このクラブに生かされ成長させてもらった
北海道コンサドーレ札幌は7日、河合竜二CRC(コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン、47)が、12月12日付けでGMに就任することを発表し、同日に札幌市内で会見を開いた。出席した河合CRCと石水創社長(43)の一問一答は以下の通り。
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―はじめに
石水社長「先日の千葉戦で今季のチーム目標であるJ1昇格が潰えてしまいました。応援してくださったファン、サポーター、パートナー企業に対して大変申し訳なく思っています。まだシーズンは残り3試合ある。続くので最後までしっかり闘っていきたい。勝負にこだわって闘いたい。シーズンを通してのレビューはシーズン終了時に改めて発表したい。本日は河合竜二さんがGM就任することになりました。経緯につきまして私から質問などに答えたい。シーズン途中の段階でJ1昇格が潰えた。このタイミングでどのチームより早く強化、編成含めて早く竜二さんに入ってもらってチーム強化に関わってもらいたいと思ってこの会見を開きました。今後は私が経営の方に専念して、強化は河合GM、竹林部長に任せたいと思っている。経営と強化の両輪を回すことがクラブにとって大切。密にコミュニケーションを取りながらやっていきたい」
河合CRC「このたびGMに就任することになりました河合竜二です。4月にまちのミライ社長に就任し社長業に精進して参りましたが、先月中旬に(石水)社長からGMへの打診があった。迷いはありましたが、私自身プロサッカー生活22年。この経験をサッカー界に生かしたい、還元したい。このクラブの力になりたい。そういう思いが強く、オファーを引き受けました。GMを引き受けるにあたって、まちのミライの社長という立場なので、ステークホルダーの皆様にはご迷惑をおかけして、大変心苦しく思いますが、ご理解いただきたいと思います。私は現役時代に闘将というあだ名が付いていた。熱い気持ちでクラブのために尽力しますので、みなさま応援よろしくお願いします」
大勢の報道陣が集まり、河合CRCのGM就任会見が行われた
―打診時の心境は
「電話があって、いよいよ来たかという気持ちでした。まちのミライ代表という立場でもあるので、どうしようかな? と社員の顔が思い浮かんだのが事実です。ただこのクラブに僕は生かされて成長させてもらった思いがある。この恩を返す絶好の機会。僕以外に適任者はいないと思っています」
―今季の戦いをピッチの外から見て
「選手は一番苦しく、悔しい気持ちでいる。フロント、スタッフ、パートナー企業のみなさまも全員がもどかしく悔しい気持ちでいっぱいでした。そんな気持ちがあったことも素直にGMを引き受けた経緯です」

―思い描く取り組みは
「僕の中には2つあります。1つはフットボールフィロソフィーの徹底です。昨年決まったフィロソフィーは走る、闘う、規律を守る。その笑顔のために。フットボールをする以上、最低限のことだと思っている。その上で戦術や個人の特長を出せば、もっと良くなるはず。練習から走る、闘う、規律を守るというところを選手とコミュニケーションしながら。アプローチ方法も変えるけど、選手が100%気持ちよくフィロソフィーを体現できるよう導きたい。スタッフにもそんな声掛けをしたい。もう1つは地域に愛されるクラブづくりをすること。これまでもコンサドーレとして地域貢献、社会貢献をしてきたが、多くの皆様に応援してくださるクラブにしないと未来はない。より多くの人に知ってもらうために選手の力が重要。そのために選手は学校訪問などをしているが、いろいろな社会貢献をして子供たちに夢や希望を与える活動をしたい。応援される人間力も必要。人材教育もプランにあります」
―Jは来季、秋春制に移行する
「特殊なシーズンが始まる。まずはハーフシーズン、100年構想リーグはクラブの基盤をつくる。チームを構成する非常に重要なシーズンだと思っている。ここでは結果よりも、内容やチームを成熟させることが最優先。26、27シーズンでJ1昇格。それが短期的な目標。マストです」
―18年に引退。引退後のクラブの成長をどう見る
