感じだけど、先輩に対しての気遣いとかそういうのって本当にできる子なので、一緒にいてストレスを感じたことが全然なかったです。何かあったら大基、みたいなところがあった。大基かピン(石井)か。大基は(チームを)離れる時も悲しいと言ってましたけど、全然、会えると思うので。(入団)1年目から、すげえ能力が高い選手が入ってきたなって。すぐレギュラー取るんだろうなってところから本人も苦しんでいるし、けがに悩まされている野球人生なんですけど。もう同じポジションじゃないので。応援しやすいっていったらあれですけど、同じようにセンターでお互い開幕戦に出られたらうれしいなと思います」
11月18日、お揃いコーデでトークショーに出演した松本剛(右)と浅間
奈良間大己内野手へ
新たに選手会役員に入る奈良間とは、本拠地・エスコンのロッカーが隣同士だった。主に守備固めとして出場し、失策ゼロでシーズンを終えたムードメーカーの努力を近くで見ていた。
「奈良間はめちゃめちゃかわいい後輩だった。ロッカーの横で、ずっとふざけて…。ずっとふざけてはない。ふざけさせていた。空気も読める子だから、気を使ったり、周りの顔色をうかがったりできる。すごいなと思って見ていました。あのポジションでああやって試合に出て、あの中であれだけのプレーができるのはプロフェッショナルだと思う。真面目だしね。毎日のルーティンというか、毎日毎日、試合後ずっとやっているし、そのへんは崩さない男だったので。レギュラーを取りたい気持ちがより一層、強くなっていると思うので、スタメンの奈良間で会えたらいいですけどね」
8月24日 のソフトバンク戦、延長十回1死満塁、サヨナラ打を放ち、喜ぶ奈良間(左から2人目)を笑顔で見つめる松本剛(同3人目)
郡司裕也捕手へ
23年シーズン途中に中日からトレード加入した郡司とは、一緒にプレーした時間は短かった。それでも「剛さんに出会えて良かった」と感謝してくれた。
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「ぐんちゃん。郡司ね。変わったね。すごいですね。人って数年で変わるんだなっていうのを体現した選手だし、1年で人生変えて。新庄さんも3日で変わるとか言ってますけど、そういうのを今回、より体現した選手だし、ファイターズでは外様だけど〝顔〟みたいになってきているので。あの感じでやっていってほしいなと思うし、自分に対してちょっと控えめなところもあるので。一歩引けるところがあるので、もっともっとガンガン前面に出してやっていってほしいなって思います。同じ右バッターで僕も勉強することあるし、これからもたぶんプレイヤーとして見続けると思います。先輩に飯連れて行ってもらうイベントがなくなると言っていた? 金稼いでるので大丈夫です(笑)」
10月11日、オリックスとのCS第1戦の四回2死、ソロ本塁打を放った郡司(手前)を出迎える松本剛(左から2人目)
万波中正外野手へ
同じポジションの万波は、松本剛が試合後すぐにスパイク、グラブを磨くルーティンを「プロとして、すごいすてきなこと」と言ってくれていた。そんな後輩は刺激をくれる存在だった。
「マンチュウもルーティンとかすごい大事にするし、一人の世界で黙々とやれる選手なので。マンチュウにしかないリズムがここ数年、確立されてきているので、すげえなって思って見ていました。ただ、それでたまに周りが見えなくなっちゃう時とか、マンチュウのもったいないところだなと、気付いたら言ってきたし。でも、たぶんすごい自覚を持つ選手だし、ここ数年は自覚を持ってプレーしている選手なので、ファイターズの顔ですし、幸太郎とマンチュウとジェイ(野村)3人でね。能力はすごいので。全然、僕なんかより何倍もすごいもの持っている選手が、若い選手には多いので」
9月18日のソフトバンク戦、試合前練習の合間に矢沢(中央)と話す松本剛(右)と万波
宮崎一樹外野手へ
今季は2度の2軍落ちを経験。苦しいシーズンとなったが、2軍施設の鎌ケ谷では若手選手との交流があった。弟子入りを志願してくれたのが、2年目のシーズンを終えた同じ右打ちの外野手・宮崎だった。松本剛との出会いをきっかけに「バッティングが一気に変わりました。未来に希望が持てるようになりました」と話してくれた。
「ザキは…ファームにいた時に一番、熱心にバッティングのことを聞いてくれた。バッティングのことも守備のことも、いろんな話をしたし、ポテンシャルが高い選手だと思います。まだまだやらないといけないことがあるのも本人は分かっているし。いろんなことに今、取り組んでいる。迷っている途中だと思う。少しでも手助けできたらいいなと思うし、いつでも連絡してほしいと本人には伝えています。僕も、言っていることがちょっとでも、なんでもいいのでプラスになればいいと思います」
