【トム・ブラウンの生態調査】#4 初のキングオブコント決勝進出
コントと漫才の違いとは
「トム・ブラウンの生態調査」第4回は、「キングオブコント2025」で初の決勝進出を果たした2人に、ここまでの戦いぶりや、コントを作る難しさを聞いた。コントに挑戦していく上で、布川ひろき(41)が相談した相手や、ボケのみちお(40)が語る漫才との違いとは―。
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日本一危険な神社の御利益ありましたね
―キングオブコント決勝進出おめでとうございます
布川、みちお「ありがとうございます」
―昨年「オズブラウン」(STV)で行った日本一危険と言われるせたな町の太田山神社の御利益がありましたね
みちお「御利益はすごいかもしれないですけど、それですごいってなって、また登らされたら嫌なんで、すごくないです(笑)」
布 川「危ないです。僕ら、あの時願ったのは『帰り、無事に帰れますように』って言っていたので。でも、その効果も何かあるのかもなと思います」
―準決勝までの手応えはいかがでしたか
みちお「準決勝が2日間ありまして、1日目は割と良かったかなって感じで、2日目は悪くはないけど、どうなんだ?って思っていて、自分的には受かっても落ちても、どっちもあるなという感じでしたね」
布 川「今までキングオブコントの準決勝に行ったことがなかったので、初めてでどれぐらいで通るか、とかがいまいち分からなくて。M-1の感覚でいくと、ピッチャーの打率ぐらいかなってオペレーターの方に話していて、そしたらオペレーターの猿渡さんという方が『でも大谷なら3割ありますよ』と。確かに大谷もピッチャーだけど3割あるなと思って『それ、良い話っすね』って言ったら、その3割の方を引いたんで、メンタル的にもそれで気持ちが軽くなったので、猿渡さんのおかげですね~」
みちお「猿渡さんは『行ってるんじゃないですか』とか結構言ってくれた」
「こんなに大変なんだ」→喜びに変化
―決勝が決まった時の心境は
みちお「正直、びっくり。まさか自分がキングオブコントのファイナリストになる人生とは思っていなかったので。もちろんそのつもりで動いてはいたんですけど、やっぱりびっくりしましたね。そして、かなりうれしかったです。元々昔からコントはやってましたけど、きっかけがしっかりあるようなコントじゃなかった。『ミュージックスタート!』って言ったら曲をかけるぐらいのきっかけだったので、今までは。漫才と違って、コントの人たちってこんなに大変なんだっていう感覚みたいなのがあったので、それが喜びに変わった感じです」
布 川「ちょっと難しいかもなとか思っていたんですけど、エゴサーチとかしてみたら、意外と僕らの名前を入れている人がいましたし、何より、お笑いルポライターtakahiroが僕らを入れていたので。どうにか入ってくれないかなと思っていたので、かなりびっくりしました。『お、やった!』みたいな感じでリアクション取れなかったっすね。キングオブコントって、みんな笑って喜んでいる人が多い大会なんですけど、みちおだけ横で泣いていたので冷めました。それで一気に冷めました」
みちお「ふふ(笑)。自分が(決勝に)行ったことのうれしさもそうですし、や団さんとか、ベルナルドさんとかと一緒に決勝でできるとかを思うと、何かこみ上げるものがあって。なるべく泣かないように、とは思っていたんですけど、涙出ちゃいましたね」
布 川「誰も話しかけてませんでした。泣いてる人って話しかけられるんですけど、誰も話しかけてませんでした」
みちお「M-1と、ここまで雰囲気違うのかと思いました(笑)」
布 川「あれはかなり良かったです。『コント師、万歳』と思いました」

めちゃくちゃ慌てなくて済んだのかも
―単独ライブでもキングオブコントを見据えながらでしたか
みちお「そうっすね。M-1終わって『THE SECOND出るの?』とみんなに聞かれて、『THE SECONDはちょっと』と言ってて、布川と話して、キングオブコントに出るかという話になって。じゃあ、単独ライブでもコントを増やしてやっていこうという感じでやりましたね。19公演、コントをそこでかけられた感じですね」
