【トム・ブラウンの生態調査】#5 犬も喜ばせたキングオブコント
        
  
       
      
    
       
決勝は7位に沈むも爪痕は残した
 「トム・ブラウンの生態調査」第5回は、初めて挑んだ「キングオブコント2025」決勝を振り返ってもらった。順位は10組中7位に終わったが、SNSのトレンドにも上がり、犬をも虜にするネタで爪痕は残した2人。決勝の反省や、審査について、はたまた普段のネタ作りに対する向き合い方や、移動時にできた隙間時間の活用法などを聞いた。

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僕らの楽屋は全組落ちました(笑)
―キングオブコント、お疲れ様でした。初の決勝はいかがでしたか
布 川「M-1とは雰囲気がまた違う感じがしましたね。楽屋でもみんな仲良く、ずっと喋っている感じですね。M-1でもみんな喋るんですけど、ちょっと緊張がずっと続く感じがある。キングオブコントは、本当にみんながワイワイしている感じでしたかね。2つ楽屋があって、僕らの方の楽屋は全組が落ちました(笑)」
みちお「1週間前ぐらいは緊張しないだろうって思ってました。漫才と違って、役になり切れるし、大丈夫だろうと思っていたら、2日前ぐらいから、めちゃめちゃネタが飛んで(笑)。『ヤッバ』というぐらい飛びました。緊張してないって自分に言い聞かせていたけど、本当は緊張しているんだと思って、器から何かが溢れたような感じがしました。『緊張してるダメなやつだ』『間違えるかも』と受け入れてから少し楽になって、本番もテンション上がってるぐらいで落ち着けたのかなと思って」
布 川「骨のところ間違えていただろ!」
みちお「実際やってみたら、骨のボキボキっていう音が鳴り切ってから『立てるようになったよ』と言わなきゃいけないんですけど、骨のボキボキが鳴っている途中で喋り始めたことを、彼は今、指摘してます」
布 川「何か『できたよ』みたいな感じで喋ってるから。できてないから」
みちお「実際、ネタをやり始めたら、ちょっと掛かっちゃったのかなという感じはしましたけど、M-1よりは掛からずにできたのかなっていう感じですね。でも、掛かってはいました(笑)。でも賞レースでネタをやった中で一番、お客さんが笑ってくれた感じがあったので、やってる瞬間はすごく楽しかったですね。点数が出て、すぐ楽しくなくなりましたけど(笑)」

批判されると思いきや…犬が喜んだ
―Xではトレンド入りしていました
みちお「飼っている犬が反応していたと。そんなことあります?(笑)」
―さすがに犬が反応することは想像していませんでしたか
みちお「してないです、してないです(笑)。意味が分からなすぎますよ。犬が見てくれるネタ」
布 川「(漫画家の)つの丸先生が犬の漫画を描いてるんですけど、すごく褒めてくれました」
みちお「逆の方は少し想定していたんですけど。犬にできたおできが活躍しちゃうネタなので、犬好きの人から『犬がかわいそう』とか言われるかなと思ったら、逆の現象で『犬が喜んでます』とか『犬が吠えてる』とか(笑)。喜んでくれたから良かったなと。M-1の時もそうだったんですけど『なんだ、この猟奇的なネタは!』みたいなことを言うと思ったら、赤ん坊がなぜか反応する(笑)。思っていたことと逆になるなって、つくづく思います」
時間と共に受け入れていく審査結果 面白いことを貫いてやりなよ…
―コントを審査されることも新鮮でしたか
     
