【新春特別インタビュー】達孝太 沢村賞全項目クリアに照準 お手本は悲運も経験した金子投手コーディネーター
あけましておめでとうございます!のあいさつとともに26年への意気込み、熱意を語る達=撮影・北村史成
さらなる飛躍を目指す2026年シーズン!
日本ハムの達孝太投手(21)が北海道新聞、道新スポーツデジタルの合同インタビューに応じ、2026年の誓いを立てた。未完の大器だった21年ドラフト1位右腕は、4年目の25年に大ブレーク。先発ローテーションの一角に加わり、8勝を挙げた。次代のエース候補が描く未来の姿とは―。沢村賞、ビッグマウス、ファッション、結婚観などさまざまなテーマに沿って本音トークを展開した。
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―2025年シーズンを振り返って
「良かったんじゃないですか、一言で言ったら。想像はしていましたけど、こんなにちゃんと結果が出たということで、安心感にはつながっていますね」

―プロ入りから3年で1軍2登板だったが、4年目で躍進。想定していたか
「24年の後半から、先発としてのパフォーマンスを求め出したので。そこからはファームでも1軍でも、コンスタントに結果は出ていたので、その部分(過程)に関してはいいんじゃないですか」
―先発ローテに定着して優勝争い、CS(クライマックスシリーズ)を経験。CSファイナルの初戦と最終戦を経験したことがターニングポイントになったか
「あの中4日を経験したので、中6日がすごく楽に感じるんじゃないかなと、勝手に思っていますね」
―プレッシャーの中で投げたことも
「(普段とは異なる)調整や体の疲労感を考えると、中4日は結構しんどかったので。来年は中6日で回ることが多くなると思いますけど、すごく生きそうな感じもして、良い経験ができたなと思います」
―現代のプロ野球で中4日は異例。高校時代は連投もあったが
「あの頃の気持ちを忘れていますね、高校の時の気持ちを(笑)。思い出さないといけないなと思います」
2021年10月11日、日本ハムからドラフト1位指名を受けた達がシャドーピッチング
―メジャーでは球数を制限し、中4日で回る
「アメリカではこれを1年間やるのかと思ったら、もう想像もできないです(笑)」
千里の道も一歩から
―昨オフから自費でアメリカに渡り、自主トレを行っている。学んだことが身に付いている実感は
「それは(米国自主トレに限らず)1年目からずっとそうなので。一つ一つ課題を設定して、1個ずつクリアしていくということは、ずっと変わっていない。そのおかげで成長しているんじゃないかなと思います」
―取り組み方は、高校時代から確立しているのか
「そうですね。それが楽しいので。一気に全部やるのではなくて、1個ずつつぶしていって、つぶしていけば、つぶしていくほど、また新しいものが生えてくるので。それを一生、つぶし続けるんじゃないかなと思っていますね、これからも」
―課題は、細かい投球の技術なども
「もう全部ですね。フィジカルの課題もそうですし、試合の中での課題も。最近はそれがより技術的な部分に近づいてきているので。3年前、4年前とはちょっと違う課題にはなっていますけれど」
―例えばどんな課題へと移行しているか
「1年目は毎回、トレーニングで、絶対に重りを前回より上げようという課題。体をつくることがメイン。最近は配球のことであったり、あの場面、あの球ではなかったよね、というのを一つ一つ、つぶしていって。あとは絶対にその場面でやってはいけないこととか、いろいろあるので、という感じですね」

大きかったエース右腕の存在
―完投、完封へのこだわりをシーズン中から口にしていた
「それこそ(伊藤)大海さんがあれだけ長いイニングを投げて完投、完封しているのを見ていると、こちらもしないといけないな、という気持ちになりましたし、周りの先発陣もそういう雰囲気になっていたので。良い流れをつくってくれた大海さんがいたからだと思います」
―レギュラーシーズン最終登板となった9月27日のロッテ戦(ZOZOマリン)でプロ初完封を達成
「完封しようと思っても完封できないですね。それは今年、ずっと思っていましたね。あの試合も、そんなにめちゃくちゃ調子が良かったかと言われると、そんなことはなかったんですけど、目の前のバッターを一人一人、つぶしていったら、結果的に完封、完投できていたという。今年はほとんどそうだったので」
―伊藤が獲得した沢村賞への思いも芽生えた
「今までは山本由伸さん(現ドジャース)とか、ちょっと遠かったじゃないですか。身近にいなかったので、あまりイメージが沸かなかったんですけど、大海さんが獲ることによって、ちょっと近づいた感じがしたので。身近な人が獲ると、やはり影響は受けますよね」
昨年10月、練習中に笑顔で会話をする達(左)と伊藤
