玉井大翔 プロ9年目のCS初登板で2球火消し 支えてくれる兄貴分の思いも背負ってー
六回を無失点に抑え、ベンチに戻る玉井=撮影・井上浩明
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストS第2戦 オリックス4-5日本ハム(10月12日、エスコンフィールド北海道)
ポストシーズンでもタフな場面が仕事場
日本ハムの玉井大翔投手(33)が入団9年目でポストシーズン初登板を果たした。
1点ビハインドの六回2死一、二塁で救援し、中川を投ゴロに仕留めて追加点を阻止。初めて経験するCSの重圧にも動じず、ピンチに強い男が真骨頂を発揮した。
【ファイターズの最新記事はコチラ】
ファンの声援を力に 「味方がいっぱいいる」
わずか2球だったが、濃密な時間が流れた。これ以上の失点は許されない場面。ブルペンでは普段以上の緊張に襲われていた。しかし、いざマウンドに向かうと、重圧が和らいだ。
「独特の雰囲気は感じましたけど、ホームでしたし、声援がすごかった。味方がいっぱいいるので、なんとなくマウンドに上がる時は大丈夫かなと落ち着いて入れました」とファンの後押しに感謝した。
六回2死一、二塁、オリックス・中川を投ゴロに打ち取る玉井=撮影・岩崎勝
してやったりの裏をかく配球
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
中川に対して外のスライダーがボールになった後、2球目のカットボールを引っかけさせた。相手が、武器のシュートを意識していると察知し、配球を選択。「動きを見ながら内野ゴロで打ち取れれば、というイメージでした。カットはちょっと甘かったですけど、たぶん狙っていたボールではなかったと思うので良かったです」と納得の表情だった。
ボテボテの投ゴロを自ら処理して火消しに成功すると、いつもと同じように小さく息を吐き、ゆっくりとベンチに戻った。
六回2死一、二塁のピンチをしのいだ玉井(右)を迎える金村
〝宮西コーチ〟のおとぼけに笑顔
11日の初戦も肩をつくり、備えていた。〝臨時コーチ〟を務めた兄貴分の宮西から「(伊藤)大海の球数の兼ね合いもあるけど、行くなら六回、七回あたりのピンチの場面かな。それ以外はないと思うから」と指示を受けていた。この日も同様に走者を置いた状況を明確に想定していた。
宮西とは先輩、後輩の枠を超えて親しくしてきた。その存在は大きく「いてくれるだけで心強いです。きょうも投げ終わった後に『は、おまえ、投げたん?』みたいな感じで言ってきて。見ていたくせに(笑)。そんな感じでやってくれています」と、うれしそうに明かした。
顔を合わせれば、イジってくる。40歳のベテラン左腕は精神的な支柱として、リリーフ陣を支えてくれているという。ただ、付き合いの長い玉井は本心を理解していて「投げたい気持ちはあると思うんですけど、(悔しさを)押し殺してサポート役に回ってくれている。そういう思いも背負ってというか、くみ取って投げていけたら」と願いを込めた。
目指すは日本シリーズ、そして日本一
未知だった短期決戦でも、能力が通用することを証明した。CSファイナルを突破できれば、日本シリーズもある。希望は膨らむばかりで「もちろん経験したいですし、そこに向けていつも通りやるだけかなと思います」と力強くうなずいた。33歳の初挑戦はまだまだ続く。
六回途中、3番手で登板した玉井=撮影・小田岳史