変わらぬリスペクト　「どのチームを選んでも剛さん」

　日本ハムの水野達稀内野手（２５）は、ＦＡで巨人への移籍が決まった松本剛外野手（３２）を「兄貴的な存在」と慕っていた。

　２軍でくすぶっていた頃にかけてもらった言葉は、今も大切に胸にしまっている。頼れる先輩が抜ける来季は定位置を勝ち取り、中心となって優勝をつかみにいく。

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　大好きな先輩がチームを離れる。鎌ケ谷で自主練習を終えた水野は「寂しいですよ。相談もしやすいですし、せっかく仲良くなれた先輩だったので」と別れを惜しんだ。それでも、巨人を選んだ〝剛さん〟の決断は尊重している。「選択するのは剛さんなので。どのチームを選んでも、剛さんは剛さんなので。ジャイアンツで頑張る剛さんを見たいです」と笑顔を見せた。

温かくも厳しかったベテラン外野手

　昨年から１軍でプレーする時間が増え、徐々に仲を深めてきた。松本剛は後輩に対し、いつもフランクで優しい先輩だった。ただ、間違っていることは間違っていると教えてくれる人でもあった。

　「僕らの代が多い中で、優しく見守ってくれました。でも、ダメな時はちゃんと言ってくれます。本当にお兄ちゃん的な存在です」と深く感謝している。

ターニングポイントとなったあの日

　松本剛からもらった助言で、心に深く刻まれた言葉がある。

　「２年目の終わりに、まだ全然うまくいかない時に風呂場で一緒になって、『おまえは能力があるから。目立とうとするな、普通にやれ。普通にやったら、おまえはやれるから』というのを言ってもらって。バッティングはもう、なんぼでも目立っていいと言われたんですけど、守備、走塁でのミスが多かったので、守備、走塁で変に目立つなと言われました。普通にやっておけばできるんだから、変に守備、走塁で頑張ろう、みたいに思わないでいい、というのは言われて、すごい楽になりました」

　当時、水野はまだ１軍に定着できていなかった。焦りから、特に守備や走塁でミスが増えていた。「アピールしなければいけない立場だったのもあって、空回りしていた部分はあったと思います。剛さんにそういうことを言われて、能力を認めてくれたことが、剛さんに認めてもらったことがうれしかったですし、剛さんの言葉を信じてやってみようと思っての去年（の活躍）だったので。本当にかけてもらった言葉の中では一番、覚えていますね」。金言を生かし、昨年１０５試合に出場してブレークすると、今年も二遊間で存在感を発揮し、チームに欠かせない戦力となった。

〝兄貴〟に誓ったレギュラー奪取

　来季は松本剛だけでなく、伏見寅威、石井一成と、頼れる先輩たちがいなくなる。チームの勝敗に責任を負う立場だと自覚している。「支えてくれた年上の３人が一気にいなくなってしまったので、僕らの代がやっていかないといけないなと思っています」と力を込めた。

　松本剛からはもう１つ、励ましの言葉をもらった。「剛さんに言われたんですよ。『ショートができるやつは強いから』と。来年、どこをやるか分からないですけど、『ショートを守れて打てる選手は、非常に価値が高い』ということも言ってもらったので、そういう選手になれるように。剛さんもちょっと気にかけてくれたらうれしいですね」。遊撃のレギュラーを奪い、セ・リーグまで届く大活躍を見せ、恩返しするつもりだ。