―新人王獲得はならなかった。悔しさはあったか
「悔しさというのはなかったですかね。それこそ自分は規定(投球回数)も投げていないですし、2桁も勝っていないので、それはそうなんじゃないかなとは、僕自身も思っていました」
―獲れたら、うれしかったが
「そうですね。そこは自分がコントロールできる部分ではなく、期待してもしょうがないので、それよりも沢村賞を獲りたいなと思いましたね。絶対に毎年1人選ばれる、というわけではないですし、本当に良いピッチャーに与えられるものだと思うので、全項目をクリアしたいですね」
―現代ではなかなか過酷な数字
「金子さん(投手コーディネーター)が(2013年に)全項目クリアして、沢村賞を獲れなかったらしいんですよ。楽天の田中将大さん(現巨人)が24連勝して。金子さんが『全部クリアして獲れなかった』と言っていて。『(沢村賞を逃した悔しさよりも)そっち(全項目クリア)の方がうれしかった』と言っていました」
―今では考えられないくらいすごい成績
「10完投、15勝、220イニング超え…(笑)」
メジャーのこと、WBCのこと、新庄監督のこと
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―高校時代からメジャーリーグに憧れていた。プロで4年経過して気持ちの変化は
「ここ数年は、アメリカ人の良いピッチャーが日本に来るということが多々あって。それこそ自分が24年に初めて勝った試合も、サイ・ヤング賞を獲っているピッチャーのカイケル(が相手ロッテの先発)だったので。すごくうれしかったことは覚えています」
―メジャーに少しずつ近づいている感覚はあるか
「どうなんですかね。それはなんとも言えないです。メジャーリーグの舞台で投げたことがないので、そのレベル感はなんとも言えないんです。日本ではある程度、今年活躍したことによって、道のりが見えたような感じがしたので、それはポジティブに捉えられたらいいんじゃないかなと思っています」

―26年はWBCが開催される。どう見ているか
「その国、その国によって位置付けが違うので、難しい面もありますけど、いずれ出てみたい気持ちはあります」
―日本ハムに入団した年に新庄監督が就任。行動も言動もほかの監督とは違うと思うが
「それはそうでしょうね(笑)」
―得るものが多いか
「ほかのチームだと、絶対に完投させてもらえないと思うので、そこはやっていて本当に楽しいです。100球で絶対に切られると思っていたら、完投しようと思っても、縮こまって投げていることもあるかなと思う。でも120球、130球投げさせてもらえると分かっていると、思い切っていけるじゃないですか。そういう部分では結構、伸び伸びやらせてもらっていますね」
昨年6月29日の西武戦で自身初の完投勝利を飾り、新庄監督(左)に迎えられる達
―その環境が合っている
「合っているんじゃないですか、本当に」
―他球団の話を聞くこともあると思うが、日本ハムの魅力は
「やりやすいんじゃないですか。本当にこんなに自由な球団はないと思います。選手の意思も尊重してくれるので。練習メニューでも、話し合いでも、トレーニングでも。そういう部分は、ほかのチームとは違うなと思います。話を聞いていたら、ファイターズが一番しっかりデータを扱っている印象。試合のデータもそうですけど、フィジカルデータ、トレーニングメニューのデータであったり、一番収集しているし、しっかりそれを使えているんじゃないかなと思う。測定はたぶん、どの球団もやっていると思うんですけど、それをうまく使えているのはファイターズだなと思います」
―チーム成績にも直結しそう
「そうだと思いますけど、育成の部分に関しても、絶対にそこは必要だと思うので、たぶんそれがうまくいっているんじゃないですか。選手のモチベーションがあるかどうかにかかっていますけど(笑)」
さあ、プロ5年目のシーズンへ
―26年をどういう年にしたいか
「今年の倍ぐらいの成績は残したいですね」
―どの数字を倍に。勝ち星なら16勝に
「おおよそです、おおよそ(笑)。そうですね、(最低ラインは)160イニングを投げて、14勝して、170奪三振ぐらいですかね」
―チームとして目指すところは
「優勝じゃないですか、それは。あとは日本一ですね。25年もホークスに勝てていたら、もしかしたらあったかもしれない。野球なので、なんとも言えないですけど」
―ソフトバンクとの開幕カードで3戦目を任された。展望は
「いやー、でも…プレッシャーといえばプレッシャーですね(笑)」
―重圧を感じるタイプではなさそうだが
「いや、ちょっとそこはプレッシャーを感じましたね(笑)。このオフにいつも通り、しっかりやって万が一、3戦目の初回に5失点とかした場合、『何をやっていたんだ』となるじゃないですか。(事前に)言われていたのに、みたいな。その日の調子もあると思いますけど、そんなに全てうまくいかないのがプロ野球なので。でも絶対、言われるじゃないですか」
