北照が13年ぶりV 「打倒・双葉」から始まったチームの人間性を鍛え直した【秋季全道大会】
13年ぶりの秋季全道大会優勝を決め、喜ぶ北照ナイン=撮影・桜田史宏
■秋季全道高校野球最終日(10月20日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
▽決勝 北照2-0白樺

エース島田が4試合連続完投で完封
生まれ変わったチームが、頂点まで駆け上がった。北照が13年ぶり6度目の優勝を飾った。一回、5番・畠山柊太外野手(2年)の適時打で試合をスタートさせると、今大会3試合連続完投の先発・島田爽介投手(2年)も、テンポ良く凡打の山を築いていった。
最終回の九回にも6番・横堀倖世(こうせい)捕手(2年)の適時打で追加点。島田も最後まで疲れを見せず、127球の完封劇。今大会の4試合を1人で投げ抜いてみせた。
13年ぶりの優勝を決めて喜ぶ北照ナイン
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目標は甲子園にあらず予想外の優勝
監督就任後、初めて秋季全道制覇を成し遂げた上林弘樹監督(46)は「(優勝を)全く予想していなかったので、何が起きたか分からない。本当に生徒が一生懸命やってくれて、応援のみんなも応援してくれていましたし、うれしい気持ちでいっぱいです」。
それもそのはず。新チーム結成当初は、練習試合でも思うように白星を挙げられなかった。例年ならばホワイトボードに「全道優勝」や「甲子園」の目標を掲げるが、今回は「打倒・双葉」。小樽支部のライバルである双葉に勝つことへ〝格下げ〟して始まった代だけに「そういう部分ではかなり成長しているし、びっくりしています」。
直前の手代森への主将交代が転機に 「最初と最後は人間性」=SNS
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全道大会前には丹場祥平内野手(2年)から、手代森煌斗(きらと)外野手(2年)に主将が交代した。大一番を前に、配置換えとなった手代森は「このままでは良くないと思っていたので、自分が変えて甲子園行くぞと思っていました」。3年生の屋富祖(やふそ)駿汰前主将に助言を仰ぎながら、全道で戦える集団に変貌させた。
「最初と最後は人間性」。上林弘樹監督(46)が日頃から口にしている言葉だ。「(頭文字を取って)SNSだっていう話をいつもして。初回と最終回(に得点)。最後までやり切るっていうことが形になったと思います」。
選手たちに胴上げされる北照の上林監督(中央)
生活面での〝乱れ〟
野球に集中しすぎるあまり、生活面での〝乱れ〟が目立っていた。野球に夢中になるあまり、一つのゴミや寮内の乱雑さに気付かないことが多かったという。
上林監督は「3年生や過去の先輩と比較すると、ちょっとだらしないというのがあった。新チームになって、ちょっと崩れかけたのが良くないなと思った」。そういう意味も含めて「史上最低のチーム」と奮起を促した。
再三の注意で練習を中断することも多く「何回も帰りました。『時間の無駄や』って言って」(上林監督)。手代森も「1人1人が自覚を持ってなかった。人任せな部分があったので、自分がしっかり指摘しながら、当たり前のことをしっかりやらせました」。
感性が野球につながる
野球は視野の広さが必要だということに気付いてほしかった。ゴミ一つ見逃さないことは、プレーの気配りにも通じるところ。上林監督も「気付く、感じる。感性が野球につながると思うので、気付いているのにやらない、気付かないことに対して、良くないという話をした」。
人間性の育成を重視する上林監督のもとへ、全国から部員が集まった。「普通の高校生であってほしいと思うだけ。野球ばっかりやっていても良くないし、その辺のバランス、視野が変わってきてほしい」。
そんな指揮官の思いは着実に浸透している。4番を務める長谷川世和(せな)内野手(2年)は「私生活が野球のプレーに出ると思う」とキッパリ。毎年、引退した3年生が練習を手伝ったり、吹奏楽などを始めて応援する姿は、そういった育成の賜物だ。

食事の摂取は各自に一任
また今大会の遠征はホテル生活だったが、プレーに影響を及ぼす食事は各自に任せた。それでもとり入れるものを考えながら、食事をする部員の姿があった。「多分、夏休み始めだったら、好きなものしか食べないし、もしかしたら食べないやつもいたかもしれないぐらい。そういう面では成長してるなと思います」(上林監督)。
北海から始まり、駒大苫小牧、旭川実業、そして白樺と強豪校をなぎ倒して栄冠を手にした。「まだまだ成長段階。まずは神宮大会に向けて、またあしたから一生懸命頑張りたいと思います」。一つ一つの積み重ねが、大きな成果になることは証明した。次は全国の舞台で示す番だ。
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