「引退をしてから率直に、ルヴァン杯準優勝などクラブが育っていく中で、選手たちを見ていてうらやましかった。あの場にいたかった。ただ自分の立場としてCRCとして地域とクラブをつなげる活動をしてきた。その活動に誇りを持っていた。地域に愛されるクラブになるために選手はもっとやれることがあるとも思っていた。クラブが大きくなる一方で、選手はプロとしてもっとやれることがあると感じていた。そこを強制するのではなく導くところを誰かができないか? と思っていたので、今回のオファーをうれしく光栄に思っています」
―北海道出身の選手が育ってきた
「このクラブから他クラブへ行った選手もいる。主将として活躍している選手もいる。その意味ではコンサドーレが彼らの財産になっていると思う。ステップアップでもいい。まずは若い選手に活躍してもらって、そういう選手を増やしていく。まずは若い選手を活躍させたい。今いる若い選手は、まだ甘い。その辺のプロ意識も強制することなく導きたい」
道産子選手の(左から)MF木戸、宮澤、高嶺
―石水社長と経営、強化でタッグを組む
「(石水)創さんの思い、覚悟を間近で見てきた。なにより勲さんが発起人として会長としていた。その方たちの思いを無駄にせず、手助けしたいのでオファーを引き受けた。このクラブを日本一魅力溢れるクラブにしたい。僕は社長に付いていくし、一緒になってこのクラブを大きくしたい。変えていきたい」
―サポーターは強いクラブになってほしいと願っている
「北海道唯一のプロフットボールクラブ。この順位に僕は納得していないし、ファンの期待を裏切る形になっている。早く信頼を取り戻して愛されるクラブにしたい。大きいことばかり言ってもキリが無いので、地に足を付けて一歩ずつ大きくなれるよう精進します」
―石水社長へ。GM職を復活させた理由は
石水社長「この1年はGMの席がない状態でやってきた。あらためて今回の順位や編成を見たときに、GM職がクラブに必要と再認識した。この1年はシーズンを通して誰がGMとしてふさわしいのか、アイデアや覚悟、経験値、熱量を見定めていた。いろいろな人と対話を重ねる時間が必要だった。それで今回、竜二さんしかいないなとなりました」
―GMに起用するまでの経緯は
石水社長「シーズンを通した中で、他のスタッフや全国のJクラブの人と対話を重ねる中で、GM職はどのような人が適任か考えていた。竜二さんを選んだ理由は3つ。1つはクラブ愛。11年からコンサドーレのためにキャプテン、プレーヤーとして闘っていた。その闘う姿勢はクラブにマッチする人材。もう1つは人格者であること。周りのスタッフや選手、フロントの人に聞いても誰もが納得する。竜二さんなら大丈夫、付いていこうと思わせてくれる。最後に覚悟。私がGMをお願いしようと決めて電話したときに、2つ返事で『待っていました、クラブのために全力を尽くします』と言ってくれました。クラブ愛、人格者、覚悟。この3つが決め手になりました」
―現役時代の印象は
石水社長「心が動かされる選手だと思っていました。竜二さんがいた5シーズンは良いときばかりでなく、むしろクラブがどん底に置かれていた。今のコンサドーレの置かれる状況に近かった。そのときに入ってくれて、負けた試合の中でも、自らサポーターの前に立って選手、クラブの思いを発信していた。その姿勢は間違いなく心を動かす。見ている人の心を動かす人間性が見えた部分だと思います」
2016年、現役時代の河合CRC
―来季へ向けて経営、強化で早急に進めたいことは
石水社長「来季の編成のところですね。このタイミングで会見を開いて竜二さんがGM会見をして、どのチームより早く動くメリットがある。この3試合の結果や戦いぶりや選手、スタッフ(の動きを)を含めて竜二さんの目で見てもらう。来季、もっと言うと中長期的に一緒にクラブを築いていきたい」
―サポーターへ
石水社長「チームが今年1年、不甲斐ない試合が続いた中でも、どんな状況でも諦めずに応援してくださった。サポーターの皆さんは選手、スタッフ、僕にも温かい言葉を掛けてくださった。その期待に応えるために経営と強化の両輪を回して、もっともっと愛されるクラブに育てていきたい」
―相手にストロングを消されるサッカーが続いた。局面打開の課題も残った。具体的にGMとして改善すること、着手することは
河合CRC「着手するところは徹底的に戦うこと。そこが1番のポイント。1対1のせめぎ合いで負けたら話にならない。その上で攻撃的なサッカーを展開したい。手詰まりしているのはパスのズレ、タイミング、角度が問題視される。これを指導するのは私ではない。これを指導するのはコーチ。コーチ、スタッフにしっかりと質の高い練習を求めることが自分にできること」