―それも新庄監督の狙いかと。責任感を持たせようとしている
「そうですね。でも、大丈夫じゃないですか」
―伊藤と北山が投げて満を持しての3戦目。新庄監督も絶対に3連勝と
「前の2人が勝たないと、3タテは無理ですからね(笑)」
―開幕日が誕生日。ファンフェスで開幕投手をやりたかったと発言したが
「それはそうですよ。3戦目のことも、何も聞いていなかったですから」
昨年11月22日、ファンフェスで開幕投手を発表する新庄監督(手前)
―内心、開幕投手を期待していた
「そうですよ。でもボスの性格からしたら、なんとなく分かっていたじゃないですか。予想ではたぶん自分が一番、多かったと思うんですけど、その逆をいくという。みんなが考えるようなことはしないんだなと」
ビッグマウスの真意とは
―将来どんな野球選手になりたいか
「先発ピッチャーでいっぱい投げたいですね。今はイニング数が減ってきて、長いイニングを投げるピッチャーが少なくなってきていますけど、その中でも、球数少なく三振も取って、長いイニングを投げられるピッチャーになりたいなと思っています。時代に逆行していますけど、そういうピッチャーが先発ピッチャーだな、と思うので」
―その意識はいつから持っているか
「高校野球の時は完投が当たり前だったので、その意識はずっとありました。プロに入ってからも投げさせてもらえる監督なので、よりほかの球団の選手より強いかもしれないですね」
―監督が中5日を採用したいと。その流れをどう思うか
「中5日になると、たぶん1試合の球数は減ると思います。でもそれは良い流れなのではと。勝てる見込みのあるピッチャーがいっぱい投げると、自然と勝つ試合が増えると思うので」
―すんなり対応できるものなのか
「対応できないと思ったら、できないんじゃないですか。もう洗脳しないと(笑)。メジャーリーグも中4日になっていますし」
―ビッグマウスと言われる側面もあったが
「どうしようかな。本当に言いたくて言っているという感じではないので。自然に出ている感じなので」
昨年6月10日のヤクルト戦、ヒーローインタビューに笑顔で答える達
―大胆な発言で、より注目された。プロとしてはそれも狙いの一つ
「狙い通りじゃないですか。この成績で、あの発言がなかったら、本当に普通の名が通っていない選手だったと思うので(笑)。今年である程度、広まったんじゃないかなと思いますけど」
―やめる必要はないのでは
「そうですね。なんか嘘をつくのが嫌なんですよ。思ってもいないことを言って、それを自分の意見として発信するのがちょっと違うかなと。最近は言いたいことを言わない選手が多いですけど、言った方がいいんじゃないですかと」
―自分のスタイルを貫き通して
「そんなつもりはないですけど(笑)。自然に出る分には(許容してもらって)。イメージもあるんじゃないですかね。自分と同じことを郡司さんが言ったとして、ちょっと(受け取る)ニュアンスが違うじゃないですか。そういうことなんじゃないですか」
―あらためて自分の性格をどう捉えているか
「めちゃくちゃマイペースです」
パートナーには何を求める?
―日本ハムの選手で波長が合う人は
「(伏見)寅威さんです…移籍しましたね。そうなると今はほかに、いないです(笑)」
昨季、何度もバッテリーを組んだ伏見(左)と達
―オシャレな私服が話題に上がることも多かった。ファッションのこだわりはいつから
「もう高校時から変なファッションしています(笑)。本当に変な服ばかり着ていました、あの時は。(部活中心の生活で)あまり出かけることはなかったですけど。治療に行く時とか、ド派手な格好で行っていました」
―私生活の話題に移るが、野球中心の生活の中で、結婚願望はあるか
「今のところないですね。全くないです」
―どのような性格、人柄だとパートナーとして相性が良さそうか
「今後、一緒にいるとしたら、メンタルの強い人がいいです(笑)」
―メンタルが強いとは。芯がしっかりしているということか
「そんな感じです。何を言っても、仮に厳しいことを言っても、何も聞かないぐらいの人がいいですね」

―達の性格と似ているような
「そうそうそう(笑)。だからいいんですよ。一つのことを最後までやる。例えば、トレーニングをやるといったら、ちゃんとやりきる人。やりきらない人は絶対に嫌です。自分がそういうことをできちゃうので。『なんでやらんの?』となってしまうので。一回、掃除をすると決めたら、絶対にやろうよ、と思ってしまいます」
―とてもハードルが高そう
「…そうなんですよ」
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