柴田前監督はトップチームコーチに
北海道コンサドーレ札幌は11日、22年から24年途中まで当時J1の鳥栖で指揮官を務めた川井健太新監督(44)の就任会見を、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場で行った。また12日付けで本紙評論家の河合竜二氏(47)のゼネラルマネジャー(GM)就任と、昨季途中から指揮を執った柴田慎吾前監督(40)のトップチームコーチ就任も併せて発表した。会見に出席した川井新監督と河合新GMの主な一問一答は次の通り。
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ー川井監督の就任あいさつを
「北海道コンサドーレ札幌の監督に就任するにあたって、本当に責任を感じていますし、これからワクワクする自分というものを抑えきれない自分がいるのも事実。今から北海道コンサドーレ札幌は変わっていくと思いますし、その1つの私が幹となって、そこからどんどん枝を作っていって葉っぱを作っていって、皆さんに本当に認めてもらえるような、そういうクラブにしていきたい」
会見で笑顔をみせる川井新監督
ー今の率直な気持ち
「本当に光栄なオファーをいただきうれしいですね。子供の時に感じたうれしいな、そういう感覚。それと同時に、やはりこのチームをJ1に昇格させなければいけない責任であったり、それに対する僕自身の覚悟というものを今、強く思っています。僕はこのクラブに今はどういうふうに恩返しができるか、と考えています」
ー就任までの経緯は
「1カ前ぐらいですかね、クラブの方から打診があり、北海道、札幌の方に招いていただき、社長含めGM、様々な方がこのクラブの特徴や、これからどういうふうに発展させていくか、なぜ私を監督に就任させたいのかを説明していただいた。熱意を本当に感じました。あとはこの土地、文化。僕自身も何度も足を運ばせていただいたこともあるんですけども、本当に可能性があると思ってます。そういう経緯がありまして、僕がこのクラブのお世話になる決断をしました」
ー今シーズンは12位に終わった
「客観的に捉えると、その数字そのものです。誰もがおそらく納得してない数字だと思います。コンサドーレとしてふさわしくない順位であった」

ーこのチームでどのようなサッカーを描いていきたいか
「何のために戦うかというと、試合の勝敗をつけるため。勝敗が38試合あれば、それはタイトルを獲るためだと思ってます。私はやはり勝つためにフットボールをしたい。ただ、勝ち方というところを選手と共に作り上げて、それがやはりファン・サポーターの皆さんが納得できる、また応援したいなと思えるような、そういうフットボールを展開していきたい」
ー札幌の街の印象は
「美しいです。皆さんににとっては当たり前かもしれないですけれども、この雪化粧といいますか、きょうもホテルから少し外を眺めてたんですけども、気づけば20分ぐらい経ってて、本当に綺麗な街だなと」

ー100年構想リーグはどのような位置づけか
「本当に戦略をしっかりクラブと共によく練って戦わなければいけない。我々があくまでも欲しいのはJ1。そのためのハーフシーズンでなければいけない。具体的に言いますと、やはり若手の育成であったり、僕がやりたいフットボールを選手にどれぐらい落とし込めるか。失敗を恐れずに、どんどんチャレンジしたい。先ほど言ったように僕のフットボールは勝つためにやる、全部勝ちたい。そこのさじ加減を僕はしっかり取っていきたい」
ー川井新監督が目指すプレースタイルは
「北海道コンサドーレ札幌はこうですよ、というようなフットボールを展開したい。勝敗も一緒、得失点差も一緒、じゃあ次に何が重要になるかというと失点の少なさ。得点が多い方が上の順位。ということは、もちろん失点を減らすことは大前提。ただフットボールは得点をどれだけ獲るかというところが世界中でも重視されている。なのでアタックというところ、攻撃に特化したフットボールを展開したい。ただ、忘れてはいけないのは土台。土台はやはり守備。僕はアタックし続ける、圧倒する、そういうフットボールを目指したいと思ってます。でも、うわべだけの言葉にならないような土台の、しっかりしたフットボールを目指していきたい」

