芸能文化
2024/01/01 11:00

【新春特別インタビュー前編】道産子お笑いコンビのトム・ブラウン 2人の出会い、そしてクレイジーな漫才で一気に飛躍

道産子コンビのトム・ブラウン。(左から)布川ひろきとみちお(撮影・十島功)

 今、狂気のネタで常識をぶち壊しているのは、道産子お笑いコンビのトム・ブラウンだ。「有吉の壁」(日本テレビ系列)では〝レギュラー〟で活躍するなど、多くのバラエティー番組に出演し、お茶の間をにぎわせている。布川ひろき(39)とみちお(39)はともに札幌市出身。2018年に「合体漫才」を引っ提げて「M-1グランプリ」の決勝進出を果たすと、その勢いのままお笑いファンを虜にした。道新スポーツの独占インタビューに応じたトム・ブラウンが、2人の出会いからここまでの道のりを余すことなく語る。【前編】

札幌東陵高柔道部の先輩後輩コンビ

―2人の出会いは札幌東陵高校

布 川「そうです、みちおが柔道部の1学年下の後輩で」

―第一印象は

布 川「相撲で全国大会行っているやつがいるって聞いたので、部活にスカウトする、みたいな感じで誘ったんです。確かに相撲やってそうだなと思いましたね」

みちお「1個先輩なので、僕の1年生のクラスに来て『柔道部に入らないか?』みたいな感じでいきなり来たので、最初はちょっと怖かったですね。何か部活の勧誘会みたいなやつがあって、そこで体育館の端から端まで前回り受け身で帰っていくみたいなことをやっているのを見て、何をやっているんだろう? でも、面白いなとも思いました」

布 川「うちは体操部が強かったので、毎回その勧誘会で最後にバク転しながら出ていくのが恒例だったんですよ。だから、何か気にくわなかったので、トリでやりました」

―まずは布川さんがピン芸人になりましたが、みちおさんはその頃、何をしていましたか

みちお「スノーボードをやってました。専門学校に入ってインストラクターの資格まで取ったんですけど、友達のけがを見て辞めようと思ったんです。その時にちょうど布川くんが1人でローカルのテレビ番組に出ているのを見て、元々お笑いへの憧れもあったので、布川くんがテレビに出ているなら、もしかしたら簡単な世界なのかもと思って始めた感じですね」

布 川「なめんなって!」

最初は布川一人で札幌吉本に所属

―そして「トム・ブラウン」が誕生します。結成のきっかけは

布 川「僕が高校卒業するタイミングで『お笑いやらない?』って言ったら『プロスノーボーダーになりたいんで、すみません』って言われて『じゃあ、しょうがないか』と思って、僕はピンで札幌吉本に所属しました。それでオーディションのライブのMCをやっていたら、みちおが別のコンビでオーディションを受けに来て。『何やってんの?』って聞いたら『お笑いやりたくなって』って。みちおは何回も解散を繰り返していたんですよ。そのうち相方の人が飛んじゃって。その人をどうにか捕まえて、話を聞いたら『みちおが何を言っているか分からないんですよ。ネタも書いてくるんですけど、意味が分からなくて…。それでちょっときつくて飛んじゃいました』って言ってて。今の漫才とかも、他の方々からは『どういう発想でやってるの?』みたいなことをよく言われるので、当時からそうだったんだろうなって」

上京後、マセキ芸能社のオーディションを受け

―その後、上京しました。東京で抱いた感想は

布 川「一番最初に出たライブはそんなに反応が良くなかったんですけど、最初マセキ芸能社のオーディションを受けに行ったんです。結構受からないらしいんですけど、2回連続で通ったんです。で、東京楽勝だって」

みちお「思った。余裕じゃんって思った」

木村カエラのネタで連続不合格

布 川「そしたら、その後7回連続ぐらい落ち続けて。東京簡単じゃねえって」

みちお「木村カエラさんの『ホットペッパーの唄』を僕が木村カエラさんの格好して歌って、布川が横で『木村カエラだー!』っていうだけの漫才を3分(笑)。1回落ちたのに、次の月もなぜか全く同じネタをやって、『いや、落ちるわけない』とかわけ分からないこと言って、そこから地獄のように落ちました。だから申し訳ないですけど、木村カエラさんのせいと言っても…」

布 川「そんなことねえ! 三四郎の相田さんにネタ番組とかで会うと、いまだに『きょうホットペッパーやんの?』って言われますよ」

ネタ作りは2人で

―今のネタはどう作っていますか

布 川「みちおがネタの設定を何個か持ってきて、『これはさすがに意味が分からない』『これは何か意味が分かりそう』とかを決めて、そこから2人で作る感じですかね」


―みちおさんのネタの発想はどこから

みちお「アニメとか、映画とか、ライトノベルとか、ゲームとかがすごい好きなんです。その現実ではないもののメディアを見ているところから、いろいろ考えたりしているんだと思うんですけど、明確に『これを使おう』って感じではないです。例えば『ドラゴンクエスト』のスライムが集まってキングスライムになるとか、『女神転生』というゲームで悪魔を2、3体集めて合体したら天使になる、みたいな。映画だと『ザ・フライ』。人が瞬間移動装置に入っちゃって、ハエと合体しちゃった、みたいな。おそらくですけど、合体ロボットとかも好きなので、何か脳内にあったんでしょうね。そこから『一休さんを5人集めて合体させてキング一休にするのはどう?』って言ったりして、『いいんじゃない』みたいな、そういう感じでネタができました」

18年「M-1グランプリ」で初の決勝進出

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