布 川「キングオブコント、何回戦でやるかとかそういうのを考えながら、単独ライブに出していたつもりです。でも、今までM-1でコンプラアウトみたいなことを経験してなかったので、コントはそういうのも結構あるのかと。どうしよう?みたいな感じにはなりましたね。でも、何とか行けて良かったです。いろんな人に相談とかしました。ラバーガールの飛永さん、あとハナコの秋山くんとか、かが屋の加賀くんとか、コントの人たちに単独をやりながら相談してました。例えば、秋山くんとかも『有吉の壁でコントを結構やるじゃないですか。だから、そういうものが備わっていると思うので、ちゃんとやっていれば大丈夫だと思いますよ』みたいな。『そっか、地味にやっていたのか』と思うと、めちゃくちゃ慌てなくて済んだのかもしれないです。そういうのはこっちに来てもやらせてもらっていたので、テレビとかにも感謝はあります」
へ~、過程がちょっと違うんですね
―コントの作り方は漫才と全然違いますか
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みちお「漫才は割と僕が設定みたいなものを何個か考えてきて、布川と北海道から一緒に作家をやってくださっている川瀬さんに見せて『それ、いいんじゃない?』って言ったやつを一緒に作っていくみたいな感じでやってるんですけど、コントは割と布川が『こういうのどう?』と。そして『いいね』って言って、一緒にボケを考えたりして、布川が最後にまとめる、決めるみたいな感じです」
―コントを作る際に気をつけていることはありますか
布 川「逸脱しすぎないことは一応、考えています。喋っていて、そんな話にならないようなことは割と気をつけてます。漫才って目で見て、見えないことをやっているというか、漫才コントだったら、実際にラーメンの麺があるわけじゃない。でもコントだとラーメンの麺をちゃんと出したりするパターンもあるので、それだと目で見えて、逸脱しすぎていると、より違和感が出ちゃうので、そこは気をつけたつもりです」
―単独ライブで手応えはつかめましたか
みちお「アンケートとかでも『コント良かったです』みたいなことを結構書いてくださって良い感じもありましたし、ザワザワする感じのウケ方もしていて、漫才の時の良いウケ方に近いウケ方もコントにありました」
布 川「うちの事務所で決勝まで行っているクロコップに、単独は付いてきてもらって、僕らのネタの前にコントをやってもらって、その後にコントをやる。昔、M-1で決勝に行く前も、僕らよりも実力者の後にネタをやったりしてっていうのは結構やっていた。コントはもう1年生みたいなものなので、そういうことをやって、それよりもウケなきゃいけないというか。あとネタ終わりにクロコップにいろいろ聞きました。そのおかげですかね」
みちお「クロコップが付いてきてくれて、ネタもやってくれて、面白いのは分かっていたので、クロコップが準々決勝で落ちた時は結構悔しかったです」

慰め方が独特すぎる
布 川「みちおがクロコップを慰めるっていう理由で、朝の7時に朝食バイキング誘ったみたいで、本当にかわいそうだなと思いました」
みちお「(クロコップの)荒木が朝食好きなんだよ」
布 川「荒木以外は好きじゃないから。荒木以外も落ちたやつを誘っていたんですけど、かわいそうにと思って」
みちお「荒木以外は確かに好きじゃないんですけど(笑)」
布 川「聞いたことありますか? 朝の5時とか始発まで飲むっていうのは聞いたことありますけど、朝食バイキングに来させるっていう先輩、俺は聞いたことないですけどね」
みちお「いや~、楽しかった。いくらかけ放題で最高だった」
布 川「浮かれてんじゃねーよ!」
軽々しく聞くことができない…
―コントの大変さはどのあたりに感じてますか
みちお「きっかけだったりとか、小道具とかも、漫才だったら『ちょっとここ変えよう』で、覚えて練習すればいいだけですけど、コントだったら『ここのところをこういう見せ方で』ってなったら、小道具をまた1個作ってとなるので、そういう大変さがありました」
