《岩本勉のガン流F論》達孝太のビッグマウス 大いに結構!
■パ・リーグ20回戦 ロッテ7-8日本ハム(9月20日、エスコンフィールド北海道)
チームを救った浅間のサヨナラ打
敗戦の空気が漂っていた中、浅間がチームを救った。4つのエラーがすべて失点に絡み、一時5点リードも追い付かれた。それでも勝った。
九回2死二塁の場面。横山に2球で追い込まれたが、ファウルを1つ挟んで高めのストレートを左中間にはじき返した。前進守備とはいえ、決めたという結果に価値がある。
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オータムフェスト開催や!
放送席で解説しながら、「高めの直球が来たら、チャンスはある」と期待を込めたフレーズを発した直後だった。
浅間は現在、球界きっての悪球打ち。楽天の黒川か浅間か。そう思っている。バッテリーが高めで空振りを狙ったであろうボール。2つ分、甘く入った。それが浅間にとっては大好物のボールとなった。残るペナントレースと短期決戦。浅間によるオータムフェスト開催や!
勝ち負け付かずも達にとって意味のある試合
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さて、先発マウンドに上がった達は5回7安打4失点で8勝目を逃した。ただ、21歳の若者にとって、大いに勉強となる登板となった。二回から五回まで、すべて「投げて→長い攻撃」という流れが続いた。ベンチに座っているべきか、またはダッグアウトに下がるのがいいのか。
イニング間の時間の使い方は実に難しく、個人によって違うものだ。私は現役時代、こういったケースの試合では、ダッグアウトに下がってシャツを着替えながら、試合のモニターを見つめた。タイミングを見計らって、盛り上がりを見せているミラールームやベンチに移動。再び気持ちを高めたものだ。こればかりは経験。早く自分のスタイルを確立してもらいたい。ボールに関しては明白。四回、上田に打たれた2ランはフォークのすっぽ抜け。そのほかも痛打されたボールは甘かった。言うまでもない。ストレートは大胆に、変化球は低く慎重に。それを再認識してくれたはずだ。
すべては成長につながる
もう一つ。時折、達はビッグマウスが注目される。新庄監督に対しての「なめてんのか、と思いましたけどね(笑)」が最たるものか。私は思う。大いに結構だ。言える時に言っておいた方がいい。強気な性格は投手にとってプラス。いずれ言えなくなる瞬間も来る。それが厳しいプロの世界なのだ。新庄監督がうまく冗談でかわしてくれたように、そんなフレーズを周囲の大人たちが巧みに整えてくれている。
いつかキャリアを積み重ねた達は過去の発言を振り返って、顔を赤らめるだろう。それが成長であり、栗山前監督もよく言う「物語」なのだ。
高らかに宣言も先輩のツッコミで萎縮
私にも経験がある。プロ3年目の春季キャンプ。インタビューを求められて発した。「生粋の江戸っ子、土橋監督の下で河内(かわち)の岩本がやります!」と。その言葉を聞いた先輩から言われた。「おーい!ビッグマウス! 調子に乗ってんじゃないぞ!」と。愛情のこもった〝お𠮟り〟ではあったのだが、二十歳そこそこの私は、その一言で萎縮。1軍での居心地を悪くしてしまった。
その先輩とはその後、良好な関係を築き、何度もハッパをかけてもらい、激励もしていただいた。
達よ、いいやんか! 誰もがあなたに期待しているのだから。