ーサポーターへ
「ファン・サポーターの皆様に僕は良いものを届けたい。コンサドーレに関わる誰もが納得するもの、っていうのはやはり勝ちなんですよね。今まで僕は経験上、勝ったのに怒ってスタジアムから帰っている姿を見たことないです。みんな勝つと、中身がどうであれ、みんな笑顔で良い顔をして帰ってくれてます。そこは目指したい。じゃあ、勝ち負けだけでいいんだったら、じゃんけんでいいですよね。じゃなくて、フットボールの本当に深さ、楽しむというものを北海道の皆さんに届けたいと思いますし、本当にファン・サポーターの皆さんと一緒に戦いたい。戦わないとおそらくJ1昇格は無理です。本当にみんなで一体となって、過去のことは過去のことなので、これから前に進んで、前を見てしっかりみんなで進んでいきたい。そのために本当に協力してほしい」
ー札幌の試合は何試合見たか
「生観戦は1試合ありましたね。あと3分の2は見ました」
ー早急に着手したい部分は
「意識だと思います。今までが良いか悪いかちょっと置いといて、ここの基準をまずしっかり設定して、クラブに関わる人たち全員の意識ですね、そこを変えていけたら」

ーキャンプもすぐに始めるが、強化のイメージは
「もう考えてますし、その作業に取りかかっています。ただ頭でっかちにもなりたくないので、まずはここから選手編成を決めて、そこから色々、もっと深く入っていきたい」
ー攻撃と守備の部分でいうと、どちらの分野から
「分けて考えるという概念はあまりない。そこは一体だと思ってますし、そこはつながっていると僕は思ってます。シンプルにボールを使って、相手ゴールにどれだけ入れるか、あるいは入れさせないか。そこに攻撃、守備をぶつ切りにしてやりますよ、という感覚を選手に持たせたくはない。どちらかって言われると両方ですね。攻守においてやっていきたい」
ー1年半ぶりの現場復帰までの期間は
「この夏ではU-15のJリーグ選抜の監督をやらせていただいたり、プロになる前の子供たちはどうなのかなというところで、試合も多く、高校年代も見に行かせていただいた。そういう意味では非常に必要な、期間だったと僕は思います。僕自身の人生としても、人間としても。そこがなかったらおそらく今もないと思ってますし、バージョンアップは確実に僕はしていると思ってます」
ーサッカー観やスタイルに変化があったのか
「自分自身はスタイルだったり、自分が今までやってきたフットボールをまず否定から入っていました。否定から入ることで、本当にそれが良くなかったなと思えば変われるんでしょうけども、一周回ってやっぱり続けていくものは続けていく。そこに行きつきましたし、そこに対しての僕自身のプライドも持ててますし、皆さんが思っているようなフットボールを展開していくと思います。もっと、ワクワクするような、尖ったフットボールをしていきたい」

ーフットボールの核になる部分は
「僕はフットボールはやれないんで、やっぱりやるのは選手。核となるのは選手です。この選手にどれだけ僕らがコミットして、どれだけこのクラブの価値、この試合の意義、ファン・サポーターの思い、この熱量をあなたたちは受け止めてますか? そういうものをどれだけ伝えれるか。そこが僕がやるフットボールの核だと思います。やるのはあなたたちです。僕たちの責任は放棄しない。でも任せた」
ー鳥栖の監督時代に札幌と何度も対戦
「勝ちたいという思いが一番でしたね。当時からコンサドーレ札幌は本当に素晴らしいフットボールを展開してました。その素晴らしいフットボールを展開しているチームに勝つこと、先ほども言ったようにじゃんけんで勝つだけじゃなくて、フットボールという要素を含めた中で勝ちたいと思ってましたので、非常に研究しましたね。ちょっと他のチームとやるのとは違った感情を持ってやっていたのは事実です」
ー選手契約はこれからですが、来季キーマンになりそうな選手は
「キーマンになりそうな選手は全員と言っていい。全員の定義というのは、やはりピッチに立つ選手、ベンチに座る選手、メンバー外になる選手。今、編成してます。すごくオブラートにくるんでますけども、その中で今シーズン中心になった選手というのは、やはり良い選手だなと思いました。その選手というのはね、おそらく皆さん、報道とかで色々出ている選手じゃないかと頭の中で巡らしていただけたらいいんですけども、やはり核となる選手は絶対必要です。その選手たちを、引き止められるか、且つ、このクラブでやりたいと思わせるか、というのが今から河合GMと共に僕たちがやらなければいけない、第一の仕事」

