【岩本勉のガン流F論】トンネルを抜け、勝利の女神の笑顔さえも見付けてくれたんやで!
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファイナルS第3戦 日本ハム6-0ソフトバンク(10月17日、みずほペイペイドーム)
見応え十分だった伊藤vs上沢
伊藤がものすごいピッチングを見せてくれた。序盤にランナーを背負ったのは、ここまで2連勝していたホークスの勢いによるものだろう。各打者の内角をグイグイ突き、強さが際立った。
マスクをかぶった田宮から、「こんなに来るんですか!」といったような心の声が聞こえるようだった。一方の上沢も意地を見せた。実に見応えのある投げ合いだった。
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さすがエース!
あらためて伊藤。負ければシーズンが終わる一戦。いい意味で、開き直りもあったのだろう。パフォーマンスが窮屈になっていなかった。それでいて、ボールは強く、いずれの球種もキレが抜群だった。 特に左打者のインコースを突いたカットボール気味のストレートが見事だった。
「さすがエース!」。そんな言葉がピタリとハマる投球だった。
レイエスのつぶやきで思い出す桑田真澄の姿
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もう一つ。打線だ。主砲のレイエスはこの日も頼もしかった。1-0の四回にソロ本塁打。実に大きく価値のある一発だった。ファーストステージから、打席で何やらつぶやいている。アスリートはどんな競技においても、行動の前には決断が存在する。その決断を固めるために自問自答してるのだろう。
マウンド上でボールに語りかけていた桑田真澄さんを思い出した。
「逆シリーズ男」を見事に返上
そして郡司。いやぁ、一回に先制の右犠飛。この一打で吹っ切れた。3-0の七回には満塁で走者一掃の3点二塁打だ。1、2戦トータルで8打数無安打と音なしだった。郡司が目覚めたのはめちゃめちゃ大きい。
「逆シリーズ男」になりかけていた中、自らのバットでトンネルを抜け、勝利の女神の笑顔さえも見付けてくれたんやで!
技術的にも素晴らしかった。七回2死満塁での3点二塁打。木村の直球を真芯で捉えた。あの周東が打球をグラブの土手から腕に当てた。ダイビングキャッチならぬ〝キャッチアンドダイビング〟をし損なった。あの低い体勢から落下地点を見誤るということは、ボールを真芯で捉えた証拠で、ナックル気味に動いていたと想像する。
逆転での日本シリーズ切符奪取へ
さあ、崖っぷちから1つ勝った。残りもただただ、目の前の試合に全力で臨むだけ。きょうのようにやりきってもらいたい。
日本シリーズへの道はまだ続いているのだから。