《岩本勉のガン流F論》大谷翔平を思い起こさせる柴田。欲に満ち満ちている野球選手
■パ・リーグ14回戦 ロッテ5-4日本ハム(7月27日、エスコンフィールド北海道)
本来の調子ではなかった伊藤
伊藤は本来の調子とはほど遠かった。立ち上がりから逆球もあった。ソトに浴びた3ランはコントロールミス。伊藤らしからぬミスだった。三振は取れていたけど、ソトに痛打されたシーンでも分かる通り、欲しい場面で取れていなかった。
【ファイターズの最新記事はコチラ】
エースに問いたい 「気持ちは乗っていたか?」
冒頭に調子と表現したが、調子ではないのかもしれない。正直、「気持ちが乗っていたか?」と聞きたくなった。前日、ルーキーの柴田が先発し、3回パーフェクトという鮮烈なデビューを飾っていた。伊藤は前半戦でリーグ最多10勝を挙げながら、オールスターに選ばれなかった。大事な後半戦初戦のマウンドに立つこともなかった。私の勝手な見解ではあるが、マウンド心を知る者として「心に引っかかるものがあったのか?」と心配になってしまった。ぜひとも次の登板で払拭してもらいたい。
保守的になってはいけないソフトバンク3連戦
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
チームとしては、いいものを見た。そう言いたい。ロッテの藤原は痛恨のミス(二回の守備での失策が2失点に結び付いた)で先発ピッチャーを苦しめた。八回に同点打を放った時のタイムリー談話で「死ぬ気で打ちました」。延長十一回の押し出し四球も必死でもぎ取ったものだった。
このリバウンドメンタリティー。腹のくくり方に共感。覚悟を感じた。29日からエスコンでソフトバンク3連戦。ゲーム差はわずかに「1」だ。相手は当然、腹をくくって乗り込んでくる。ファイターズは保守的になってはいけない。藤原が見せてくれたような覚悟、強い気持ちを見せてもらいたい。
印象的だった柴田のヒーローインタビュー
前日、見事すぎる投球を披露した柴田にも触れたい。これだけ、欲が満ち満ちている野球選手を久しぶりに見た。大谷翔平を思い起こさせる。マウンドに立ちたくて、たまらなかったのだろう。
ベンチの方針とはいえ、ヒーローインタビューでの言葉がまた印象的だった。「次は5回を投げて勝利に投手になれるように頑張ります」。打撃にも言及していた。
これから予想される〝飛び級の嵐〟
私のプロデビューは1991年8月20日のホークス戦。プロ2年目。20歳だった。完了投手で2回2失点(自責点1)。必死になって捕手のサインを見て、必死になって思い切り腕を振った。味方失策もあったのだが、これもプロの試練かと自分に言い聞かせた。それまでイップスも経験していた。四球だけは出すまい、そう心に決めて腕を振っていた。
柴田は違った。バッターを仕留めることしか考えていなかった。全員を三振に仕留めるぐらいの気合が見て取れた。ファイターズは伸び伸びとプレーできる環境が整っている。今後の彼は〝飛び級の嵐〟だろう。となると、けがが心配になるのだが、春キャンプの時と比べて、ベルトから下が大きく成長を遂げていた。馬力満開のピッチャーがそこにいた。
壁を踏みにじっていくかもしれない2人
プロ野球選手には壁が付きものだが、柴田と達は、その壁を踏みにじっていくかもしれない。それだけ、この2人はものが違うと感じる。プロ野球の世界を歩み出しているのではない。いい意味で、ズケズケと踏み込んでいる。大したもんや! 本当に強いピッチャーやで!