万波中正が明かす 松本剛が試合後に必ず行う「プロとして、すごい素敵なこと」
鎌ケ谷の室内練習場で打撃練習をする万波=撮影・近藤裕介
日に日に募る惜別の思い
日本ハムの万波中正外野手(25)は、巨人へのFA移籍が決まった松本剛外野手(32)の〝本当にすごいところ〟を間近で見てきた。入団してから7年間、手本となる背中を示し続けてくれた先輩に、感謝の思いは尽きない。
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「本当に、みんなそうだと思うんですけど、剛さんにはすごくお世話になっているので、寂しさもあります。全ての面でチームの中心で、選手会長としてもそうですし、フィールドでも中心でまとめてくれていた人でした。入団してからずっと(一緒に)やっている先輩というのは、そんなに多いわけではないですし、すごくいっぱい思い出があります」

姿を決断を すべてをリスペクト
ただ、寂しさはあれど、松本剛が悩んだ末に出したプロとしての決断を尊重している。「FAなので、僕はファイターズの条件とか、ジャイアンツの条件は何も知らないですけど、良い条件を出してくれるところと契約をするのは当たり前のことだと思います。(松本)剛さんは、そういう決断をしたんだな、という感じですね」と、別れを素直に受け入れた。
入団時、最初に目にしたのは、リハビリ中の松本剛だった。「僕が入った時、剛さんは確か、肘の手術か何かをして、ずっとリハビリをしていたり、DHで試合に出たり、みたいな感じだったんです。けがをしている時期もすごい長かったと思うんですけど、本当に練習もルーティンもとにかくブレない。それを見て、やっぱりすごいなと思っていましたね」。苦しいはずの時間でも人一倍、丁寧に過ごす姿に感銘を受けた。
何度も目にしてきた試合後の…
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松本剛のブレないルーティンの中で、特に心に響いたものがある。
「1軍の試合でも、2軍の試合でも全部、試合が終わったらすぐスパイクを磨いて、グラブを磨いて、というのを必ず欠かさないのが剛さんです。剛さんからしたら、ただの習慣なのかもしれないですけど、なかなかそれは、毎日できることではないし、時間がない中でも絶対にやっているのを見て、そういうのはプロとして、すごい素敵なことだなと思っていました」
プロといえども人間。気分が乗らないときもある。万波は「僕はやっぱり気持ちの浮き沈みが結構、あるタイプなので、気分が乗らない中で、トレーニングをやらないといけないなと思いながら、すごい乗っている時と同じクオリティでできているかと言われたら、疑問ではある」と認める。だからこそ、先輩のすごさを痛感している。
2020年、ファームでともに汗を流す万波(奥左)と松本剛(奥右)
思いを、行動を受け継ぐ
「剛さんは、練習をすごい計画的にやっている人だと思うんですけど、一番すごいのは、とにかくメニューに対して手を抜かない。それは簡単なようで、全部に対して手を抜かないって、すごく難しいことなんです。ドリル1個にしても、本当に目的意識を持ってやられているなと感じたので、そういうのはすごい勉強になりますよ。剛さんは常に、出されたメニューに対して全部、どんな時でもバシ、バシとやる。本当にすごいなと思います」
グラウンド外でも、松本剛から学ぶことは多い。「外野手は今、剛さんが声をかけてくれて、結構みんなで食事に行ったりするんですよ。シーズン中も、そういう機会がちょくちょくあって。ここ2、3年は、剛さんが積極的にそういうことをやってくださって、それは本当にうれしいですし、とにかく楽しいですし、コミュニケーションをより取れて、みんながすごくやりやすくなっているというのは、確実にあると思いますし、すごくありがたかったです。剛さんがいなくなっても、そういうことは続けていきたいなと思いますね。特に、自分より下の選手が増えてきたら」。先輩から受けた恩は、後輩たちに還元していくつもりだ。
プレーで姿勢でチームを引っ張る
来季がプロ8年目。松本剛のいないチームの中心に、自分が立つ覚悟がある。「(伏見)寅威さんも抜けて、さらにチームが若くなった。僕らの代が自覚を持ってやらないといけないなと思います」
先輩の背中を見て過ごす時間は終わった。次は背番号66が、先頭に立って引っ張っていく。
