《岩本勉のガン流F論》男の意地をくすぐられたであろう伊藤 ええピッチャーや!
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストS第1戦 オリックス0-2日本ハム(10月11日、エスコンフィールド北海道)
快勝スタート 2連勝の可能性もある
エースを立てて迎えた初戦。伊藤が走者を背負いながらも七回無失点。リリーフ陣も強かった。田中と斎藤。昨年11月に新庄監督が抑えに指名した2人。これか、と。期待を抱かせる力をシビれる場面で発揮してくれた。
そして打線。レイエス、郡司、万波がマルチ安打。打ってもらいたいバッターがしっかりと結果を出してくれた。
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この1勝は大きい。次戦、オリックスの先発は難敵であり、天敵の宮城。だが、攻撃陣はある意味、プレッシャーから解放された。ある程度のゆとりを持って打席に入ることができるだろう。一気に2連勝でファイナルステージ進出という可能性も十分にある。
たっぷりとエースを語る
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さあ、伊藤をたっぷり語らせてもらう。一回1死、いきなり味方のロングヒットエラーで得点圏に走者を背負った。めちゃくちゃタフなスタートとなったが、動じなかった。調子は?と問われるならば、「ビンビン」。しっかりこの試合に向けて準備できていたのが見て取れた。一、二、四、五回とランナーを置いてはギアチェンジし、出力を上げて抑えた。結果は七回無失点。ペナントレース中ならば、続投も考えられたが、今後のポストシーズンを見据えれば、ここでの降板には納得できる。
とはいえ特別な試合。はやる気持ちが良い方向へと向いた。序盤、強いボールでオリックス打線をねじ伏せた。その意識付けを巧みに利用するように、五回からは技の投球を披露した。変化球を散らし、緩急と強弱で各打者を翻弄した。六、七回はまさに「無敵の大海」だった。
「投手陣の先頭」たる姿
今季も伊藤の投球を見続けてきた。印象は「ええピッチャーになってきたなぁ」。だが、この日のマウンドさばきを目の当たりにし、「ええピッチャーや!」。そう言い切れるようになった。
思い起こせば、開幕戦のマウンドには金村が上がった。オールスター明けの後半戦初戦は柴田が抜てきされた。エースとして、男の意地をくすぐられたと想像する。それをシーズンの成績で、「投手陣の先頭は俺だ」と、あらためて示した。
もどかしさを糧に前を向いてきた現役時代
新庄監督、首脳陣は狙っていたのか、そうではないのか。いずれにしても、伊藤はここ一番で自分の力を存分に出し切ってくれる投手だと私は思っている。私にもそういう経験が何度もあった。自分がエースだとは思ったことはない。ただ、周囲がそう言ってくれることはあった。そんな中、予想していた登板が与えられない。悔しいというよりも、もどかしい。そこに立たせてもらえない何かがあるのだろう。ベンチを納得させられる何かが欠けているのだろう。いつもそう思って精進してきた。
誰もが認めるファイターズのエース
伊藤は間違いなくエースだ。その称号を与えられるべきパフォーマンスを見せてくれている。この日も最高のハイクオリティースタート。グッジョブや! 何も言うことはない。