布 川「僕は、ちょっと聞きづらい気持ちがあったのが結構大変だったかもしれないです。M-1だったら15年経つと出られないんで、もう出なくなった人にはサッと聞けるんですけど、キングオブコントは芸歴制限ないので、結構みんな出てるので、軽々しく聞くことは(できない)。だから、秋山くんとかはもうチャンピオンですし、飛永さんも出てないですし、加賀くんはずっと一緒にやっていて、聞いても許してくれるかと思って。それでも結構勇気を出して聞きましたけどね。漫才だったら、2年目ぐらいの若手にも『ここの意味分かった?』とか聞いたりしてたんですけど、それは軽々しくはできなかったので、自分たちでちゃんと完全決定をしなくちゃいけない、っていうのが少しだけ難しかったですね。漫才もコントもキモいネタなので、意味分からないことが多いので」
北海道の芸人で初めてらしいです
―M-1とのダブルファイナリストとなりました
みちお「北海道の芸人で初めてらしいです。あとうちの事務所でも初めてなので、さすがに喜んでいいとは思ってます」
布 川「金玉以外にもダブルの称号を得られると思いませんでした。吉本以外だと僕らが4組目みたいなので。それはうれしいですかね。去年のM-1の時に準決勝のトリをやったんですけど、令和ロマンが僕らの前でめちゃくちゃ面白いネタをやっていたので、あんまり浮かれなかったんですよ。それに近い感情は結構ありますかね。やっぱり決勝に行った人たちはみんな、僕らより格上というか、『こんなやり方あるんだ』みたいな人ばっかりなので、浮かれている気持ちはそこまでないかもです。もっと良くしないとっていう気持ちの方が強いです。金玉の方を使ってください」
みちお「圧が(笑)」
―M-1とは違う心境ですか
みちお「M-1の方がやっぱり緊張してましたかね。笑神籤(えみくじ)で、その場で順番が決まるというのもあったので、顔が真紫になっているぐらい精神的ダメージは(笑)。事前に順番も分かってますし、コントなのでちょっと役に入るので、楽しめる気がします」
布 川「前に『ネタパレ』という番組で、僕らがコントをやった時に南原さんが『君たちたぶんコント向いてるよ』って話になって。『役に入りきる方がいいだろ。俺もそうなんだよ。役に入りきった方が喋れるんだよ。だから、向いてると思うよ』みたいな話をいただいて、南原さんのおっしゃっている通りのことなのかもな、とかは思います」

北海道にトロフィーを!
―どんな決勝にしたいですか
みちお「始まる直前に楽屋でみんな一緒になると思うので、お弁当を食べる時に1人ずつ下剤を入れていって大便大会にしたいですね(笑)」
布 川「大便大会って何だよ」
みちお「(笑)。でも楽しくやりたいですね。緊張しすぎないで、楽しめる感じにできたら最高だなと思ってます」
布 川「メンバーも近い人というか、しずるさんとかも普通に飲んだりとかもする人なので、全員で楽しめたらいいですね。みんなで楽しい大会が一番理想だと思っているので。北海道にキングオブコントのトロフィーを。元祖いちごちゃんの植村くんも北海道出身なので、僕らがダメだったら、元祖いちごちゃんがトロフィーを持っていってほしいですね、北海道に」
みちお「元祖いちごちゃんが優勝したら、それはもう良い大会だよね」
布 川「とにかく一番笑いを取りたいですかね」
みちお「おもしれーってなりたいね」
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■プロフィール トム・ブラウン ツッコミの布川ひろき(1984年1月28日生まれ)と、ボケのみちお(84年12月29日生まれ)が組む漫才コンビ。ともに札幌市出身。2009年にコンビを結成し、芸能人やアニメのキャラクターを合体させる「合体漫才」という特異なネタで脚光を浴びた。「M-1グランプリ」の最高成績は18年、24年の決勝6位。今年の「キングオブコント」で、初の決勝進出を果たした。ケイダッシュステージ所属。毎週日曜23時25分からSTV「オズブラウン」出演中。