北照が夏の甲子園出場の北海にリベンジ 〝史上最弱〟と評する上林監督が目指した野球とは【秋季全道大会】

■秋季全道高校野球第4日(10月15日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
▽2回戦 北照5-3北海
唯一の地元出身者・畠山が3打点
今夏の南北海道大会準々決勝で北海に敗れた北照が、5-3でリベンジ。チームただ一人の地元出身者・畠山柊太右翼手(2年)が、二回に先制打、八回にはダメ押しの2点適時打と3打点の活躍で、北海との公式戦連敗を「5」でストップした。
3年生がブラスバンドと一緒に応援
チーム最小兵161センチの主軸が、今夏の甲子園でも登板した北海投手陣を撃破した。夏はスタンドで3年生が涙する姿を見届けた。今大会、引退した3年生がブラスバンドの一員としてスタンドで応援。「3年生が自分に期待してるって言ってくれて、3年生のためにもきょうは勝たなきゃなと思って打席に立ちました」。スタンドで慣れない楽器で懸命に応援してくれた3年生に勝利をプレゼントした。

甲子園に出ていた先輩たちに憧れ
畠山は小樽市朝里の出身。中学時代は小樽リトルシニアで内野手としてプレー。2018年、19年夏の甲子園に出場した北照に憧れ、「自分たち少年野球でも取り入れていたんですけど全力疾走とか、他とは格が違って、自分もここでやってみたい」と思うようになった。チームメートが市外の高校に進む中、地元に残った。
打撃に集中するため外野に転向
昨秋、「内野手だとサインプレーがあって考えることが多くなるので、バッティングに集中」と、上林弘樹監督(46)に打撃を買われて外野に転向。春にベンチ入りも夏は調子を落としてベンチ外。「バットをそのまま出す、直接出すためにバットを少し寝かして、最短でできるように」とフォームを改善して復調。再びメンバー入りを果たした。
今夏に通算5連敗を喫した上林監督 北海・平川監督に胸の内を明かし…
上林監督が2017年の監督就任後、18年から2年連続で夏の甲子園に出場したが、部長時代を含めると北海との公式戦対戦成績は14年秋、15年夏、16年夏、17年夏、そして今夏と5連敗中だった。潜在能力はそれほど差はない。指揮官は夏に敗れた後、普段から交流のある北海の平川監督に「うちみたいな浮き沈みのあるチームの方が、(北海は)やりやすいんじゃないか」と、正直な胸の内を明かした。
さらに「なにかヒントはないか」と、敵将が昨年7月に出版した著書「北の名門・北海が掲げる 勝負至上主義」を読み返した。すると「それがダメなんだっていうことが書いてあった。うちは逆だなと。夏は中谷がマウンドで吠えたり、声を出したり。うちのチームカラーだと思うけど、落ち着いて野球を見られるように」と、グラウンド上で「冷静さ」を大事にすることを取り入れた。

短期間で成長した選手たち
新チームの試合展開は堅実そのものとなった。先発の島田爽介(2年)が制球良く、北海打線から凡打の山を築くと、攻撃では6つの犠打を決め、そのうち4つが得点につながるなど、北海のお株を奪うような展開で勝利した。上林監督は「史上最弱、最低っていうチームで、よく短期間でここまで成長した。まだまだだと思うけど、少しでも北海高校さんに近づいて、北海道で勝ち上がれるようなチームになっていければ」。13年ぶりの頂点へ、大きく前進した。