7月3日、鎌ケ谷での練習を終えて、寮に戻る松本剛(左)と宮崎
伊藤大海投手へ
チームを引っ張っていくことをあらためて誓ってくれたのがエースの伊藤だ。「剛さんほど、周りを見られる人がいなくなる。僕がそういう立ち回りをしたい」と意気込んでいる。
「今の大海だったら、人が変わったというか、数年前の大海とは全く違うので。僕がいる時から、ピッチャーに対しての目配りはチームで一番やっていたと思うし、若い選手のこともすごく気にしてやって、あの成績を残していて、尊敬することばかりなので。僕がいなくなって彼は寂しいと思いますけど。ハハハ。楽しみですね。ちゃんと対戦できるように僕も頑張りたいし、大海がまたチームを引っ張ってやってくれると思うので、僕も負けじと頑張りたいなと思います」
2024年3月29日のロッテ戦、五回に適時三塁打を放った松本剛(右)が先発の伊藤に(前日約束した4点まで)”あと1点ね”と告げる
宮西尚生投手へ
チーム最年長のレジェンド左腕・宮西は、「剛!! 己の道を信じて邁進せよ」と力強いメッセージをくれた。今シーズン中も苦しい時、〝投手会弁護士〟を務める松本剛に声かけをしてくれていた。
「投手会があるんですけど、何かもめたら僕が間に入って弁護していました。大事な役目。でも、いつも宮西びいきだって、ほかの中継ぎ投手陣から批判を食らっていたんですけど(笑)。あの弁護士は使い物にならない、といつも言われていましたけど、宮西さんがふざけながらもめているので、その場にいつも僕も入っていく感じでした。あの人ってそんなに多くを語る人ではないし、なんか言ったりするような人ではないけど、近くにいればいるほど、すごみを感じるというか。この年齢でこれだけできている理由じゃないけど、切り替えのうまさとか簡単に言葉に表せないけど、メンタルの図太さとか。自分をコントロールするの上手だし、たぶん年齢が一番上で後輩に見られているという認識もずっとあったので、そのへんも含めてピッチャーらしさというか、すごく感じる選手、先輩でした。ちょくちょく冗談半分で僕にもしょっちゅう声をかけてくれた。調子が悪かった時も一言、二言『そんな時もあるよ』みたいな感じで、いつも励ましの言葉を。僕に声をかけられる人はなかなかいなかったので、その中のうちの一人ですごく支えになっていました。宮西さんには『引退試合は僕、行きますので』と言ったんですけど、『そんなに偉そうなこと言っていますけど、僕が先にやめないように頑張ります』とも本人に伝えました」
9月4日の ロッテ戦、試合前練習で談笑する(左から)宮西、野村、松本剛
〝チーム伊江島〟石井一成内野手、野村佑希内野手、細川凌平内野手へ
オフの時間も一緒に過ごしてきたのが、毎年1月に沖縄・伊江島で合同自主トレを行う石井、野村、細川の3選手だった。寝食を共にし、まるで家族のような存在だった。石井がFAで西武に移籍し、松本剛とともにチームを去る。それでも、絆は強い。
「伊江島メンバーはすごく慕ってくれているし、仲間たちって感じ。ピン(石井)が大卒で入ってきて苦しい思いをしているのは何度も見ているので。やっと認めてもらったな、良かったなと思いますし。今回、同じタイミングで違うチームに行くので、切磋琢磨してやっていければ。ジェイ(野村)はね。もうそれこそ、おまえはどデカい契約を取れる選手になれるからって言ったので。僕ももう一回、2年後にいい契約をつかみ取れるように頑張るから、おまえもどデカい契約を取れる選手になれよと笑いながら言って。ホソ(細川)はね。真面目なので。今はなかなかうまくいっていないけど、僕もそういう時期が長かったし、気持ち分かるから。このメンバーはこれから先、なんでも相談に乗って支えていけたらなと思いますね」
1月21日、伊江島での自主トレで開幕4番ポーズの(左から)細川、石井、野村、松本剛
移籍にあたって、たくさんのチームメートが別れを悲しみ、応援の言葉をかけてくれた。「いろんな人がああやって(インスタで)伝えてくれたし、直接会った時、寂しいっすよとずっと言ってくれた。そうやって言ってくれるのはうれしいなと思うし、一緒にできなくなるのは寂しいけど、対戦するのがすごい楽しみになっています。同一リーグじゃないから、顔を合わす機会は少ないけれど、次に対戦したらどうやって打とうかなとか、すげえ楽しみだなって」。来年5月にはエスコンフィールド北海道で巨人との交流戦が予定されている。新天地でレギュラーをつかみ取り、みんなと笑顔で再会する。
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