【西川薫】侍J大学代表候補合宿を辞退した道産子捕手・井尻琉斗へエール
前向きに捉えて
12月1日、侍ジャパン大学日本代表候補の強化合宿に選ばれていた仙台大の井尻琉斗捕手(3年、北海)が、コンディション不良による辞退が発表された。記者の高校の後輩でもあり、来年のドラフトへ向けて絶好のアピール機会を逃すことになったが、これを前向きに捉えて、来シーズンへ向けてしっかりと完治を目指してもらいたい。
11月にオンラインで取材をさせてもらった際には、「選ばれてホッとした気持ちはなくて、そこでアピールしなきゃいけない。やってやるぞ、という気持ち。自分の持ち味はまず守備。そこで他の選手と違うぞ、というところを見せて、バッティングでもアピールできたら」と代表合宿を楽しみにしていた。
1学年上の平川は広島から1位指名 「大きな転機になった、と…」
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それもそのはずだ。仙台大の1学年先輩で今年のドラフトで広島から1位で指名された平川蓮外野手(4年、札幌国際情報)は、井尻の北海高時代の恩師・平川敦監督(54)の次男。昨秋の強化合宿から一気に注目選手として全国区になったのを間近で見てきた。「(平川は)松山合宿が大きな転機になった、と言っていた。合宿でしっかり自分も吸収して、同じようにモノにできたら」。プロ入りを争う同世代のライバルたちとのレベル差を確認する絶好機だった。
全国的にはまだまだ無名だが、代表合宿候補に選ばれるだけの実力は十分に兼ね備えている。高校時代からストッピングや二塁送球など送球の正確性には定評があり、仙台大では2年春のリーグ戦に途中出場でデビュー。そのまま優勝に貢献すると、全日本大学選手権1回戦の九州産業大戦で「9番・捕手」で先発マスクをかぶった。結果は4打席無安打で、チームも延長十一回タイブレークの末に4-5で敗戦。「力のなさを感じました。もっとできた、もっとできる」。その時に抱いた飽くなき反骨心は、レベルアップを目指す上で何よりも必要な資質だろう。
母校の北海はプロ選手を多数輩出
近年、北海高出身者のプロ入りは道内ではずば抜けている。今年で創部125年目。ドラフト制度施行前から数えると、今年指名された宮下朝陽内野手(21、東洋大)と工藤泰己投手(22、北海学園大)を含めて合計28人。1994年に平川監督が就任してからは、2012年に日本ハム3位の鍵谷陽平(35)ら14人となる。そのうち井尻の1学年先輩には、ソフトバンクの木村大成投手(22)ら4人がおり、2年間一緒にプレーしていた。井尻もプロ入りの夢が強くなったのは「身近にプロ野球選手がいた」と話している。仙台大に進んだ理由のひとつにもなったのが、北海高出身で22年の大学日本代表として活躍し、ドラフト3位で中日入りした辻本倫太郎内野手(24)がいたから。
今回はケガで辞退したが、巻き返しの機会は残されている。来季の仙台六大学での活躍や、全日本選手権で目立った活躍を示せば、日の丸入りの可能性は十分にある。来春、井尻捕手の復活劇を目撃しに、必ずや杜の都に足を運びたい。
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