白樺の菊島有佑が「人生を懸けて」決勝二塁打 1年生主将が導いた6年ぶり4強【秋季全道大会】
九回2死二塁、終盤で試合の均衡を破る適時二塁打を放つ白樺の菊島主将=撮影・北村史成
■秋季全道高校野球第5日(10月16日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
▽準々決勝 白樺1-0士別翔雲

15打席快音なかった菊島が大仕事
最後は1年生キャプテンが決めた。ゼロ行進の続いていたゲームに終止符を打ったのは、白樺の菊島有佑(ゆう)主将(1年)だ。
支部予選から4番に座り続けていたが、無安打が続いていた。3試合で2四球は選んでいたものの、12打席で快音はなし。1年生で重責を担っていることもあり、亀田直紀監督(38)はこの試合から「少し気持ちを楽に」と5番に下げた。
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気持ちは高ぶりながらも頭は冷静に
その中で迎えた九回2死二塁。菊島は「人生を懸けて打席に立ちました」。そう自分自身にプレッシャーを掛けながら、頭は冷静だった。この打席は確実性を上げるために、バットを指一本分短く持ち、ノーステップ打法に切り替えた。
そして、カウント3-1から125キロ直球を振り抜くと、打球は右中間で弾んだ。この秋、16打席目での初安打は決勝二塁打となり、チームを2019年以来のベスト4に導いた。
「ノーヒットが続いていて、本当に申し訳ない気持ちもある中で、自分が引き下がらずに『4番は俺だ』ぐらいの気持ちで決めるしかないと思っていた」
九回2死二塁、右中間へ先制の適時打を放つ白樺の菊島=撮影・藤井泰生
最初はまとまらなかった新チーム
2019年以来の秋季全道制覇を目指す白樺。今夏の北北海道大会決勝で敗れて始まった新チームは、なかなかまとまらなかった。そこで亀田監督からの提案を受けると、菊島も快諾した。
「新チームが始まってから全くまとまっていなくて、キャプテンも明確に定まっていない中でした。自分がチームをまとめるしかない。ここで変えないといけないなと思った」
厳しい言葉は物怖じせず上級生にも 「野球になったら学年は関係ない」
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物怖じすることなく、前に出て行くタイプの菊島。「厳しい言葉も言えますし、チームの愛も強いので、彼が一番適任」(亀田監督)。この日のスタメンのうち、7人が1年生と若いチーム。下から強く言うことの難しさもあるが、菊島はそれを感じさせない。
「野球になったら学年は関係ないと思う。言うプレッシャーもありますけど、結果や姿勢でついてきてくれればいいと思います」
グラウンド上では敬語もなし
本気でぶつかり合うため、グラウンド上では上下関係を撤廃し、敬語を使うことはない。「上級生もグラウンドの中では上下関係なくやってくれているので、非常に感謝しています」と菊島。〝ゲームキャプテン〟を担う後藤健(1年)と共に、チームの中枢を支える。
これまでの数字が示すように、チーム全体をまとめながら結果を残すことは容易ではない。しかし、それを覚悟した上でキャプテンになった。誰よりも早くグラウンド入りし、率先して練習の準備をする。練習量も「誰にも文句を言わせないぐらい」と、バットは人一倍多く振り、この日の殊勲打につなげた。

キャプテンの自覚
「迷惑を掛けることだったり、先輩に怒られることもたくさんあったけど、自覚も芽生えてきた。人間性で成長できたのかなと思ってます」
全道の頂点まで、あと2つ。「甲子園しか見ていないので、優勝を目指して、次も勝ち上がっていきたいと思います」。背番号3が持つ抜群のキャプテンシーで、6年ぶりの頂まで引っ張り上げる。
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