ー監督就任の決め手は
「どのクラブも勝ちたい、昇格したい、タイトル獲りたい。これはもう誰もが言える。すごく当たり前のこと。。僕らもやる以上はタイトルも狙う。やはり北海道コンサドーレ札幌の社長含め、いろんな方がプレゼンしてくれた中では、ここは絶対譲らないよと。ただ、北海道の子供たちであったり、このクラブの文化をもっと良くしていく。このフットボールだけじゃない、こちら側の部分ですね。フットボールというものを生かして、北海道民をもっともっと満足させたりだとか、人として当たり前ではないですけど、難しいことにチャレンジしようという心意気に僕はすごく心を揺さぶられましたし、そこは本当に僕はここでやろうと思った決め手でもありました」
ー失点を減らすための方策について
「やはりシュートを打たせないこと、それが一番。得点の確率が高いのはペナルティーエリア内ですよね。その中でどういうシチュエーションが多いかというと、ワンタッチゴールが多い。そうなると攻撃側もペナルティーエリア内では時間がないんですけど、逆に言うと守備側も時間がない。まず、そこに入れさせない。入れられたとしても、もっと頭の回転を速くして対応すること。Jリーグ全体で行くと、自陣からゴールを入れられるパーセンテージ、超ロングシュートといいますかね、おそらく1、2%ぐらい。やはり自陣にボールを入れさせないこと。本当にシンプルになりますけど、その順番をしっかり整理すること。あと最後は、僕はペナルティーエリア内というのは、守備者のプライドってよく使うんですけど、目の前にボールがあって、自分の後ろにゴールがあって、自分の家に強盗が入りそうなシチュエーションと思っていただければ、もう全力で止めますよね。そういう心意気を持たせられるようにしたいと思ってます。ロジックの部分とパッションの部分と、その両方をしっかりと選手に植え付けて守備を改善していきたい」

ー自身をどんなタイプの監督だと思うか
「情熱型だと冷静型だという言い方がありますけども、皆さんはおそらく確実に後者だと思ってると思います。ただ僕がそうなりたいわけでもないです。自分をどういうタイプかというと、ピッチまでの間は情熱型だと思います。ただそのピッチ、試合が始まったらそこはもう、もちろん修正だとかいろんなものはします。感情を爆発させる時もあります。ただ選手がやるものであるという信念を持ってる。そこの部分はもう皆さんに作ってもらっていいのかなと。僕自身は自分の感情そのものでやってるだけ」
ー監督として一番喜びを感じる瞬間は
「ファン・サポーターが笑顔で帰っていくこと。その試合はおそらく勝ってます。だから選手も喜んでる、クラブの関係者も喜んでる。やはり試合が終わってパッと後ろを向いた時に、ファン・サポーターが笑顔で拍手をしてくれている時、それが最高です」
ー川井新監督から河合新GMに期待すること
「良い選手を連れてきてください。良い選手を入れてください。それが一番です」
会見中、笑顔をみせる河合新GM(左)と川井新監督
ー監督が求めている「意識」は
「今シーズン、順位がこういう順位になってしまって目標というものはおそらく達成されていないと思います。その中で、様々な足りなかったものはあると思いますけれども、まず一人ひとりが自分がどうだったかという考えを持ってほしい。それがなくなると、やはり他者に向けてしまう。そういうものではない。なので意識というものは、具体的にまず自分自身がどうであったか、一人ひとりが考えられるようなクラブにしたい。そのあとに建設的に色々意見を言い合うのはOKだと思うんですけど、そういう意識というものを変えていけたら」
ーこれまでに影響を受けた人、指導者は
「僕はサッカー界、本当に様々な方にお世話になりましたし、リスペクトしかないです。ただ、その尊敬するというところまで僕自身がまだたどり着いてない、そのレベルまで行ってないと思ってるので、サッカー界でそういう人はいますか、と言うと、現段階ではいないです。雲の上の存在ですけど、森保さんとかはね、素晴らしいと思います。代表チームを率いて素晴らしい成績を収めて、その中で魅力的なサッカーをやってると思いますし、前を向いてこれだけ皆さんの期待に応えるのは、本当にすごい方だなあと思います」
ー森保さんが今やられていることは、参考になる部分はあるか
「真似はできませんけど、僕は僕らしくいきたい。良いこと悪いことはありますけど、やはり勇敢に僕は前に進みたい。後ろを向いても何もないですし、負けることもあると思います。逃げて負けるよりは、前を向いて、そのまま殴られて倒れても、その人に食らいついてやるんだというぐらいに、前のめりにフットボールを展開していきたい。そういうクラブにしたい」
河合新GM(左)とがっちり握手を交わす川井新監督
【河合新GM】
ー監督交代の経緯を
「10月中旬に私がGMのオファーをいただいた時には、まあ柴田も含めて継続という判断もありつつ、様子を見ながら数試合見させていただきました。その中で、もう一つ勝ちきれていなかったり、フィロソフィーの体現もそうですけども、もう一つ違うステージへ、もうちょっとコンサドーレらしいフットボールを見せていきたいという中で、強化部長とも見解が一致した話ですけど、まだ柴田は成長できるんじゃないかというところで、監督交代をしなければいけないのかな、という決断に至りました」
ー川井監督就任の決め手は
「鳥栖時代から川井監督のサッカーを見させていただいておりまして、流動性というか、人もボールも動く、非常に面白いサッカーをするなという印象を持っていました。その中で、次の監督を誰にしようかといった時に、強化部で話した中では、川井さん一択だった。川井さんにこのクラブを託したいという思いが3人、そして社長も含めて、みんなの思いで一つになった。実際にお会いさせてもらって話をしていく中で、先ほどから川井監督が話している通り、やはり勝つというところが非常に共感できる。どんなに面白いフットボールをしていても、やはり勝たなければ意味がない。勝った中でも課題が出てくると思うんですけども、その中でも面白いフットボールを展開してくれる、そんな監督だと思っております」
川井新監督(右)について話す河合新GM
ーどういったサッカーを期待しているか
「面白い、観客を魅了するフットボール。昨日、シーズンレビューを出させていただいて、クラブのフィロソフィーを体現してくれる監督だと思ってます。プレーイングフィロソフィーのところでも、そこを体現してくれるのは川井監督だと思ってます。近年のクラブを見ていても、矢印が後ろ方向だったり、ゴール方向に向いていないところがあった。ショートパスをつなぎながら、背後に矢印をゴール方向に常に向けさせてくれる監督だと思ってますので、その辺も期待したい」
ー柴田監督には
「タイミング的には非常に難しいものがありました。プロの監督として残り数試合を迎えてる中で、そのモチベーションの部分では非常に気を使った。報道が先に出てしまう恐れもあったので、僕はそれは避けたいと思い、一人の人間として、最終戦の3日前に本人に電話をして伝えさせてもらいました。交代の決断、理由も伝えましたし、まだ彼は成長する部分があると思ってました。川井監督のことをリスペクトする監督の一人として挙げてましたし、その中で勉強するところがまだあるんじゃないか、というところも話をさせていただき、ああいった状況で監督を引き受けてくれた柴田監督の心意気には応えなきゃいけないと思ってますし、クラブの財産でもあります。しっかりとその先も彼が成長できる環境を作っていきたい」

