《鶴岡慎也のツルのひと声》攻撃陣の士気も高めた田宮のリード
■パ・リーグ20回戦 ソフトバンク3-4日本ハム(8月22日、エスコンフィールド北海道)
優勝争いにふさわしい激戦
最後の最後まで目が離せない展開。まさに優勝争いにふさわしい一戦だった。1点差のラスト九回。2死からホークスが粘りを見せて2四球で一、二塁とした。この厳しい場面を柳川がしのぎきった。
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確実にアップしているチーム力
これほど彼を成長させるシチュエーションはないだろう。常にポーカーフェースの22歳。最後に周東を空振り三振に取り、安堵の表情を見せたのは印象的だった。試合を締めくくる重責。あらためて肌で感じたことだろう。
先発ピッチャーが完封、完投することは当然、素晴らしい。だが、リリーフ陣が必死につなぎ、わずかなリードを守りきって勝つ。チーム力が確実にアップしていることを証明してくれた。
体の疲れを上回る頭の疲れ
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成長につながる1勝。試合を通じてマスクをかぶり続けた田宮にとっても価値のある試合となった。二回、中村と今宮に一発を食らった。「やべーな」。そう思ったことだろう。それでもしっかりと切り替えてリリーフ陣を巧みにリードした。
1球の配球ミスが命取りとなるゲーム。捕手はあらゆる可能性を想定し、頭をフル回転させながら「次の1球」を決断していく。体の疲れを上回る頭の疲れを感じていることだろう。それも勝利によって、心地良い疲れに変わってくれる。
徹底して攻めた近藤のインコース
もう一つ、田宮が素晴らしかった点がある。一回、近藤を打席に迎えた。ここで徹底してインコースを攻めさせた。六回、得点につながる二塁打こそ打たれたが、そのほかの3打席は封じた。しっかりと攻めの姿勢を貫いたことで優位に立てた部分もあった。
また、そういった姿勢は守っている野手も見ているものだ。「いってるなぁ!バッテリー!」「よし、点を取るぞ!」と士気も上がったはずだ。
ベテランの姿から多くを学ぶべき
昨季、クライマックス・シリーズを経験しているとはいえ、優勝争いはできなかった。若いファイターズだからこそ、このような試合の積み重ねが、さらにチームを成長させる。
また、相手に目を移せば、中村や今宮といったベテランがしっかりと仕事をした。そういう姿を目にすること自体も、若い選手にとってはいい勉強だ。
よみがえった優勝争いの緊張感
まさに天王山。ハイレベルな両チームの激闘が、現役時代に味わったV争いのドキドキ感をリアルに思い起こさせてくれた。両チームに籍を置いていたことを誇りにも思う。