―GMは矢面に立つ役職
「矢面に立つ覚悟か無ければ、このオファーは受けていない。このクラブを変えていくという強い気持ちでオファーを受けた。選手を守ることも私の役目ですし、自分の信念として自分が出て行くと思っている。良いときは出ません、悪いときに出ます。サポーターの安中くんも仲良くさせてもらっている。ディスカッションしながら。オープンにできないことは理解してもらいつつ、クラブが良い方向に進めるよう対話をするのは良いことだと思っている」
―思い描くGM像
「22年間のプロサッカー生活を通じていろいろなGM、監督に出会ってきた。GMや監督の人間性の良いところを見習って、自分らしいGM像を描きたい。やはりコミュニケーションを取れる人間が一番強いと思っています。獲得した選手は、絶対に1度は戦力外になる。私は切る立場でもあるので、心苦しいけど、誠意を持ってコミュニケーションを取りつつ成長させていけたらと思っています」
就任会見で質疑に応じる河合CRC=撮影・小田岳史
―いよいよ来たかと話した。オファーを待っていたか
「まちのミライの社長のときも、社長に呼ばれました。話がある、と。クラブを去らないといけないか、もしくはGMかとよぎった。まさかまちのミライとは想像してなかった。今回も同じように電話があって、いよいよだと。このタイミングでGMのオファーが来ると感じていました。クラブの状況もあり、自分以外はいないだろうなと。サッカー界に恩返ししたい気持ちが強かったので、ようやく恩返しできるという思いでいっぱいだった」
―河合GMの強みは
「ちょっと重なるが、プロサッカー選手としての振る舞いや人間力を高めたい。私自身もいろいろな方と触れ合ってきて、本物のサッカー選手は人間力が優れている。ご存じの通り、小野伸二ONOもしかり。日本代表で長く活躍する選手は人間力も素晴らしい。人間力を上げることでサッカー選手としての能力も上がると感じている。そこにまず着手したい」
―コンサドーレより強化費が少ないJ2クラブが結果を残している
「大変耳が痛い質問。水戸や秋田を見ていただくと規律を守る素晴らしいサッカーをしている。僕はそこを最低限にプラスアルファで攻撃的に、守備では自らアクションして奪いに行くフットボールができればいいと思う。水戸や秋田をリスペクトして見習うべき点がある。練習から走る、闘う、規律を守ることを徹底すれば、我々の選手は絶対に結果が出ると信じている」
10月26日、前半に水戸・斉藤(右端)にゴールを決められ、肩を落とす札幌の選手たち
―今季は練習の緩さを感じていたか
「はい。練習に毎回来ているわけではないので、口を出すことは控えていた。ですが、練習の質は非常に大事。去年、シーズン前のキャンプに行って、僕からするとパスがあり得なかった。パスサッカーをやっていくのに、そのパスでは通らない。要求しているパスと違う。浮いてるじゃん? 回転は取りやすい? 突き詰めれば山ほどある。こういった質の部分は緩い。ここを徹底していく。頭ごなしに言っても選手は頭にくるので、アプローチは考えながら練習の質を上げていきたい」
―来季の編成は
「選手編成に関しては竹林強化部長と鈴木智樹と協議中なので、現時点で言えることはありません。今後みなさんの期待に添えるような戦えるクラブをつくりたい。そういった選手編成になると思います」
―今は柴田監督が指揮を執っている。来季はどのような攻撃的サッカーを展開するか
「残りシーズンを3試合残している。今言えることではないが、柴田監督が目指すフットボールはアカデミー時代を含めて、僕は素晴らしいと思っている。そこを体現するのは選手。監督は先日、自分の力のなさを話していたけど、そこは選手にも責任がある。現時点で話せるのはここまで。残り3戦へ向けてフロント、スタッフ、選手、コーチングスタッフで全勝できるよう後押ししたい」
シーズン途中から指揮を執る柴田監督(右)
―まちのミライ社長とCRCは続けるのか
「まちのミライは今、調整中です。引き続き関わっていくとは思っています。CRCはGMになるので、いったん役目は終了したと思っています。思い出もありますので、今後はクラブOBに継いでもらいたい意思がある」
―石水社長へ。GM不在のデメリットはあったか
石水社長「経営と強化の両輪を回すに当たって、GM職はその道のプロにやってもらうのが1番いいと感じました」
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