ー今後のビジョンは
「この1年、クラブとして非常に不安定な時期だった。社長の交代から始まり、GMがいなくなり、監督が代わり、そして柴田が代わり、非常にファン・サポーター、選手、スタッフに対しても100%サッカーに集中できる環境を作れていたわけではない。そこの修正はしていきたい。クラブとしていろんなビジョンがありますけど、フットボールの観点では、まず短期的な目標としてはJ1昇格、僕はマストで間違いなく思っている。数年後にはしっかりJ1に定着しながら、数年に一度タイトルを獲り、北海道に夢や希望を与えられるクラブになれればいい」
ー河合新GMの役割とは
「やはり『走る、戦う、規律を守る、その笑顔のために』というフィロソフィーの徹底というところでは、自分も現役時代にこのクラブに在籍して、全身全霊を懸けて戦ったという思いはある。そこは選手たちにしっかりと伝えていきたい。もう一つが、地域に愛されるクラブづくり。社会貢献や地域貢献、そういった活動をすることによって、よりこのクラブを応援してくださる方が増えると思ってます。その辺も選手、スタッフも、フロントスタッフにも言えることですけども、改めて見直す必要があるんじゃないかと思っております。そういったところに着手していければ」

ー編成作業も始まっているが手応えは
「強化に関わるのも初めてですので、非常に充実している毎日。今まではフットボールとは違う事業に直面してきてましたので、ようやくこの世界に帰ってこれたんだなという実感もすごくあります。ただ忙しいですね。びっくりしました。そこは強化部長の竹林、鈴木智樹と、スカウトの上本と非常に良いコミュニケーションは取れているので、日々勉強しながら、自分の力を還元しつつ、より良いコミュニケーションを取りながらやっていきたい」
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ーサポーターへ
「これから川井新監督と共に、このコンサドーレの新しい歴史を作っていくわけで、非常にワクワクしておりますし、皆さんにも夢や共感をしっかり与えられるクラブになっていきたいと思いますので、引き続き皆さんの応援よろしくお願いいたします」
