上原健太 逆転劇を呼び込む0封でCS初登板初勝利 歯がゆかった昨年の思いを胸に福岡へ
七回、4番手で登板した上原=撮影・岩崎勝
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストS第2戦 オリックス4-5日本ハム(10月12日、エスコンフィールド北海道)
1点を争う展開で4番手登板
日本ハムの上原健太投手(31)が七回から4番手でマウンドへ。クライマックスシリーズ(CS)初登板を果たした。2回を無安打無失点に封じ込めて、その裏の逆転劇へのきっかけをつくり、CS初勝利を手にした。
昨年はメンバー入りもかなわなかった福岡での大一番に向けて、大型左腕が存在感を強くアピールした。
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納得の2イニング 「自分の仕事ができた」
1点ビハインドで迎えた七回。日本ハムのマウンドに上がったのは、21試合連続無失点をマークするなど、後半戦のブルペンを支えた上原だった。「とにかくストライクを投げて、1つでも早くアウトカウントを稼ぐことが仕事。そこだけを意識してマウンドに上がりました」。その言葉通り、わずか7球でオリックスを3者凡退に切って取った。
「ベンチに戻る時にボス(新庄監督)から『もう1回』と言われて」。続く八回は2死から四球で出塁こそ許したものの、それ以上ピンチを広げることなく、0封リリーフを完遂。「とにかく自分の仕事ができたことが一番、良かったです」と手応え十分の登板だった。
八回を無失点に抑えた上原=撮影・井上浩明
CS初白星を予感していた!?
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上原がつくった好リズムは打撃陣に伝わった。八回の攻撃は、連続三振で早々に2死を取られたものの、そこから万波、矢沢が連打し、打順は2冠王レイエスへ。この時、上原は予感した。「(登板直後で)ロッカーにいたんですけど、レイエスまで回りそうだなと思って。『これ、回ったら(逆転)あるな』と感じたので、すぐベンチに戻って」
予感は現実となった。レイエスは逆転の2点タイムリーを放った。「打ったので、(自分は)持ってんなと思いました(笑)」と笑顔で逆転劇の瞬間を振り返った。
プロ10年目で初めて味わう感覚
プロ生活10年目にして、これがCS初登板。慣れ親しんだ本拠地での登板ではあるものの、マウンドから眺めた景色は、普段とは大きく異なるものだった。
「シーズン中とは全然、雰囲気が違うというか。一球一球に対するファンの反応というのが、本当にすごかったです」。だが、そんな状況にのまれることなく「そういうところをマウンドから愉しめました。変な緊張感も特になく、しっかりと集中した状態でマウンドに上がれました」。ファンからの期待を追い風に、チームに勝利を呼び込む好投へとつなげた。

エスコンで日本シリーズを!
チームは2連勝でファーストステージ突破を決め、ソフトバンクへの挑戦権を手にした。昨年のリベンジに燃える選手も多い中、上原はまた少し違った思いを抱いている。「去年、僕はそもそも(メンバーに)いなかった。テレビでしか見ることができなくて、歯がゆい思いをしてたので」。それから1年がたち、今年はブルペン陣の主力の一人として、胸を張って福岡へと乗り込む。
「(レギュラーシーズンで)負けているけど、もう一回、リベンジするチャンスがある。本当に全力で戦っていきたいと思います」。大歓声で福岡への旅立ちを見送ってくれたエスコンのファンに、もう一度、勇姿を見せるため、上原が福岡の地でも全力で左腕を振り抜く。
試合終了後、チームメートとハイタッチを交わす上原(左から2人目)