万波中正〝不動心〟で2発6打点「野球に関しては動じなくなった」過去には涙した試合も
五回無死満塁、逆転の本塁打を放った万波(右)=撮影・松本奈央
■パ・リーグ7回戦 楽天7-8日本ハム(5月10日、エスコンフィールド北海道)
圧巻の2発―。北海道日本ハムファイターズの万波中正外野手(25)が満塁弾含む2本塁打6打点をマークし、チームを逆転勝利に導いた。5月は8試合で4本塁打と荒稼ぎしており、ここまで積み上げた9本のアーチはリーグ単独トップの数字だ。「間違いなく上向き」と話す大砲が、量産体勢に突入した。
「すげーうまく打てた」自画自賛の8号2ラン
雨模様の1日となったが、チームの主役が美しい放物線を2本描いた。まずは1点リードの二回無死一塁。楽天の先発・古謝の投じた初球の外角直球を完璧に捉え、8号2ランを右翼ブルペンに突き刺した。コースに逆らわずはじき返し、ファウルにせず、引っかけることもなかった一打を「すげーうまく打てたなと。下半身の使い方も、もちろんのバットの軌道も、全部がうまくいかないと打てないような当たり」と自賛した。
二回無死一塁、2点本塁打を放つ万波=撮影・宮永春希
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そして、本拠地が興奮のるつぼと化したのは2点ビハインドの五回だった。無死満塁の絶好機で第3打席、1ボールから楽天・松井のカットボールを強振。高々と舞い上がった打球はそのまま左翼ブルペンに着弾した。楽天・村林も四回に満塁弾を放っていたが、お返しとなるグランドスラムで一気に試合をひっくり返した。ただ、万波は表情を変えることなくダイヤモンドを1周していた。
前日9日途中交代も「ずるずるいったら良くない」
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前日9日、作戦に関わることから詳細は伏せたが、スタメン出場の万波はあるプレーでサインミスし、途中交代となっていた。「きょう、ずるずるいったら良くないなと思いましたし、やっぱ、もうひと踏ん張りして、毎日試合に出るためにはミスを続けないことが大事だと思いますし、何より結果を出すことが大事だと思うので。まあでも、きょうはほんと絶対に打ちたいと思ってました」と汚名返上の2本塁打につなげた。
五回無死満塁、逆転の本塁打を放った万波
メンタルの波が少なくなった
終わったことは諦める―。2023年シーズンから2年連続規定打席をクリアしている万波は、試合を重ねるごとにメンタルの波が少なくなっている。「終わったことに関しては、基本的に諦めというか、特に野球で何が起きても、ほとんど引きずることはないです」とキッパリ。試合が進行していく中で、ミスを引きずってもいいことはないことは、身に染みて感じている。22年5月27日の巨人戦(札幌ドーム)では適時失策を犯した。試合はチームメートのカバーもあり勝利したが、悔しさと先輩たちへの感謝から試合後に涙したこともあった。
「一番、ダメなのは引きずって、ずるずるいくこと。どんなに悔やんでも取り返せないですね。時間を巻き戻せたらいいのに、とは思いますけど、終わったことは諦めて、次のことを考えて、って感じです。僕は波がある方だと思うんですけど、気持ちはすごく一定というか、特に野球に関しては並大抵のことでは動じなくなりましたね」
五回無死満塁、逆転の本塁打を放ち、レイエス(左)ら走者とハイタッチを交わす万波(右から2人目)
キングのバットでチームをVに導く
チームは貯金を今季最多の「5」まで積み上げるなど、春の出だしは上々のスタート。さらに万波のバットも右肩上がりの気配を見せており、お立ち台では「シーズンは長いですけど、優勝できるように一緒に頑張りましょう」と呼びかけた。新緑の季節を迎える北海道。キングを中心としたF打線が、すがすがしい勝利を重ねていく。
お立ち台で笑顔をみせる万波(右)と宮西