伊藤大海 CS初戦でエースの投球 タフで頼れる道産子右腕を陰で支える家族の存在
7回無失点と好投した伊藤=撮影・岩崎勝
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストS第1戦 オリックス0-2日本ハム(10月11日、エスコンフィールド北海道)
これぞエースのピッチング! 7回無失点でポストシーズン初勝利
日本ハムの伊藤大海投手(28)が先発し、7回115球を投げ、4安打9奪三振の無失点とエースの役割を果たした。
女房役の田宮と「いろんなボールを使っていく中でカットがいいねってお互いの意思疎通も取れていたので、それをメインに考えながら要所要所で使っていけた」。右打者へのカットボールを有効に使い、スコアボードに「0」を並べた。
【ファイターズの最新記事はコチラ】
昨年はソフトバンクとのファイナルステージ初戦まで〝温存策〟を取り、ファーストステージの登板は初めて。「きょうの状態でガッといくと痛い目に遭いそうだなと。冷静に冷静に投げていました」。六回途中4失点で敗戦投手となった昨年の経験も踏まえ「ここ一番でガッと入りすぎて良かったことは、思い返したらなかった。力みすぎてダメだったという反省が多かった。冷静に冷静にっていうのはかなり意識していましたね」と落ち着いていた。
同学年野手の粋な声かけに…
2点リードとなった直後の五回、先頭打者に四球を与えると、すかさず三塁を守る同学年の郡司がマウンドに駆け寄って声かけ。「裕也が近づいてきて、『もうバテたんか』と言ってきたので(笑)。そこでもう一回、スイッチを入れて愉しんで投げました」。勝利に向かって〝ワンチーム〟となった球場全体の雰囲気も、伊藤の背中を押してくれた。
一回を終え、郡司(左)とベンチに戻る伊藤=撮影・井上浩明
心強い「歩くパワースポット」の存在
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
満員のスタンドには、いつも支えてくれる家族の姿もあった。プロ5年目の今季は、先発ローテーションの柱を担い、最多勝、最多奪三振と投手2冠に輝いた。けがなくシーズンを完走できたのは、愛妻の存在が大きい。
太陽のように明るい性格で、別名は「歩くパワースポット」。良い時も悪い時も変わらず、そばにいてくれる。「(家で)野球の話はしたり、しなかったり。一緒に悔しがったり、一緒に喜んだり。気を使うことはないですね」
一回を無失点に抑え、笑顔でベンチに戻る伊藤=撮影・松本奈央
愛妻の最大限サポートに大感謝
結婚してから、より一層、野球に集中できるようになった。栄養バランスを考えた手料理でサポート。休日には夫人に代わって、伊藤がキッチンに立つこともある。骨から、だしを取った鶏鍋や、ヒラメのラーメンなど手の込んだメニューでおもてなし。一緒においしいご飯を食べることが、何よりのリフレッシュとなっている。
今シーズン前には、夫婦間で〝約束〟を交わしていた。夫人がビジターでの登板を含めて、全試合に帯同することを宣言。ここまで全試合を現地で観戦し、声援を送ってくれている。伊藤だけではなく、チームのことを全力で応援。一緒に戦ってくれる姿勢に「ありがたいですね」と感謝は尽きない。
ウイニングボールは母へ
この日は、故郷・鹿部町から両親も球場に訪れていた。今年はビジターでの登板が多かったこともあり、目の前で待望の〝今季初白星〟を届けることができた。試合後、母・正美さんの手には、伊藤から直接、渡されたウイニングボールが握られていた。
ヒーローインタビュー後、ポーズを取る(左から)万波、伊藤、郡司