    
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        布 川「どういう審査になるんだろうっていうのが、あんまり想像できなかったんです。未だにコントの枠組みがどの辺までとか、そういうのがいまいち分かってないので。だから、VTRがそんなにダメだったんだ~、とか思いましたね。VTRがダメというか、使い方の問題だと思うんですけど。ああいう使い方じゃない方がいいという意味だと思います。要するに面白いと思っていることを貫いてやりなよ、みたいなことですよね」
みちお「その瞬間はやっぱりムカつきはしました。『いや、(点数)低いな!』って(笑)。でも時間と共に受け入れていく。理解して、そうだなって感じですよね」
―点数の出方もM-1の時と似ていて、徐々に低くなっていきました
みちお「本当、そうなんですよね(笑)。後半がっかりパターン」
来年は…北海道の先輩のかたきを
―キングオブコントは今後も出続けますか
布 川「ずっとやりたいという気持ちはあんまりないですかね。でも来年は出ます。出続けていたら、ずっと面白くなるか? とも思ってます。スポーツでも衰えてくるもんですしね。お笑いがそれで上になっていくとは、僕はあんまり思わない。若い子はそれでいいと思うんですけど、『年齢上げていくごとにボケる数をどんどん減らしていって、50代とか60代になったら、普通に喋っている時のボケの数なんか、1個ぐらい』みたいな話も聞いたことがあります。年齢に合うようになっていくと思うので、ずっと出ているのもな、とか思っちゃいます。でも来年は出ます。トップリードさんの敵を取らないと」
みちお「何か受け継いでいたっけ?(笑)」
布 川「何も受け継いでいない(笑)。2人とも北海道出身というだけです。でも敵、取ります」

ネタ作りはちゃんと席に座って
―コントの設定などを考える時は日常の生活の中で思いついたりするものですか
布 川「いや、僕は改めて考えますね。そもそも生活してる中でっていうより、ちゃんと席に着いて考える方ですかね。もちろん、時には急に浮かぶこともありますけど、(日常の中で)考えたくないんで」
みちお「今回の犬のコントはジュニアさんの番組でエリザベスカラーを着けた犬っていう設定をもらったんですけど、基本、コントの設定は布川が考えます。漫才を考える時は夜中の公園で考えたりとか、移動中に考えたりしますね。逆に『考えるぞ』となると、堅い設定になっちゃったりするので、性格的に。全く人がいない空間の静かなところ。かと言って、家だとちょっとだらけちゃうっていうダメな人間なんですけど。移動中だったら、移動のストレスが掛かって、ちょうど良い感じです」
移動中に工夫していることは
―移動することが多いと思いますが、時間の使い方で工夫していることなどはありますか
布 川「結構、寝ちゃいますけど、なるべく寝ないようにした方がいいよな~とは思います。この前、長野で学祭の仕事があって、帰りに寝ればいいんですけど、とりあえず寝ないで事務所が一緒のどんぐりたけしの席の横に行って、1時間半ぐらい喋ってました。『どんぐり、こういう一面あるんだ』みたいなことを知ることができたので、起きてる方が何かは起こるよな、とは思いました。あとは何か調査員みたいな人が来て、その日の使用した交通機関や経路を答えるようなアンケートを書きました。『このボールペンは差し上げます』というわけなんですけど、ちょっといらなかったです。記念ボールペンみたいなものじゃなくて、本当に100本入りで売ってるようなタイプの1本」
みちお「キャップ取れるタイプのやつね」
布 川「さすがに舐めるなよ、と思って(笑)。『いらないです』と。でもそういうのがあるんだなっていうのは。寝てたら話しかけないでしょうしね」
みちお「僕は寝ることもありますけど、寝ない時は漫画、アニメ、ゲームをしたりとかしつつ、移動した先で披露するネタを考えたり、お笑いのことも挟みながらですね。あとはネックピローの低反発で良いやつを1個買ったんですけど、なるべく持って行って首に埋めたい。首が結構、痛くなるので、埋めるようにしてます。ネックピローを忘れちゃった時は、新幹線の通路をウロウロしてます(笑)。体が硬くなってきたら、ちょっと歩く。『何やってんだ?』っていう顔でよく見られます(笑)」

■プロフィール トム・ブラウン ツッコミの布川ひろき(1984年1月28日生まれ)と、ボケのみちお(84年12月29日生まれ)が組む漫才コンビ。ともに札幌市出身。2009年にコンビを結成し、芸能人やアニメのキャラクターを合体させる「合体漫才」という特異なネタで脚光を浴びた。「M-1グランプリ」の最高成績は18年、24年の決勝6位。今年の「キングオブコント」で、初の決勝進出を果たした。ケイダッシュステージ所属。毎週日曜23時25分からSTV「オズブラウン」に出演中。
