《岩本勉のガン流F論》CS開催の意義を再認識したソフトバンク戦 200勝のマー君は好青年
■パ・リーグ25回戦 日本ハム2-1ソフトバンク(9月30日、みずほペイペイドーム)
チームにとって心強い今川の復帰
まず、1軍復帰し、スタメンに名を連ねた今川に触れたい。右ハムストリングの筋損傷でゲーム復帰まで約4週間だったはず。それが半分の2週間。まさに「執念」としか言いようがない。どこか、かばっている様子も感じられなかった。右打者の主力が多いファイターズ。彼の復帰はチームに刺激を与える意味でも大きいだろう。
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このスピード復帰。現役時代、ともに戦った金石(昭人)さんを思い出した。1993年、オープン戦で骨折(右足第2指)し、1軍復帰はオールスター間近の6月中旬。そこから勝ち星を9つも挙げた。あの時の衝撃を彷彿(ほうふつ)とさせる。ポストシーズンに向かうチームにとって心強い。
見応え十分だったソフトバンクとの25回戦
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さて試合は、ソフトバンクとのレギュラーシーズン最終戦。順位が決まった今、互いに今後の戦いを見据えなくてはいけない。オープナー的な要素もあってのブルペンデー。両チームとも戦力、作戦において「爪を出す、隠す」の連続。それは実に見応えがあった。
ここにクライマックス・シリーズ(CS)の開催意義があるだろう。順位が決まった中でも、みずほペイペイドームには4万人を超えるファンの方々が詰めかけた。ペナントレース1位2位チームの今後を見据えた〝真剣勝負〟を楽しみにしていたに違いない。仮に、CSがなければ、文字通りの消化試合になっていた。セ・リーグでは阪神が早々と優勝を決めた。セ界こそ、CSがなかったらと考えると、ゾッとする。
CSは継続すべき
やはり、ファンあってのプロ野球。私はCS創設に際し、選手会役員の一人として労使交渉の席に着かせていただいた。140試合を超えてなお、注目の勝負が残されている。今年、CS開催の是非が話題になったこともある。野球人の一人として、継続を支持したい。
目を見張ったマー君の気概
そしてこの日、田中将大が日米通算200勝を達成した。素直におめでとうと言いたい。こんなに苦しみ抜いての200勝もまれだろう。鳴り物入りでプロの世界に身を投じた。そこからシーズン24連勝、大リーグ移籍と常に注目されてきた。当時、常勝軍団だった駒大苫小牧にあって、自身の代では優勝に一歩、届かなかった。そこが彼にとって大きなモチベーションになったように思う。プロの世界で絶対に成長してやろう。そんな気概をいつも見せてくれた。
短期決戦での活躍に期待
接点は少ないのだが、球場や空港で顔を合わせ、言葉を交わすシーンは何度かあった。マウンドを降りた時の彼の印象はズバリ、好青年の一言。200勝というプレッシャーから解放された。田中将大が持つ底力を誰もが知っている。短期決戦でのさらなる大活躍に期待したい。