《岩本勉のガン流F論》野手に安心感すら与える上原 記憶に残る片岡篤史さんのゲキ
■パ・リーグ17回戦 日本ハム8-6ロッテ(9月2日、ZOZOマリンスタジアム)
マリン特有の風を利用したエース右腕
2点差まで詰め寄られたが、勝ちきった。まずは先発の伊藤。まったく問題ないピッチングを披露してくれた。
序盤こそ、強い風に苦戦を強いられた。だいたいマリンの風は投手にとっては向かい風。変化球が曲がりすぎる。伊藤も同様で、困っていたように見えた。それでもすぐに風をうまく利用した。真ん中にだけは行かないように加減しながら、具合良く整えていった。
【ファイターズの最新記事はコチラ】
次回はモイネロと今季6度目のマッチアップ
本人は無失点でいきたかっただろう。だた、2失点はソトによる一発(2ラン)のみ。ソトがいいバッティングをしただけだ。最後は追い上げられたが、勝ち星も付いた。いつも通り、次回登板に向けて調整できるはずだ。来週(ソフトバンク戦)も、頼むよ!と言いたい。
自信に満ちている左腕
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
伊藤もさることながら、もう一人の功労者は上原だろう。八回、リリーフ陣が8-6とされ、なおも2死一、二塁でマウンドに上がった。ランナー2人の場面での登板。難しいマウンドだ。しかも先頭の山本に粘られ、四球で歩かせた。ロッテの追い上げムードも感じていたはずだ。それでも今季の上原は自分に自信を持っている。四球の後でもしっかりと腕が振れていた。上田を遊ゴロに仕留め、ピンチを脱した。
驚いたのは九回も続投したこと。ここも、めちゃくちゃ難しいマウンド。案の定、先頭の代打・佐藤に四球を与えてしまった。ここから、またまた上原が成長した姿を見せてくれた。無死一塁でも頼りなさげなしぐさや表情は皆無だった。その姿がバックの好プレーも呼び込んだ。
今も耳に残る「おまえの背中を見て守ってるんやで!」
不安は野手にも伝染する。上原の堂々たる姿を目にし、現役時代のあるシーンを思い出した。
どうしよう、こうしようか。マウンド上で迷いに迷っていたことがあった。そこでサードを守る片岡篤史さんが近寄って来て一言。「ガン!おまえの背中を見て守ってるんやで!」。そのゲキで目が覚めた。ピンチをしのぐと、言ってくれた。「ガン! それよ!それよ!」
首脳陣の信頼を勝ち取った
優勝争い真っただ中、回またぎで九回のマウンドも任せられた。バックにも安心感を与えた。もうすでに上原は首脳陣の信頼を勝ち取っている。それに応えた自分を誇ってもらいたい。
一人前になったやんか! そう言ってやりたい。シーズン終了後には、立派になったやんか! そう肩を叩いてやりたい。