伊藤大海 心待ちにしていた上沢直之との投げ合い 変わらぬその関係「普通に先輩、後輩って感じです」
四回を無失点に抑え、グラブをたたく伊藤=撮影・松本奈央
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファイナルS第3戦 日本ハム6-0ソフトバンク(10月17日、みずほペイペイドーム)
ここで勝ってこそエース!
日本ハムの伊藤大海投手(28)が先発し、8回5安打の11奪三振で無失点と快投。2023年までチームメートで〝兄貴分〟と慕っていたソフトバンクの上沢直之投手(31)に投げ勝ち、ヒーローインタビューで「すごくお世話になった先輩ですし、上沢さんの姿を見てここまでやってきたので、そういう感謝もありましたし、勝てたのは本当にうれしいです」と、かみしめるようにコメントした。
負ければ、日本シリーズ進出の道が断たれる一戦で、エースがチームを救う力投を披露した。
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思い入れのある4学年上の先輩との投げ合いが、CSファイナルステージ第3戦で実現した。3月のオープン戦では1度あったものの、シーズン中はなかった。7回無失点で勝利投手となったファーストステージ初戦の試合後には「ちらっと記事で見ましたけど、彼が(ファイナル)3戦目に来ることが濃厚らしいので楽しみです」とニヤリ。「上沢さんも状態いいらしいので」とあえて名前を挙げ、この日を心待ちにしていた。
日本ハム先発の伊藤
その背中を見て成長してきた道産子右腕
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エースとはどんな存在か―。入団時、その背中で教えてくれたのが、先発ローテーションの柱を担っていた上沢だった。同じポジションで行動を共にすることが多く、プロ野球選手としての〝イロハ〟を教えてくれた。2人や加藤貴を交えて、食事にもたくさん連れて行ってもらった。
球場のロッカーが隣同士で、変化球談義に花を咲かせたことも。苦しんでいる時こそ、気持ちに寄り添い、優しく声をかけてくれた。今年でプロ5年目を迎え、自身も当時の上沢と同じ年代に。後輩投手が試合で結果を出せなかった時、積極的に話しかけるようにしているのは先輩右腕の影響が大きい。
ソフトバンク先発の上沢
今や同一リーグの好敵手
昨年、米球界に挑戦した上沢は、右肩痛などもあり1年で帰国。今季からソフトバンクに移籍し、ライバルとなったが、その関係性は変わらない。「基本的に同じリーグのいいピッチャーは見ますね」。投球内容をチェックし、シーズン中も連絡を取り合っていた。
「普通に先輩、後輩って感じです。そんな深い話はしないですけど、きょう良かったですね、良かったね、みたいな」。上沢はシーズン後半に調子を上げて、12勝をマーク。「フォーク、めっちゃ良くなったんですよ。進化しているなって」と大きな刺激を受けていた。
チームに勢いを付けるピッチング
日本ハムの〝新旧エース〟対決と注目されたこの日の投げ合い。絶対に負けられない一戦で見せた伊藤の姿は、さらに頼もしさが増していた。
四回2死三塁、ソフトバンク・野村から三振を奪い、ほえる伊藤=撮影・宮永春希