《鶴岡慎也のツルのひと声》確実に成長している達 道産子リリーバーは揺るぎない信頼を勝ち得た
■パ・リーグ17回戦 西武2-0日本ハム(8月7日、エスコンフィールド北海道)
先発投手に必要な複数の必殺パターン
敗れはしたものの、達に成長を見た。前々回の登板ぐらいから、カーブやスライダー、カットボールの割合を増やしている。先発ピッチャーがプロの世界で長く活躍するには必殺パターンを多く持つ必要がある。達でいえば、直球とフォークのコンビネーションだけでは、そのうち攻略されてしまう。相手もプロなのだから。
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結果、内容とも高評価に値
その曲がり球。いずれも質が上がっていた。この日は球数を要してしまい、七回途中での降板となったのだが、無失点でマウンドを降りた。勝てはしなかったものの、内容も伴った素晴らしい投球だった。
エスコン初スタメンで好リード
その達をリードしたのは今季初出場の梅林。2軍で達とバッテリーを組んでいた経験があるとはいえ、本拠地のエスコンで初スタメンでもあった。それでも、おどおどした雰囲気はなく、いい意味で緊張感がなかった。勝ちきりたかっただろうが、守備に関しては合格点をあげたい。
勉強しなければいけないのは…
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ただ、2番手・金村をリードした時に限っては、それぞれのボールの使い方など、まだまだ勉強しなければいけない部分はあった。そして打撃だ。今のファイターズでは、捕手といえどもしっかり打線の中で機能しなければ、出場機会は与えられない。この日の今井のような格上の投手を打ってこそ、1軍に残ることができる。今井の前に3三振。なんとか1本、出してほしかったのが正直な気持ちだ。
難しいマウンドで役割を全うした玉井
もう1人、触れておきたい。玉井だ。0-0の七回1死一、二塁で2番手登板した。実に嫌な場面。両チームとも無得点で、先発がつくったピンチでマウンドに登る。しかも代打に外崎が告げられた。いろいろなことを整理しなければいけないシーン。自分で試合展開を読みながら、登板に合わせていかなければいけないリリーバー。今回も難しいマウンドだった。そこできっちり無失点と仕事をして帰る。さすがだ。
苦難を乗り越えポジションを再奪取
現役時代、私はよく玉井とバッテリーを組んだ。彼がプロ初セーブを記録した時(2020年8月8日の西武戦、札幌ドーム)にマスクをかぶっていたのも私だ。当時、彼はまだ若く、150キロ超の直球でどんどん押せた。その後、腰を痛めるなどし、年齢も重ねていった。それでも肘を下げるなどし、シュートをより生かすために試行錯誤を繰り返してきた。そして今季、自分の力でポジションを奪い返した。頭が下がる。
ここぞの場面で必要なベテラン右腕
チームは激しい優勝争いを繰り広げている。首脳陣からの信頼はもう揺るがないものになっているだろう。あと1アウトが欲しい。そこでホークスの山川、オリックスの頓宮や杉本。ここぞの場面、玉井はマウンドに上がり続けるだろう。